新規失業保険申請件数はやや悪化

米国の労働市場は強さを維持しながらも弱さも見せ始めています。昨日発表された新規失業保険申請件数はやや悪化し、労働市場にも変化が出てきた可能性を示唆するものでした。強い労働市場がこれまでの米国経済を支えてきていただけに、この変化は少し気になるところではあります。

新規失業保険申請件数はやや悪化

昨日発表された新規失業保険申請件数はやや悪化したことを示すものでした。

米新規失業保険申請件数の統計では、継続受給者数が6週連続で増加した。失職者が新たな仕事を見つけるのが一段と難しくなり始めていることを示唆している。

 より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均もわずかに増加した。

  人員採用のわずかな後退ですらも労働者に影響を及ぼし得ることを今回の統計は浮き彫りにしている。企業は健全なペースでなお雇用を増やしており、失業率は低水準にとどまっているが、雇用のペースは失速しつつあり、職探しが長期化している人もいる。

  ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ルビーラ・ファルキ氏は「全体的に、水準はまだ低い状況だ。経済活動や需要が依然強いことを踏まえ、企業はまだ本格的な人員削減には着手していない」と指摘。「しかし、継続受給者数の数字は労働需要が軟化しつつある兆しとして注目に値する」と述べた。

  申請件数は季節調整前ベースでは19万6767件に増加。州別ではミシガンやカリフォルニア、ノースカロライナでの増加が目立った。ニューヨークでは減少した。

  全米自動車労働組合(UAW)による米3大自動車メーカー(ビッグスリー)でのストライキが今回の申請件数増加につながった可能性もある。ストライキ中の労働者は大半の州で失業保険を得る資格を持たないが、各社は全米各地の工場で労働者を一時帰休させた。UAWはこれまでに、労使交渉で3社と合意に達している。

  サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンレー氏は「皮肉にも、UAWのストが終結した今、失業保険申請件数の数字にようやく著しい影響が見られ始めつつある」と指摘。「大幅な増加にはなっていないが、ここ数週間の増加分の大部分がストに関連していると十分に考えられる」と述べた。

  3日に発表される10月米雇用統計は労働市場の方向性に関して、さらなる全体像を示す見通し。雇用者数は18万人増の予想で、新型コロナウイルス禍前のトレンドを依然上回る水準だ。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場はやや強さを失いかけているのかもしれません。数値としては依然として強いことには変わりありませんが、やや勢いを失っている可能性があります。もしそうであれば今後の米国経済にも大きな影響を与えることでしょう。ただ、米国では現在、自動車産業で大規模なストライキが行われており、その影響の可能性もあるということで慎重な判断は必要だと思われます。

まだ結論は出せない

強い労働市場もいつかは軟化することにはなるとは思いますが、それが今回7日は正直なんとも言えないというところです。確かにやや力強さを書く内容でしたが、失速と決定づけるほどではありません。しかも自動車産業でのストライキという特殊な要因もあることを考えればそこまで申告になることはないのかなという気もします。何れにせよ今回のことだけでどうこう言えることはないでしょう。引き続き状況を監視し、継続的に悪化を示すものが出てくることがなければそこまで悲観することはないのかなという印象です。

まとめ

今日は新規失業保険申請件数について見てきました。やや弱さを見せたようにも見えますが、大規模ストライキも行われていることもあり、なんとも判断が難しいというのが正直なところです。とりあえずは頭の片隅に入れておいて、今後の経済指標の行方に注視していくのがいいのかなというところでしょう。