8月の雇用統計はまあよかったんじゃないかな

2日に市場が注目していた8月の雇用統計の発表がありました。結果としては市場予想よりも良い内容で、依然として労働市場は好調であることが確認できました。労働参加率も上昇しており、インフレ圧力が抑制される兆候も見られており、FRBとしても一安心といった内容だったのかもしれません。そういうわけで今日は先日発表された8月の雇用統計についてみていきたいと思います。

8月の雇用統計はまあよかったのではないか

2日に米労働省から発表された8月の雇用統計は市場予想を上回る結果となりました。

米国の雇用者数は8月に堅調な伸びを示し、市場予想を上回った。労働参加率の改善により失業率は上昇。米金融当局にとっては強弱入り交じる内容となった。

  雇用者数の増加ペースは7月に比べて鈍化したものの、なお底堅く、インフレ高進と金利上昇、経済見通しの不確実性の中でも健全な労働需要があることが示された。労働力への需要の強さは引き続き消費支出の支えとなる。

  ただ、8月は労働参加率が上昇。これが賃金の前月比の伸びを一段と鈍化させる可能性がある。インフレ圧力が和らぎつつある兆しでもあり、金融当局にとって朗報になりそうだ。トレーダーの間では統計発表後、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で3回続けて0.75ポイントの利上げが決まるとの織り込みが若干後退した。市場の関心は今後、FOMC前に発表される消費者物価指数(CPI)に移ることになる。

  8月の労働参加率は62.4%に上昇。2020年3月以来の高水準と一致した。25-54歳では82.8%と、前月比の伸びは20年6月以来の大きさ。ティーンエージャーの参加率も急上昇した。

  平均時給は前月比0.3%増加(前月は0.5%増)。労働力需給のミスマッチが賃金を押し上げてきたが、ここにきて需給が均衡しつつある兆しが出てきた。前年同月比では5.2%伸びた。

  雇用の伸びは、プロフェッショナル・ビジネスサービスやヘルスケア、小売りなどで特に目立った。一方、娯楽・ホスピタリティーは、20年12月に雇用が減って以来の小幅な伸びとなった。

引用:Bloombergより

このように8月の雇用統計は以前米国の労働市場が堅調であるということを裏付けたのかなと思います。先行きに対する不確実性は依然として残るものの、雇用は非常に堅調であり、ある程度の引き締めにも十分に耐えることができるものと思われます。そして、労働参加率の上昇というのはFRBにとってとても朗報といえるのかもしれません。これまで労働者が確保できないということで企業側も労働者確保のために賃金を上げざるを得ない状況というのが続いてきました。しかし、労働者全体の数が増えれば当然ながら企業側としては労働者の確保はこれまでのように難しい問題ということはなくなってくるでしょう。そうであれば賃金をあまり上げる必要はなく、企業にとっては一安心といったところです。このような動きというのはインフレ抑制という観点から見れば朗報と言えるでしょう。労働者に賃金を支払わずに済むのであれば当然ながらそのコストは商品価格に反映されていきます。コストダウンもしやすくなるでしょう。その動きが出てくれば物価上昇も落ち着いてくるかもしれません。もしそうなれば経済正常化の道筋が見えてくるということですし、FRBが最も望んだ展開といえると思います。

まとめ

今日は8月の雇用統計についてみてきました。内容としてはまずまずだったのではないかと思います。雇用は依然安定していますし、インフレ鈍化につながるような兆候も見られるようになってきました。もちろん、これだけで先行きが明るいということは言えませんが、いいニュースであることは間違いないのかなと思います。そういう意味では今月行われるFOMCでどのような結果が出るのか非常に注目されるところですし、その前に発表される消費者物価の値には大きな関心が寄せられるでしょう。とりあえず雇用統計については一安心といったところで、今後のCPI等の経済指標に期待をしたいところです。