昨年12月のPCEも大きく鈍化。利下げの時期は確実に近づいているが、それがいつかはまだ決めつけるべきではない

インフレは確実に鈍化してきているようです。昨年12月のPCEは伸びが大きく鈍化し、物価の伸びが予想よりも落ち着きを見せてきていることが確認されました。このため、3月にも利下げが行われるのではないかという期待が再び高まってきている状態です。

PCEは大幅に鈍化

昨日発表された昨年12月のPCEは伸びが大きく鈍化し、インフレが確実に落ち着いてきていることを確認する内容でした。

連邦準備制度理事会(FRB)が基調的なインフレを判断する上で重視する物価指標は、前年同月比の伸びがほぼ3年ぶりの鈍いペースとなったことを示した。好調だった年末のホリデー商戦も、インフレ加速につながらなかった。近く政策金利の引き下げが始まる可能性を巡り、議論は続いている。

  インフレ調整後の実質PCEは2カ月連続で前月比0.5%の増加。2カ月分の伸びとして約1年ぶりの大きさとなった。賃金・給与が引き続き強い伸びとなったことが消費を後押しした。個人消費を支える実質可処分所得は前月比0.1%増で、3カ月ぶりの低い伸びだった。

  2023年はFRBやウォール街が予想した以上に著しくインフレが減速した年だった。一方で、堅調な雇用市場が個人消費を支え続けた。こうした勢いは今年幾分か和らぐと見込まれているが、リセッション(景気後退)は依然免れるというのが大方の予想だ。

  それでもFRB当局者らはインフレとの闘いで勝利を宣言することには依然慎重で、沈静化の持続的な兆候を確認してから利下げを始めたい考えを示している。すでに利下げについての議論は始まっているものの、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では政策金利を20年ぶりの高水準に据え置くと見込まれている。

  統計発表直後の米国債利回りは上下に変動、S&P500種株価指数先物は上昇し、ドルは下げた。市場が織り込む3月利下げの確率は約50%となっている。

  FRBが目指す2%のインフレ率は、一部の指標ではすでに達成したことが示されている。コア価格指数は6カ月間の年率ベースで12月に1.9%上昇。2カ月連続で2%を下回った。

  LHマイヤー/マネタリー・ポリシー・アナリティクスのエコノミスト、デレク・タン氏は「FRBがインフレ目標を達成したとの証拠は次々と積み上がってきている」と述べ、これで利下げ見合わせを年央まで引き延ばすのはさらに難しくなると指摘した。

  ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール、エステル・オウ両氏は「数カ月内の利下げと量的引き締め(QT)テーパリングに向けた舞台が整った。FOMCはソフトランディング(軟着陸)を達成しようと、3月にフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを引き下げ始めるというのが、われわれの予想だ」と述べた。

  米金融当局が特に注目する住宅とエネルギーを除くサービス業の価格指数は、前年比3.3%上昇に鈍化し、2021年の早い時期以来の低い伸びとなった。

引用:bloombergより

このようにインフレは確実に鈍化してきています。そのため市場では3月に盛り下げが行われるのではないかという期待が再び高まってきています。一時期は早期の利下げは期待できないのではないかという雰囲気が出てきていましたが、ここへ来て再びその予想は強くなってきました。実際、PCEは現在のFRBがインフレを評価するときに非常に重要視している指標です。そういう意味でもPCEがここまで弱くなってきているということはその可能性が十分に高まってきたと言っていいのかもしれません。

利下げ期待はまだ早い

インフレは確実に鈍化してきていることは事実でしょう。しかし、実際に利下げが3月に行われるかどうかはまだなんとも言えないというのが正直なところでしょう。パウエル議長をはじめ、多くの関係者は利下げに対してかなり積極的な発言をしてきています。そういう意味ではその期待は高まりますが、すでに決定事項であるということではありません。全てはデータ次第ですし、それによってどのようにも変化してくることでしょう。そういう意味ではまだ3月に利下げが行われると決めつけるのは早いような気がします。それまでに重要な経済指標の発表はたくさんありますし、それによってどのようにも変化してくるでしょう。それくらい今のFRBは柔軟に、そして慎重に事をすすめている印象です。そういう意味では早期の利下げの可能性は高くは立っては来ているけど、まだまだ十分ではないといったところだろうと思います。

まとめ

今回は12月のPCEについて見てきました。インフレは確実に鈍化してきています。ですがいつ利下げが行われるかはまだなんとも言えません。市場の期待するような早期の利下げの可能性は十分にあるとは思いますが、これからの状況次第でなんとでも変化してくることでしょう。そういう意味では3月のFOMC直前まで事態はどうとでも変わるということは覚えておいたほうがいいでしょう。