ロシアのウクライナ侵攻よりも株式市場にとって重要なこととは

ロシアによるウクライナ侵攻が始まってしまいました。個人的な感想を言えばその可能性は低いと思っていたのでまさかという思いがあります。ただ、戦争などの国際的なものや身近な殺人や窃盗などの犯罪も含め、悪いことをする人というのは基本的に常識的な思考をなくしている人が起こすものだと思っています。なので合理的な判断をすれば、するわけないだろということが起きるというのは、案外当たり前なのかなとも思います。いずれにせよ非常に悪い方の予想が現実となってしまったために、市場も大いに荒れています。なので今日はウクライナ情勢から今後の株式市場がどうなるのかを考えてみたいと思います。

本格的な軍事侵攻が開始された

ロシアのプーチン大統領は24日、ウクライナ東部にある軍事施設に対する攻撃を開始したとの発表をしました。

NHKニュース

【NHK】ロシア軍は24日、ウクライナの軍事施設に対する攻撃を始めたと発表し、ロシアによる軍事侵攻が始まりました。ウクラ…

これによりほんかくてきなロシアによる軍事侵攻が開始されたことになります。以前からロシアによるウクライナ侵攻の懸念はありましたが、ついに実行されたことになります。細かい軍事的なことについてはここでは述べませんが、すでにサイバー攻撃などが掛けられていており、計画通り着々とことを進めているという感じです。これを執筆している現在も次々と新しいニュースが出てきており、すでに死者も出ているようです。首都キエフの陥落も近いなどの話もあり、予想よりもことが大きくかつ素早い動きを見せているように思えます。

市場は明らかにこの事態を織り込んでいない

今回のウクライナ侵攻はある程度予想はされていたとは思いますが、ロシアは踏みとどまるだろうとの予想の方が優勢だったように思います。だからこそこのニュースが流れた後は株式市場は大きく下落をしました。ゴールドマンサックスの予想によると、ウクライナ侵攻により最悪S&P500は6%、日経平均は9%の下落の可能性があるとのことです。

Bloomberg.com

ウクライナ情勢が本格的な危機に発展する場合、S&P500種株価指数に6.2%程度の急落の余地があると米ゴールドマン・サッ…

このように市場は明らかに今回の事態を織り込んでいません。よってしばらくはウクライナ情勢によって市場が大きく動く可能性があるということでしょう。

経済制裁がどの程度効果を上げるのか疑問

ウクライナ侵攻により、世界各国はロシアに対する制裁の動きを見せています。欧州をはじめ、米国や日本も制裁を行うことを発表しました。しかし、その効果がどの程度なのかは非常に不透明です。ロシアとしてもウクライナ侵攻をすれば経済制裁を科されることは十分予想していたと思われます。だとすれば経済制裁をしたところでロシアは軍事侵攻をやめるとも思えません。そもそもロシアという国はすでに経済制裁を受けています。そして冷戦終了後は常に経済は疲弊し、制裁を受け続けているような国なので、少々の経済的負担というのはもう国も国民も慣れっこになっているでしょう。そういう意味でも経済制裁というのがロシアにとって脅威となるのかは非常に疑問です。

むしろ経済制裁のダメージは欧州に跳ね返る

それよりむしろ、経済制裁は西側諸国にとってダメージが大きくなる可能性も大いにあるでしょう。ドイツをはじめ欧州は自国のエネルギーの多くをロシアに頼っているというところが多くあります。なのでロシアに経済制裁したところでそれが自国に跳ね返ってくるというところも多いはずです。そうなると欧州とロシアが同時に経済的なダメージを受けるということになります。だとすると、どちらがその制裁に耐え続けられるかという我慢比べのような感じになると思いますが、そうなった場合、勝つのはどちらでしょうか。その場合に勝つのはロシアであろうと私は思います。先ほども言いましたがロシアという国はもう経済的な疲弊というのに慣れ切っている国です。対して欧州はそういう負担に全く慣れていません。去年から今年にかけて天然ガス価格が異常に上昇したために欧州では光熱費が異常に上昇したというニュースはすでに知っている人も多いでしょう。その状況に不満を漏らし、政府批判をする人も多く見受けられます。民主主義国家としては非常に当然な反応です。しかし、このような反応を受ければ政府は当然エネルギー価格を抑えるために何とかしなければなりませんが、そのエネルギー価格の重要な要素の一つがロシアなのです。そうなるとロシアに対する制裁というのもいつまで掛けられるのかという疑問が出てきます。今はいいかもしれませんが、いつまでもエネルギー価格が高止まりしていると国民からの不満に政府が耐えられなくなるでしょう。そうなればロシアに対する制裁というのもなし崩し的に消えていくかもしれません。

ウクライナ侵攻よりもFRBの金融政策の方が株式市場にとっては重要

今回のウクライナ侵攻が経済に与える影響というのは当たり前ですが少なくありません。すでに原油価格は100ドルを超えてきました。ただでさえインフレが厳しい中、その流れに拍車をかける動きとなり、世界経済に対しては厳しい影響が出てくると思われます。特にエネルギー価格には注意が必要です。ただ、そうはいっても経済に与える影響というのはそこまで大きくないのではないかという印象はあります。ゴールドマンサックスの予想でS&P5006%ほど下げるという話をしたと思いますが、正直戦争が起きているのだからもっと下げてもおかしくないだろうというのが率直な感想です。なぜそうならないかといえばロシアもウクライナも世界経済から見ればたいした影響力はないということです。実際両国のGDPというのは非常に小さいものです。これが例えば米国と中国の間で起きたことであればこんなもんじゃないはずです。そういう意味では今回のことによって株式市場はそこまで大きな影響を受けないのかもしれません。むしろFRBの金融政策の方が重要であるとの声も大きく、投資家としてはそちらに注意した方がいいのかもしれません。今のところ今年はかなりのペースでの利上げが予想されていますが、ウクライナ侵攻により将来の不透明感が増していることは確実です。そのため予想よりもFRBの利上げのペースが緩やかになる可能性もあり、株価がこの先どうなるかというのはこれまた不透明なのです。

まとめ

今日はロシアのウクライナ侵攻のニュースから今後の株式市場がどうなるのかについて考えてみました。正直、ウクライナ侵攻の可能性は低いと思っていたのでかなりびっくりしました。まあ、世界というものはこういうものなのだなと暗澹たる気持ちになっています。株式市場について考えると短期的に大きく下げることはほぼ間違いないと思います。しかし、ゴールドマンサックスの予想にもあるようにそこまで大きな下落はないのだろうと感じています。むしろFRBの金融政策の方が市場に与えるインパクトは大きいと思うので、投資家としてはそちらに注意した方がいいでしょう。