3月のPCEは予想以上に強い。利下げが行われるのはまだまだ先の話となるでしょう。

米国のインフレ圧力は依然として健在です。昨日発表された3月のPCEは市場予想を上回る上昇を示し、インフレが引き続き強さを維持していることが確認されました。PCEはFRBがインフレ指標として非常に注目している指標でもあり、この結果から利下げの判断はより後退することが予想されます。

3月のPCEは予想以上に強い

昨日発表された3月のPCEは市場予想を大きく上回るものとなりました。

米金融当局が重視する米個人消費支出(PCE)コア価格指数は3月に堅調なペースで上昇した。継続的な物価圧力に対する懸念を強め、利下げを先送りさせる可能性が高い。

  インフレ調整後の実質PCEは前月比0.5%増と、予想を上回り、年初来で最大の伸びを示した。

  1-3月(第1四半期)のインフレ率上昇は、堅調な家計消費と相まって、金融当局が利下げを実施するにしても、先延ばしするよう促す可能性が高い。来週開催される連邦公開市場委員会(FOMC)会合では、借り入れコストは20年ぶりの高水準で据え置かれる見通し。

  JPモルガン・チェースのチーフエコノミスト、ブルース・カスマン氏はブルームバーグテレビジョンで、「高金利でも経済が持ちこたえているという話と、インフレ圧力が根強いという話の両方がある。金融引き締めという観点から話をするのは正しいとは思わないが、すぐに緩和に向かう可能性はかなり低いと思う」と述べた。

  金融当局は住宅とエネルギーを除くサービスインフレに注目している。この指標は前月比0.4%上昇し、前月から加速した。

  インフレ調整後の財への支出は1.1%増加した。耐久消費財への支出が2月連続で堅調となったことを反映した。一方、サービス支出は0.2%増にとどまった。

  労働需要は依然として健全で、賃金の伸びを支えている。賃金・給与は2カ月連続で0.7%増加した。2カ月としては昨年初め以来の強い伸び。

  貯蓄率は3.2%に低下し、2022年10月以来の低水準となった。

引用:bloombergより

このように米国のインフレは未だ健在であり、弱さを見せる気配がまったくないと言っていいのかもしれません。インフレは少し前に落ち着きを感じさせるような状況になってからは順調に低下していき、利下げもすぐに実行されるだろうという空気が多くありましたが、そんなことがあったなどとは全く感じさせないほどの強さを見せ続けています。経済についてはやや失速の兆しを見せることはありますが、インフレ指標は何があっても強さを失わず、米国経済を苦しめ続けているという印象です。

利下げはまだまだ先

ある程度予想はしていましたが、やはりインフレはそうかんたんには失速しないということなのでしょう。今回のPCEの結果を持って、利下げの判断が行われることはまずないと言っていいような状況です。そういう意味で金融政策は引き続き厳しい状況下に置かれることになるでしょう。そういう意味でもドルが強い状況には変化がないと言っていいような気がします。もちろんこの状況が永遠に続くということはありません。いつかの段階でインフレも落ち着きを見せ、金融政策も緩めることが可能になるのは間違いありません。しかし、その段階が来るのは想像するよりもかなり先の未来になるということは覚悟しておいたほうがいいでしょう。

まとめ

今日は3月のPCEについて見てきました。インフレはまだまだ健在であり、米国経済を引き続き苦しめ続けるでしょう。そして金融政策も弱められることなくしばらく行くことは決定されたと見ていいような気がします。