やはり岸田政権は金融所得課税の強化を諦めるつもりはないようです。

今日、ネットでニュースをチェックしていたら、非常に憂鬱になるようなものを見つけてしまいました。

金融課税、重要課題に明記へ 格差是正、来年以降議論 政府・与党

政府・与党が岸田文雄首相の掲げる所得再分配に向け、来年以降に金融所得課税の強化を本格的に議論する方向で調整に入ったことが16日、分かった。年末に決定する来年度税制改正大綱で、重要テーマとして議論を継続する「検討事項」に明記する。金融課税の強化には異論が根強いが、格差是正を目指す岸田政権の重点課題に位置付ける。

見た瞬間「やっぱりか」という気持ちが出てきました。朝から非常に嫌な気持ちになりましたが、当然無視することはできません。このニュースについて今日は見ていきたいと思います。

選挙が終われば言ったことを忘れるなど朝飯前

先月の衆議院選挙や9月の自民党総裁選でも話題になり、そのたびに否定してきました岸田政権ですが、やっぱり課税強化の方針は捨てていないようです。一応岸田総理も成長があっての分配といっていますが、その姿勢に多くの疑問符をつける発表であることは間違いありません。成長戦略についての話は殆どないのにもかかわらず、増税の話はこんなにも簡単に出てくるのかと、本当に納得の行かない話だと思います。このことを問いただせばおそらくはきちんと成長してからの話だと言うでしょうが、全く信用できるものではありません。もちろん与党内にも反対の声は多くありますから、すんなりと事が運ぶことはないでしょう。しかし、政府としての姿勢をここまで強くアピールするということは、なんとしても課税強化をしていくぞという意識の現れだと思います。

最近の岸田政権の動きは明らかに経済成長をさせるつもりがない

岸田総理は成長が先だと何度も行っていますが、最近の政権の動きを見ているととてもそうとは思えない動きがあります。16日には松野官房長官がガソリンなどのに掛けられている揮発油税を一時的に減税するいわゆる「トリガー条項」の凍結解除の方針について否定的な見解を示しました。その理由として、「ガソリンの買い控えやその反動による流通の混乱、国・地方の財政への多大な影響などの問題がある」ということを言っています。

正直言っている意味がわかりません。なぜガソリン価格が下がることが買い控えや流通の混乱を招くのでしょう。発表されてから発動されるまでの間に買い控えが起こり、それによる混乱のことを言っているのだと思いますが、そんなこと言ったら何もできなくなると思います。ガソリンのような日常的に使うものは買い控えなんて難しいものです。高くても買わざるを得ません。そもそも減税ではなく増税だって駆け込み需要やその後の反動による需要の低下は起こるでしょうから、この理屈では増税だってできないはずです。しかし消費税を始め、増税には一切の迷いはありません。明らかに矛盾した発言です。さらには原油高騰に対して元売り各社には補助金を支給するとの話もあります。

企業は保護するのに個人には一切手当なしというのはあまりにひどいとしか言いようがありません。しかも、元売りが補助金を受けたからと言って価格を下げる補償はどこにもありません。なんだかんだ理由をつけて下げない可能性だってあります。そうなってしまえば消費者にはなんのメリットもない政策となってしまうでしょう。税収が減ることも気にしているようですが、燃料費が高騰すれば経済は大打撃を受けるのは間違いありませんし、そうなれば税収だって減ります。なので減税できないという理由にはならないのではないかと思います。

岸田政権の本心を見極めるタイミング

今後のことを考えるともう一つ重要な問題があります。それは日銀政策委員の任期の問題です。現在の政策委員の顔ぶれのなかでいわゆる「リフレ派」と呼ばれる人たちがいますが、その中の一人、片岡剛士審議委員が来年の7月に任期を迎えます。そして再来年の3月には二人の副総裁、4月には黒田総裁の任期も来てしまいます。このように日銀の人事が大きく変わる時期が迫っているのです。なので、後任人事でどのような人物を岸田政権が選ぶのかがとても重要になってきます。なぜなら今後の金融政策が大きく変わる可能性もあるからです。もしここで財政均衡派の委員を多く入れるようなことになれば、これまで黒田総裁が行ってきた政策を180度転換するような動きが出てくるかもしれません。そうなったとき市場がどのように評価するのか、やり方を間違えればまた日経平均が1万円割れなんてことも起こる可能性も捨てきれないでしょう。

まとめ

今日は金融課税強化のニュースから最近の岸田政権の動きについて見てきました。正直、今の政権は当初の期待を裏切る結果になるのではないかと心配になります。以前にも言いましたが、今や投資は金持ちだけのものではありません。むしろ若くて所得の低い人ほど投資に興味を持ち、将来のためを思って始める人も多くなっています。そういう若い人の努力をする気力を削ぐようなことはぜひともやめてもらいたいものです。それと、揮発油税のトリガー条項を凍結解除する気がまったくない姿勢にもがっかりしました。今の物価高の状況を見る限り、今後もエネルギー価格は上昇する可能性が非常に高いと思います。このような状況が続けば日本の物流は完全に崩壊してしまうでしょう。企業活動も大きく低下することになり、経済は大打撃を受ける可能性がでてきます。そうなればますます日本の力は低下し、国際社会での発言力もなくなっていきます。その結果さらに自国に不利な状況を作られるという悪循環にハマっていくかもしれません。なんとかしてそのようなことはないようにしてもらいたいものです。

岸田政権にそのようなことができるのか。それを判断できる指標がおそらくは日銀の政策委員人事だと思います。来年7月に片岡剛士氏ともう一人、鈴木人司氏が退任されます。この後任にどのような人物を当てるのか。これによって政権がどのような方針で行くつもりなのかがわかります。結果しだいによっては来年7月の参議委員選挙に大きな影響を与えるでしょう。その結果、もしかしたら岸田政権の終焉となるかもしれません。正直その可能性が結構あるのではないかと最近の動きを見ていると感じています。ぜひともそうならないように、そして経済成長の足を引っ張るようなことだけはしないでほしいと、投資家としては切に願うばかりです。

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