夏までに1ドル170円に達する?

日米の金利差を背景に円安が進んでいますが、それがどの程度まで進むのかというのは誰しも気になるところでしょう。そんな中、今年の夏には1ドル170円に達する可能性があるという声も出てきました。流石にそこまで行くことはないような気はしますが、ちょっとしたキッカケで数円程度一気に動くなんてことはよくある話なので、現在の水準から気がついたらそこまで達していたとなっていてもおかしくはないのでしょう。

さらなる円安の可能性

先日、今後のドル円相場について、現状よりもさらなる円安になる可能性について指摘されていました。

米金融当局が利下げを待つ姿勢を維持すると示唆する場合、夏にかけてドルは170円まで上昇するリスクがあると、フランスの銀行ソシエテ・ジェネラルはみている。

  チーフ為替ストラテジストのキット・ジャックス氏は、ドルが150円を上抜けて上昇を続けていることでドル強気派が勢いづいていると指摘。過去30年間にドル円相場がオーバーシュートした例を参照すると、さらに13%動くと見込まれるという。

  インタビューに応じたジャックス氏は、「現時点で最も危険なのは、心理的に大きな節目を破った後で米金利見通しの期待が修正される時だ」と述べ、「1ドル=170円が実現するとすれば、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)までにあるだろう」と続けた。

  ロンドン時間19日午前のドル円相場は154円50銭前後で推移している。今週は一時154円79銭と、1990年以来の高値を付ける場面もあった。

  日本の当局が為替介入を繰り返せば円安の動きは鈍化するかもしれないが、日本の低金利と世界最大の対外資産保有国としての地位に全く変化はないと、ジャックス氏は論じた。

  市場が相対的な金利に注目している時には、行き着くところまで行かなければドル上昇の勢いを弱める手立てはほとんどないとジャックス氏は主張し、「このようなシナリオに沿って現在進んでいるのであれば、155円で止まると見込むべきではない。2020年からじりじりとした円安基調が見られているが、当時から何も変わっていない。それがゆっくりとしたペースで続いているのだとすれば、まだ続くだろう」と語った。

引用:bloombergより

このようにソシエテジェネラルでは夏までにドル円が170円に達する可能性について指摘していました。米国では依然として強いインフレのために想定よりも政策金利が引き締められ続ける可能性が出てきました。そのためドルが予想外に強く維持され続けており、現在のドル高の大きな要因となっているところです。対して日本では日銀が異次元緩和を終了しましたが、さらなる金利の引き上げについてはまだまだ不透明なところが多いです。一部ではすぐにでも金利は引き上げられるだろうという期待もありますが、実際にはそこまで積極的に利上げを行っていくような声は聞こえてきません。そういう意味ではそうかんたんに日銀は政策金利を上げては来ないでしょう。仮に日銀が政策金利を引き上げたとしてもそれは非常に小規模なものになるでしょうし、それ以降一気に金利を上げていくということにはならないでしょう。そして多少円の金利が上がったところでドルとの金利差は途方もなく大きく、そうかんたんに今の為替レートが変わるほどのものにはならないと見ておいたほうがいいような気がします。

個人的にはそこまでの円安にはならないような気がする

1ドル170円というのは流石にないような気はしますが、現状の150円半ばが天井と言い切ることも難しいような気はします。FRBはおそらくしばらく政策金利は据え置くでしょうし、最悪、年内の利下げを見送る可能性も小さくはないような気がします。対して日本では先程も言いましたが、まだまだ金融緩和政策から抜け出すような状況ではなく、多少の政策変更があったとしても状況を大きく変えるようなものにはならないでしょう。そういう意味で今後、よほどのことがない限りは以前のような円高水準にはならないのかなという感じがします。特に最近の急激ドル高の流れは日本もそうですが諸外国でも問題の一つとなっています。先日の韓国との競技の中で過度な円安やウォン安に懸念が表明されたように、外交の舞台でも為替水準が問題となってきたことを考えると、これ以上の急激な動きというのはなかなか難しくなるのではないかという感じもします。そういう意味では個人的にはそこまで円安にはならないのではないかという結論です。

まとめ

今日は今後の為替市場の動きについて見てきました。あと3ヶ月程度で15円近く円安になるというのは流石に厳しい上な気はしますが、ちょっとしたきっかけでそうなるかのせいもゼロではないことは事実です。しかし、現実問題としてはなかなか厳しいのかなという感じです。ただ、いずれにせよ以前ほどの円高にはもうならないような気はしますし、この程度の円安水準が継続する可能性も十分あるのだろうとは思います。