FRBは引き続き厳しい姿勢で政策を実行していくでしょう

去年はインフレとそれに伴う金融政策に翻弄された株式市場ですが、今年もその流れは続いていくことでしょう。そのため、FRBがどのように現状を考えているのかということを知ることは非常に重要です。先日、12月に行われたFOMCの議事録が公表されました。その中身を見るとFRBはインフレ抑制に対して非常にタカ派的であり、いまだ強い意志で政策を実行していく姿勢を見せています。そのため、今後もしばらくは厳しい引き締めが継続されるのだろうと思われます。

FRBは厳しい引き締め姿勢を明確にする

4日に公表された12月のFOMC議事録によると、FRBは現在の金融政策を緩和させるだけの明確な証拠はそろっていないとし、引き続き引き締めによるインフレ抑制に注力していくとの決意を示しています。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が昨年12月13、14両日に開いた会合では、当局者がインフレを押し下げる決意を確認したほか、「正当な根拠のない」金融状況の緩和は物価安定の達成に向けた当局の取り組みを損なうとの警戒感が示された。4日に公表されたFOMC議事要旨で明らかになった。

  この会合の前、市場は2023年後半の利下げを織り込みつつあった。

  議事要旨は「金融政策は金融市場全般に重要な作用をするため、正当な根拠のない金融状況の緩和は、特に委員会の対応に関する世間一般の誤解に基づくものである場合、物価安定を回復する委員会の取り組みを複雑化させるとの認識を参加者は示した」と記された。

  12月会合では主要政策金利が0.5ポイント引き上げられた。それまで4会合連続で利上げ幅を0.75ポイントとしていたが、ペースを減速させた。

  LHマイヤーのエコノミスト、デレク・タン氏は「インフレについてFOMC当局者は、まだトンネルの終わりに明かりを見ていない」と指摘。「当局者は『正当な根拠のない』金融緩和を非常に警戒しており、2月の会合時も0.5ポイント利上げを続けることに傾斜しているはずだ」と述べた。

  議事要旨では、失業率が上昇し経済成長が鈍化するリスクがあってもインフレ率を目標の2%に向けて押し下げる当局の意図が示された。

  「FOMC参加者の経済見通し要旨で示されたフェデラルファンド(FF)金利の適切な経路については、参加者の判断の中央値が市場の政策金利予想を著しく上回っている。この中央値はインフレ率を目標の2%に戻すという委員会の強力なコミットメントを明確に示していると、幾人かの参加者が発言した」と指摘。

  米連邦準備制度のスタッフは、2023年の経済成長は鈍化するというのが基本的な見通しだとした上で、リセッション(景気後退)の可能性も「その代替としてあり得る」と説明した。

  次回のFOMCは1月31日、2月1日の両日に開催される。議事要旨には、政策金利に関する判断は「会合ごとに」行われると記された。

引用:Bloombergより

このように、FRBは今後も引き続き厳しい金融政策を実行していくつもりであり、緩和についてはそれなりの証拠が出てこない限り実行するつもりがないことがわかります。市場ではときどき悪い経済指標等の発表があるたびに、緩和期待による株価上昇が起こったりしていました。しかし、その程度のことでは証拠不十分ということのようで、FRBは全く緩和をするつもりがないと言うことです。そして景気の減速についてはある程度はしょうがないというスタンスでもあり、リセッションについてもその可能性について排除しないということなので、なかなか厳しい見通しだといわざるを得ないでしょう。

安易な楽観論には乗るべきではない

やはりというべきか当然というべきかわかりませんが、FRBはインフレ抑制のためになりふり構わないという感じです。ジャクソンホール会議あたりからFRBのタカ派的な姿勢は明確になったと思いますが、その姿勢に何の変更もないということです。これまでにも何度も景気悪化のサインが出るたびに市場はFRBによる後方支援を期待しましたが、いずれも期待外れに終わっており、それは今後も続いていきそうです。株式市場の楽観的な姿勢というのはいつになっても変わらないようなので、おそらくは今後も何かあるたびに淡い期待を描きながら株価は上昇するかもしれませんが、そのたびにFRBは市場の期待を完膚なきまでに打ち砕いていくことでしょう。今年は非常に経済的には厳しい予想が出ており、企業業績などを見てもその傾向はまず間違いないのかなと思います。その中で金融政策での後押しも期待できないということで、株価の上昇もあまり期待しない方がいいでしょう。特に、なにかのきっかけで株価が上昇する局面もあるとは思いますが、おそらくは根拠のない期待先行で上昇している確率が高いとも思われます。そしてそのような期待というのはすぐに剥がれ落ちていくものなので、今年はそのような局面が何度となく表れるような気がしています。

まとめ

今日は12月のFOMC議事録から今年の金融政策についてみてきました。今年もやはり厳しい状況には変わりないというところです。もしかしたら後半には多少期待を持てるようになるかもしれませんが、あまり過度な思い込みはしない方がいいと思います。特に明確な根拠もなく上昇を始めた株式市場には絶対についていくのはやめましょう。大やけどすること間違いなしです。今年はおとなしく遠い未来のために力を蓄えておく時期であり、あまり短期的な結果を求めない方がいいと思います。