さらなる利上げの可能性はあるのか

インフレの底堅さを背景に利下げどころか利上げの可能性すら指摘され始めていますが、当局からはその可能性については否定する発言が出てきています。もちろん全てはデータ次第であり、今後の展開次第ではどうとでもなるとは思いますが、少なくとも今のところはその可能性については否定的なようです。

利上げの可能性について否定

先日、リッチモンド連銀総裁のバーキン氏がメディアにて以下のような発言をしています。

米リッチモンド連銀のバーキン総裁は、需要は堅調だが米経済は過熱の兆候を示していないと述べた。

  同総裁は16日にノースカロライナ州マウントエアリーで収録されたブルームバーグのポッドキャスト番組で「需要は堅調だが、過熱の兆候はまだ見られない。そして、過熱すれば賃金や物価の上昇圧力につながるだろうが、賃金の数字にも、3カ月の物価指標にもそれは見られない」と発言。今のところ、過熱に向けた「持続的な」トレンドの兆候はなく、政策スタンスを利上げバイアスにする必要はないと続けた。

  バーキン氏によれば、堅調な需要と依然として目標を上回るインフレ率の組み合わせは、金融当局の方向性が明確であることを意味している。「現在、健全だが過熱していない需要と、頑強に高止まりしているインフレがある。そのため、政策の道筋は極めて明快だと思う」と述べた。

  同氏は企業の値上げ願望と米労働市場の継続的な好調が相まって、物価を押し上げているとしながらも、最近のインフレ率が予想を上回っていることについては住居費の上昇を強調した。米消費者物価指数(CPI)の伸びは前年同月比で3%台に低下しているが、持ち家を賃貸する場合の想定家賃である帰属家賃(OER)は依然として前年比で6%近く、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)直前の3.2%を大きく上回っている。

  バーキン氏は「私は住宅が値下がりする可能性に対してオープンだ。新規家賃は下がってきており、住宅費のインフレも近く鈍化することを示唆するモデルもある。そうなれば、すばらしいことだ」と語った。

引用:bloombergより

バーキン総裁はこのように述べ、現状では利上げについては考えていない旨の発言をしています。インフレは底堅いですが、経済状況はそこまで加熱しているわけではなく、もう一段の利上げの必要はないだろうということです。このような発言はバーキン総裁が初めてなような気がしますが、これまでの発言を見る限り、FRB内でもそう大きく見解は違わないのではないかという感じがします。実際、インフレはなかなか落ち着く気配を見せませんが、更に加熱していると言うにはやや無理があるような気がしますし、今の所のスタンスとしてはこのぐらいが丁度いいのでしょう。

現状が変わらなければ利上げはないだろう

流石に利上げについてはそのハードルはまだまだ高いのだろうという感じです。ここからさらに景気が加熱すればその可能性についても議論されていくのでしょうが、現状が少なくとも維持されるのであれば金融政策も更に占めるということもなさそうです。おそらくはインフレはゆっくりゆっくりと減速していくことでしょう。そういう意味では利下げは相当程度後退すると思われ、その規模も小規模となるでしょう。今のところはその可能性が一番高いのかなという感じがします。

まとめ

今日はさらなる利上げの可能性について考えてきました。やはりもう一段の利上げというのは今のところないと言っていいのでしょう。一部ではその可能性について指摘する声もありますが、現状を大きく変えるような事態にならない限りはそうならないような気がします。ただ、いずれにしても全てはデータ次第であることは頭に入れておくべきです。