金利はしばらく高止まりする可能性は高いまま

物価の落着きを想像させる経済指標が相次ぐ中、FRB関係者の意見もやや引き締めのペースを緩める傾向になってきているようです。今週も多くの関係者が講演等で発言をしましたが、総じて利上げのペースはやや緩める必要があるとの見解だったように思います。ただ、依然としてインフレは強く健在であり、金融緩和の可能性についてはまだそこまで高くないのかなという印象です。

利上げのペースはやや緩やかになるか?

ボストン連銀のコリンズ総裁は会合において、今後インフレ抑制のために利上げは必要との認識を示したが、そのペースについてはやや緩める必要性があるという発言をしました。

米ボストン連銀のコリンズ総裁は19日、インフレ抑制のための金融引き締めは続いていくが、利上げペースをもっと緩やかにするのが好ましいと述べた。同連銀主催の会合での発言。

  総裁は「政策金利が景気を抑制する領域に入り、最新の指標に基づくとピークに近づいている可能性が示唆された現在、当初の急速な引き締めペースをより緩やかな速度にシフトしたのは適切だと考える」と説明。「現段階でより慎重に金利調整を行うことで、金融政策が現在直面している相反するリスクに一段と対応しやすくなる」と続けた。発言内容は事前原稿に基づく。

  昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で公表された参加者の金利予測によれば、中央値で年末までに5.1%に利上げし、その後2023年を通じて同水準で据え置くとの予想が示された。コリンズ総裁も同様の認識だ。

  総裁は「金融政策当局者として、物価の安定回復は引き続きわれわれの責務だ」とし、「よって、5%を若干上回る水準へとさらに利上げし、その水準でしばらく維持する必要があると私は見込んでいる」と述べた。総裁は今年のFOMCで投票権を持たない。

  インフレ鈍化に向けた金融当局の積極的な利上げを受け、米経済が深刻なリセッション(景気後退)に陥るとの懸念も一部で広がっているが、コリンズ総裁はそこまで悲観的に見ていない。

  労働市場の堅調さ、また企業と家計の支出継続から判断し、「深刻な景気低迷を引き起こさずにインフレを鈍化させる道はあると適度に楽観している」と総裁は発言。その上で、より厳しい景気低迷を含め見通しにリスクがあることも認めた。

引用:Bloombergより

このようにコリンズ総裁は今後インフレ抑制のために引き締めは必要との認識だが、そのペースについてはやや緩める必要があるとの発言をしています。依然として高いインフレを考えれば金利は高くしなければならないというのは当然でしょう。しかし、そのインフレがやや落ち着いてきていることも確かであり、これまでのような急激な利上げというのはこれからはデメリットの方が多いとみているのだろうと思います。

金利は高く据え置く必要がある

FRBのブレイナード副議長も講演において今後インフレ抑制のために金利は高く据え置く必要性があると発言しています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード副議長は、インフレには減速の兆しが見られるがなお高過ぎるとし、これをさらに抑制するには金利を高い状態でしばらく維持する必要があるとの見方を示した。

  ブレイナード副議長は19日、シカゴ大学ブース経営大学院でのイベントで講演。「インフレは最近緩やかになったものの、依然として高い水準にあり、これが持続的なベースで2%に下がることを確実にするには、十分に抑制的な金融政策をしばらく続ける必要があるだろう」と述べた。発言内容は事前原稿に基づく。

  1月31日に始まる次回連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を0.25ポイントに縮小する是非について、考えを明示するには至らなかった。政策金利が今年、どこまで引き上げられるかについての言及もなかった。

  ブレイナード氏はここ数カ月の経済データが消費者需要の冷え込みと賃金の伸び減速、金融の引き締まりを示唆したと指摘し、40年ぶりの高水準に昨年急伸したインフレを抑え込もうとする当局の取り組みが、いずれも好ましい結果をもたらしたと述べた。

  12月のFOMCで利上げ幅がそれまでの0.75ポイントから0.50ポイントに「ダウンシフト」したことについて、ブレイナード氏は「政策金利は十分に抑制的な水準に近づいており、われわれの2大責務に関連したリスクを考慮すると、ダウンシフトはより多くのデータを評価することを可能にする」と述べた。

引用:Bloombergより

このようにブレイナード副議長もインフレが落ち着いてきていることを認めながらも、依然として高い水準であり、金利を下げることはできないという認識を示しています。

今年は金融での支援は期待できない

この二人以外にも多くの発言が出てきています。総じてインフレが落ち着いてきていることは認めながらもまだ緩和をするという認識はなく、しばらく金利は高止まりさせるというのが多くの意見だと思います。多少の意見の違いはありますが、大まかな流れの認識は一致しているのかなという印象です。なので今後はややペースを落とした利上げが継続され、インフレが確実に落ち着いてきたと確認されるまでは金利が下がることはないでしょう。今のように労働市場が堅調であるのであれば予想よりもやや高い位置まで金利は上昇し、そしてそれがしばらく維持される可能性が高いのかなという印象です。

まとめ

今日はFRB関係者の発言についてみてきました。インフレが落ち着いてきたという認識はほぼ共有できているのかなという印象です。そしてしばらく金利は高止まりするということも間違いないでしょう。そのペースやどこまで引き上げるかというところはやや相違はありますが、基本的な考え方は同じなような気がします。よってよほどのことがない限り今年は金利は高いまま推移し、早くても利下げは年末か年明けという形になりそうです。そういう意味では今年株価がいくら低迷したところであまりFRBからの支援は期待できないのかなという印象です。