1月の生産者物価指数は大幅に上昇。利下げ期待は更に低下する。

利下げの可能性はさらに低下したようです。昨日発表された1月の生産者物価指数は市場予想を大きく上回る結果となり、未だ物価圧力は強く存在していることが確認されました。このためFRBは利下げの決断をさらに後退させる可能性が高くなったと言っていいでしょう。

利下げの時期は更に遠のく

昨日発表された1月の生産者物価指数は市場予想を大きく上回る結果となりました。

1月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回る伸びを示した。サービス価格の大幅な上昇が影響し、根強いインフレ圧力を浮き彫りにした。

  食品とエネルギーを除くコアPPIは前月比0.5%上昇、前年同月比では2%上昇し、ともに市場予想を上回った。

  PPIの上昇は、病院の外来診療やポートフォリオ運用などのサービス部門の価格上昇を反映している。

  13日に発表された1月の米消費者物価指数(CPI)も市場予想を上回る伸びを示した。今回のPPIは、インフレが十分に収まったと金融当局が確信するまで、利下げは見送られるとの見方をあらためて後押しする可能性が高い。

  コメリカ・バンクのチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏はリポートで、「米金融当局は1月のCPIとPPIを憂慮するだろう」と指摘。「ここ数年、インフレの勢いは増しており、ガソリンや基本的な食料品、耐久消費財の価格が下がっているにもかかわらず、経済の多くの分野でインフレは継続している」と記述した。

  官民のエコノミストがPPIを注視するのは、いくつかのカテゴリーが個人消費支出(PCE)価格指数の算出に使用されることが一因となっている。米金融当局はPCE価格指数をインフレ目標の基準にしている。1月のPCEは今月29日に発表される。

  サービス価格は0.6%上昇し、昨年7月以来の大幅な伸びとなった。財の価格は0.2%低下し、4カ月連続のマイナスとなった。

  変動の大きい食品とエネルギー、貿易サービスを除いたPPIは0.6%上昇し、ここ1年で最大の伸びを示した。

  生産過程における比較的早い段階での物価を反映する中間財のコストは、エネルギー価格の下落を反映し、4月連続で低下した。食料品とエネルギーを除いた中間需要の加工品は0.3%上昇し、2022年5月以来の大幅な伸びとなった。

引用:bloombergより

このように1月の生産者物価指数は大きく上昇しました。先日発表された消費者物価の数値と合わせて、物価圧力は今名を高く維持されていることが確認された形になります。そういう意味では今後の金融政策は引き続き引き締めが継続される可能性が高くなったと言っていいでしょう。特にFRBがインフレ鈍化を図る上で重要視しているPCEにもPPIは関係しているため、今回の結果は非常に大きな意味を持っていると思われます。米国のインフレはやはりそう簡単には収まることはなく、予想よりも長く経済を苦しめる可能性が改めて認識されたのかなという感じです。

さらなる引き締めの可能性も

今回の生産者物価指数の結果は改めてインフレ抑制の難しさを認識させられたかなという印象です。当初から今回のインフレは粘着性が高く、そう簡単には抑制されることはないだろうと思われていました。それが一時期はようやく落ち着きを見せたということでそのことをやや忘れていたのかなと思います。そして最近の強いインフレ指標というのはそのことを改めて認識させられたイベントとなったように思います。今回のインフレは非常に粘着性が高く、そう簡単には鈍化しないでしょう。徐々に、ゆっくりと鈍化して行くものと思われます。そういう意味でも早期の利下げというのはかなり難しいものであるともう一度認識しておくべきでしょう。おそらくは早くても利下げは夏から秋頃なのかなと思いますし、年末までずれ込んでも全くおかしくはありません。更にもう一弾の引き締めの可能性もないこともないのだろうと思います。

まとめ

今日は1月の生産者物価指数について見てきました。今回のインフレは本当に粘着性が高く、落ち着くまでには相当の時間がかかることだということを改めて認識する必要性を感じるイベントとなりました。少なくとも市場が期待するような利下げの可能性はかなり遠のいたのだろうと思います。このことをしっかり認識し、おそらく再び出てくるであろう楽観論はあまり相手にしないほうがいいと思います。