1月の米小売売上高は大幅に減少。消費者の購買力は確実に低下してきている。

米国の消費はやや力強さを失っている可能性があります。昨日発表された1月の小売売上高は大幅に減少し、消費者の購買力が落ちてきている可能性を示しました。消費が落ち込むということは経済にとっても大打撃であり、今後の金融政策にも大きな影響を与えるかもしれません。

消費者の財布の紐は硬い

昨日発表された1月の小売売上高は市場予想を大きく下回るものでした。

1月の米小売売上高は広範に減少し、約1年ぶりの大幅減となった。昨年末ホリデー期間の消費は力強く伸びたものの、個人消費には一服感が出ている。

  自動車を除いたベースの小売売上高は0.6%減少した。前月は0.2%増。

  13項目のうち9つで減少。建設資材店や自動車ディーラーの減少が目立った。

  厳しい冬の天候がこの数字に影響したかもしれないが、売り上げが持続的に減少すれば、家計消費が悪化する危険性があることを示す。消費者はこれまで力強い経済成長を支え、リセッション(景気後退)を回避する上で一助となってきた。

  国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建設資材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は0.4%減。昨年3月以来のマイナスとなった。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエステル・オウ氏はリポートで、「消費者はホリデーシーズンの後、寒波の影響で支出を控えたが、これはほぼ予想通りだ。消費低迷は金利に敏感な分野に集中していたとはいえ、1月の減少は広範囲に及んだ。借り入れコストの上昇とクレジットカードの延滞を背景に消費者が財布のひもを締めたためだ」と指摘した。

  小売売上高は主に財の購入を反映しており、これが全体の消費支出に占める比率は比較的小さい。インフレ調整後の財とサービスへの支出を反映する1月の個人消費支出(PCE)は今月29日に発表される。

  小売売上高で唯一のサービス分野である外食は0.7%増加した。食料品店での支出も同程度増加した。

引用:bloombergより

このように米国の消費の実態はあまり力強くはないようです。年末までもホリデー商戦も一服したとはいえ、やはり高い金利と物価圧力は消費者に買い控えを決断させるのに十分だったということでしょう。今回の結果を持って今後の金融政策や経済がどうなるということはないと思いますが、あまり明るい見通しは描けないのだろうと思います。そういう意味では3月の利下げの可能性はあまりないとは思いますが、そう遠くない時期に利下げの決断をする可能性もややあるのかなと感じさせるもののような気がします。

利下げは早くもないが遠くもない

米国の経済は一進一退といったところです。強い経済指標があったと思えばこのような弱い経済指標の発表があるなど非常に判断に迷うような状態になってきているという印象です。少し前の何を見ても物価が勢い良く上昇し、経済も力強いというようなわかりやすいものでないことは確かです。そういう意味でも今が転換点であることは間違いないのかなと思います。いずれにせよ、米国経済が曲がり角に差し掛かっていることは事実ですし、いつになるかはわかりませんが、経済や金融政策の大きな転機がすぐそこに来ていることは確かでしょう。その心づもりをしっかりしておきたいものです。

まとめ

今日は1月の小売売上高について見てきました。米国の消費者の財布の紐は確実にしまってきています。インフレと高金利は消費者の購買力を十分に削り取っていると言っていいのかなという感じです。そういう意味で金融政策の転換点もすぐに来るということはないにせよ、もう目の前に来ていることは確かなのかなという印象です。