多くの連銀総裁から発せられる利下げ否定論

利下げの可能性はより低下したと言っていいのかもしれません。昨日は地区連銀総裁等が今後の金融政策についての発言をしていましたが、いずれも今後の利下げの可能性については消極的なものでした。年内に利下げが行われない可能性についても言及するものもあったりと、これまでに比べるとかなり利下げには消極的なものになっているような気はします。そういう意味では今後の金融政策もしばらく高く維持される可能性はより高くなったと見たほうがいいのでしょう。

相次ぐ利下げ消極発言

昨日は多くのFRB関係者が今後の金融政策について言及していました。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、利下げを急ぐ必要はないとし、開始時期は経済データに基づいて判断すべきとの考えを示した。

  総裁は18日、ワシントンで開かれたセマフォー世界経済サミットで講演。「金融政策は良い位置にある」と述べた。利上げの可能性についての質問には、自身の基本シナリオではないとしつつ、金融当局のインフレ目標を達成する上で経済データが正当化する場合は、利上げもあり得ると語った。

  講演で総裁は、「現行の政策金利を維持すれば、徐々にわれわれの目標に近づいていくだろう。利下げの緊急性は全く感じていない」と発言。

  「金融政策はわれわれが望む通りの効果をもたらしていると、私は考えている」と語った。

  主要な消費者物価指数は3カ月連続で伸びが市場予想を上回っており、インフレ面での進展が失速しつつあるとの懸念が高まっている。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先に、インフレ鈍化の面で一段の進展が見られないと指摘。物価上昇圧力が根強く続いた場合は、金融当局は「必要な限り」金利を据え置くことが可能だと述べている。

引用:bloombergより

このようにニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は述べ、利下げについて急ぐ必要はないとの見解を示しています。現状、インフレは非常に強く、想定よりも鈍化していないことは事実です。また、経済状況も危ういところはあるとはいえ、金融政策による後押しが必要というほどではないでしょう。そういう意味ではより確実にインフレが落ち着くのを確認してから行動すべきという判断は当然といえば当然であると言っていいような気がします。

よほどのことがない限り、この流れは変わらなそう

ウィリアムズ総裁の発言というのは何も特異なものではありません。この他にもアトランタ連銀のボスティック総裁やミネアポリス連銀のカシュカリ総裁など多くの関係者が同様の発言をしており、今後の金融政策については厳し目の予想をしています。つまりは利下げの時期というのは相当に遅く、また小規模になる可能性が高くなってきたと言っていいのでしょう。これだけ強い経済指標が相次いでいるのであれば当然だと思いますし、経済状況もそう悪くはないのでより確実なインフレ抑制を求めるというのも無理はないような気はします。もちろん、今後の経済状況によってはこれらが大きく転換される可能性も十分にあるとは思いますが、現状そう考えるのはやや楽観的すぎるかなと感じます。

まとめ

今日は今後の金融政策についての発言について見てきました。やはり利下げは相当程度遅れると見たほうがいいでしょう。今後、よほど経済指標が悪化したり景気が急激に鈍化するなど特殊な状態にならない限り、想定以上に小規模の利下げとなる可能性が高くなったと言っていいと思います。そういう意味では今後の展開についても修正作業が必要となるのかもしれません。