株主還元で成長の果実が流出してるとはどんな理屈なのか

岸田政権は金融所得課税や自社株買い規制など多くの投資家を困惑させるような発言をしてきました。そしてまたもや問題発言をして投資家を困惑させているようです。岸田総理は21日の衆議院予算委員会で「株主還元という形で成長の果実等が流出しているということについてはしっかりと受け止め、この現状について考えていくことは重要」との発言をしました。またまた資本主義を否定するような発言をされたようで、これはもう立派な社会主義者といっていいような気がします。そういうわけで今日は先日発言された岸田首相の発言についてみていきたいと思います。

発言の内容

話題の発言は21日の衆議院予算委員会で、国民民主党前原誠司議員の質問に答える形で発言されました。岸田総理の発言は以下のようになります。

資本主義というものは関与するステークホルダーそれぞれに資するものでなければ持続可能なものにならないという観点から考えた場合に、株主還元という形で成長の果実等が流出しているということについてはしっかりと受け止め、この現状について考えていくことは重要であると認識している

出典:2022年2月21日 衆議院予算委員会 岸田文雄首相

岸田首相はこのように述べ、現在の株主還元政策に問題があるとの認識を示しました。岸田首相は「新しい資本主義」を理念に掲げ、政策を実行しようとしています。その中で一部に偏っていた利益をきちんと分配していこうとか、労働者の賃金上昇を経済団体に求めるなどの発言をしています。そういう一連の動きと今回の発言は連動していると思われます。要は得た利益を一部の人間が独占するようなことはせず、みんなで平等に分かち合おうということでしょう。

SDGsが厳しくチェックされてる中、投資家を欺くのは困難

まず、株主還元が何を指しているのかということが問題となりますが、おそらくは配当や自社株買いなどによる還元を指しているのだろうと思われます。どんなものにせよ、企業活動をするうえで得た利益というのはいろんな形で社会や株主、従業員等に還元されていきます。しかし、そういう意味で株主還元という言葉を使っているのではないことは想像できます。おそらくは配当や自社株買いなどの株主還元のために従業員の賃金を減らしているというのでしょう。しかし、そのような企業がないとは言いませんが、巷にあふれているとも思えません。もしそのようなデータがあるのであればぜひ見せてほしいものです。そのような企業というのは従業員がまともに仕事ができる環境ではないと思いますし、そんな状況でよい業績も上げることもできないでしょう。そうなれば当然投資家も投資などしません。特に今はSDGsなど従業員の労働環境に十分配慮しているかということは投資家から厳しいチェックが入ります。なので不合理な賃金カットを行っている企業は投資家から見向きもされないと思います。

やろうとしていることは社会主義そのもの

そもそも株主還元をしなければ従業員の賃金が上がるというわけではありません。仮に配当を減少させたとして、その浮いたお金で何をするかは企業の自由です。株主還元策を強制的に抑制させたとしても効果は非常に限定的だと思われます。そもそもそんなことで従業員の賃金を上げようと思うところはすでにやっているだろうし、従業員のことを全く考えていないような企業はそのお金を賃金ではなく別のところに回すでしょう。であればそこにも規制をかけようとするかもしれませんが、もうそこまで行ってしまうと完全に共産主義そのものです。すべてを国が管理し、国民に従わせるという非常におぞましい社会が出来上がっていくことになります。

富の海外流出を懸念するのであれば日本も海外から富を奪えばよい

株主還元という形で富が海外に流れていくことを懸念しているようですが、これも特に問題があるようには思えません。そもそも自由主義というのはすべての人が自由に経済活動ができることが前提のはずです。基本的に日本人だろうが外国人だろうが条件は同じにしなければなりません。そうでなければ日本人が海外で投資活動をするときに規制をかけられることとなり、自由な経済活動ができないということになります。この理念は日本や欧米など民主主義の世界では共有されているはずで、だからこそ日本の個人や企業も海外で自由な企業活動や投資ができるのです。もし、海外の投資家に多くの富が流れているというのであれば日本も海外の富を日本に持ってくるようにすればいいだけです。それこそが我々や世界が目指す自由な資本主義であり、成長の源泉となるものでしょう。もちろん自由というのは無制限にあるわけではありません。決められたルールの範囲内で好きにしてよいということです。なので規制をすべてなくせということを言うつもりはありませんが、極力そういうことはするべきではありません。

まとめ

今日は岸田首相の発言から株主還元について考えてみました。正直岸田首相には本当にがっかりしています。ここまで経済感覚のない総理大臣というのは日本にとって損失でしかないと思います。岸田首相はおそらくは日本人みんなが豊かになってほしいと思っているのでしょうが、やっていることは皆が不幸になるようなことばかりです。資本主義というのは成長することを前提として成り立っています。なのできちんと成長できる社会を作らなければなりません。なのに規制をかけることばかりやっていては成長することなどできないでしょう。現に日本の厳しい規制のため、新しい分野の事業などは日本では企業しづらく、海外に出ていって起業しているというケースが非常に多くみられるようになってきています。こういう規制を撤廃することこそ今の日本に必要なのであって、過度な規制をかけることではありません。何とか岸田首相にはそこに気づいてほしいものですし、できないのであれば退陣をしてもらいたいです。そのくらい岸田首相には失望しています。