米国の政策金利は4.3%を超える?

今週はFOMCも開催される一週間となるため、金融政策に対する注目というのはいつにもまして高くなるのかなという印象です。いつまでこの利上げというものが続いていくのか、気になっている投資家も多いのではないのかなと思います。そんな中、元財務長官のローレンス・サマーズ氏がイベントで発言をし、FRBはFF金利を4.3%を超える水準まで引き上げる必要があるとの発言をしました。現在、FF金利は2.5%ですから今の水準から1%以上の引き上げが必要とみており、まだまだ厳しい引き締めは終わらないとみているのでしょう。そういうわけで今日はサマーズ元財務長官の発言についてみていきます。

FF金利は4.3%を超える水準になる必要がある?

先週15日、元財務長官のローレンス・サマーズ氏はハーバード大学行政大学院のイベントで、FF金利を4.3%を超える水準まで引き上げる必要があるとの発言をしました。

サマーズ元米財務長官は15日、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局について、インフレを抑制するには最終的に4.3%を上回る水準に政策金利を引き上げる必要があるだろうとの見解を示した。

  ハーバード大学行政大学院(ケネディスクール)のイベントで発言したもので、米金融当局が確実にインフレを抑制したいのであれば、4.3%よりも高い水準まで利上げしなければならないだろうと指摘。ただ、「当局にとってそれは今すぐ決断を求められるものではない」とも話した。

  また、20、21両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での金融政策決定に関し、0.75ポイントの利上げの方が0.5ポイントだけの引き上げよりも良いことは「至極明白だ」とした上で、「当局が利上げを続けなければならないのは確かだ」と語った。  

  サマーズ氏はさらに、米金融当局者の経済予測をあらためて批判。「予測に当たってもっと現実的かつ誠実であるべきだ」と話した。最新の四半期経済予測は21日の会合後に政策決定と共に公表される。

引用:Bloombergより

サマーズ氏はこのように述べ、FF金利を現在の水準よりもさらに引き上げる必要性について発言をしました。サマーズ氏はかねてよりパウエル議長をはじめ、FRBの金融政策について厳しい批判を展開してきました。一連のFRBの動きというのは明らかに間違いであり、現在のこの状況を作った原因の一端はFRBにあるといった感じの発言をしています。

常にFRBに厳しいインフレ政策を要求してきた

サマーズ氏はいつもFRBに対して厳しい批判をしてきましたが、最近ではその行動を称賛したこともあります。パウエル議長がジャクソンホール会議で非常に厳しい発言をしたときです。市場ではこの発言を意外と見てかなり大きな反応をしましたが、サマーズ氏はようやく現実を直視した発言をしたパウエル議長に対して正しい判断だとしています。そういう意味では現在のFF金利の水準というのはとても容認できるものではなく、インフレ抑制のために厳しい政策を続けるべきだということでしょう。

そのサマーズ氏ですら100bpでの利上げは求めていない

しかし、当然ながら急激な金利上昇というのは経済にとってダメージが非常に大きなものとなります。そのため利上げの際には非常に慎重な判断が求められるものです。インフレを抑制するだけであればもっと急激な利上げを行ってもいいのかもしれませんが、それだと悪影響の方が大きくなってしまいます。その一番いいバランスのところが今回は75bpということなのだと思います。あげられるのであればもっと上げたいところですが、それ以上はさすがに副作用の方が大きいといったところでしょう。市場では100bpでの利上げの可能性についても考えられていますが、サマーズ氏のような人でさえ100bpでの利上げの可能性については考慮していません。そういう意味では100bpでの利上げというものがどれだけ厳しいものなのかというのはわかるのではないかと思います。

まとめ

今回はサマーズ元財務長官の発言についてみてきました。4.3%を超える水準というのは今よりも2%近く金利を上げる必要があるということです。そうなると9月以降も大幅な利上げが続いていくということですし、その必要があるとみているのでしょう。そうなるとさすがに経済は減速をしそうですし、株式市場にも大きな影響が出てくると思います。サマーズ氏はかねてより現在のインフレを抑制するにはある程度の景気減速は必要とみており、そうなっても仕方ないと感じているのだと思います。確かにインフレは抑制できるとは思いますが、投資家にとっては厳しい未来が待ち受けているのだろうという印象です。まあ、ここまで来てしまったのだからどうしようもありません。仮に減速したとしてもそのあとはまた上昇を始めるでしょう。ITバブルやリーマンショックでも大きな下落の後は株式市場は上昇をしてきました。今回もどのようになるかはわかりませんが、必ず明るい未来は来るのではないかと思っています。