ソフトランディングはやっぱり難しいのかな

先日、元財務長官のローレンス・サマーズ氏の発言について記事にしました。そのサマーズ氏ですが、まだまだその勢いは衰えるところを見せず、FRBに厳しい態度でインフレに臨むことを求めています。実際にその内容が正しいのかどうかは私のようなものには判断しかねるというところですが、聞いておいて損はないでしょう。というわけで今日もサマーズ氏の発言について見ていきたいと思います。

インフレに対しては厳しく望むべき

サマーズ氏は以前よりFRBの金融政策について批判的な発言をしてきました。FRBの誤った政策によって今のインフレはもたらされたということでしょう。もちろんすべてがFRBのせいだということはないでしょうが、少なくともやるべきことをやっていないという見解なのだと思います。

サマーズ元米財務長官は16日、米金融当局が積極的な金融引き締めを手控えていることに異議を唱え、消極的な姿勢はより大きな経済的ダメージをもたらすと論じた。

  サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンで、「インフレに対する政策調整が過度に遅れ、そのため極めて著しいコストが生じた多くの例が過去にある」と発言。「私の認識では、米金融当局がインフレに過剰なスピードで対応し、大きな代償を払った主な例は一切ない」と述べた。

  サマーズ氏は、高インフレを克服したことで知られるボルカー元米連邦準備制度理事会(FRB)議長すらも「出だしは失敗のようなものだった」と強調した。

  「われわれは著しい基調インフレの問題を抱えている。これは非常に大幅な金融政策調整なしでは解消しない」とサマーズ氏は指摘。「市場はその事実に目覚めつつある」と語った。同氏はハーバード大学名誉学長でブルームバーグテレビジョンの寄稿者でもある。

  「米政策金利は最終的に4.5%を下回るよりも、それを上回る可能性の方が高い。5%超えを余儀なくされても私には意外ではないだろう」とも話した。

引用:Bloombergより

サマーズ氏はこのように述べ、FRBにはより積極的な姿勢で金融政策に臨むことを求めています。サマーズ氏によれば、インフレに対して対応が遅れればそれだけより多くの代償を求められることが多いが、行き過ぎたとしても大きな代償を払ったことはないということです。この見解に関しての審議については私にはわかりません。人間の体に例えるとガンが大きくなった後に対処するのは大変大きな代償を払うことになるが、小さいうちやまだガンになる前からきちんと予防措置を講じたりすれば払うコストは小さくなるという感じでしょうか。確かに理屈はわかりますし、その通りなのかなとは思います。病気も早めの対処をした方が時間もお金もかからずに済みます。そういう意味ではこの発言の内容というのは十分に考える必要がありそうです。

果たしてどちらが正しいのか

ただ、あくまでこれは理論的な話であり、実際現状にどの程度当てはまるのかということはわかりません。当てはまらないと思っているからこそ緩和派の人たちはあまり引き締めすぎるのは良くないというのでしょう。人間の体についても病気でもないのに投薬をしたり、手術をしたりすれば副作用の方が大きくなってしまいます。そういう意味ではきちんとした現状認識が大切なのでしょう。

やはりソフトランディングはむずかしいのではないか

では実際のところどうなのかというと、個人的にはやはりサマーズ氏の考えの方が正しいのかなという感覚です。もちろん私はそれを判断するほどの知見は持ち合わせていないので、論理的な反論はできませんが、現状のような異常なまでのインフレを見る限りは安穏としていていいとはとても思えません。FRBが望むようなソフトランディングができるのであればそれに越したことはないですが、もしできなかったり、できたとしてもそれが非常に難しいというのであれば思い切って痛みを伴う行動に出る必要があるのかなという感じです。その方が結果として払う代償は少なく済むのかなと思います。目先の小さな利益を求めて大きな損をするよりも、今小さな損失を確定させ先の大きな利益を求める方が賢明な気がします。

まとめ

今日も元財務長官のローレンス・サマーズ氏の発言についてみてきました。実際のところどうなるかは何度も言いますが私にはわかりません。パウエル議長をはじめ、FRBには何とか頑張ってほしいところです。個人的にはソフトランディングはなかなか厳しいのかなという印象がありますが、果たしてどうでしょうか。いずれにせよ投資家としてやれることは限られていますし、何も変わることはありません。上昇するのであれば当然いいことですし、下落するのだとしても株を安く買えるチャンスにもなりますからそれも問題ありません。つまりどっちでもいいのです。そう考えるとこのような経済状況下でも比較的楽になれるのかなと思います。