まさかの100bpの利上げが行われるのか?

先日発表された消費者物価の予想外に高い数値により、市場は動揺しています。今週は週明けから大きく株価が下がり続けており、市場参加者の不安心理をよく表したものであると思います。その不安を表したかのようなニュースも出てきており、しばらくは値動きの荒い展開となりそうです。

予想外のCPIにより市場は混乱している

先週発表された米国の消費者物価の数値は想定よりも非常に強いものであり、インフレがいまだ落ち着きを見せておらず、まだまだこの戦いは続いていくことが改めて確認された形になりました。個人的にはそこまで慌てるようなことでもないように思いますが、やはり短期的に見るとこの結果というのは混乱を招くのには十分であったということでしょう。少し前にはややインフレ率が鈍化の兆候も見て取れるようになっていたので、そろそろインフレもピークを打ち、それを裏付けるような結果を今回の発表に期待していた人も多くいたのでしょう。それを大きく裏切るような結果となったために市場は動揺をし続けているのだと思います。

100bpの利上げもあり得る?

FRBは今のところ今後も50bpでの利上げを行うと明言していました。少なくとも今月のFOMCでは50bpの利上げとなると思いますが、今回の発表を受けてその予想を修正する動きも出てきました。その中にはなんと100bpの利上げの可能性もあるという指摘をするところまで出てきたのです。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は40年ぶりの高いインフレを制御しようと、極端な政策に打って出る可能性があるとの見方が、ウォール街の一角で浮上している。

  14、15日のFOMC会合では0.5ポイントの利上げが決定するというのがエコノミストのコンセンサスだが、10日発表の消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことを受けて、バークレイズとジェフリーズは75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げに予想を修正した。

  スタンダードチャータードのG10FX調査グローバル責任者のスティーブン・イングランダー氏は「FOMCは後手に回っているという印象を払拭しようとするだろう」と予想。「6カ月前、50というのは大きくて切りのいい数字だった。一方で75は非常に中途半端な引き上げにみえる。従ってFOMCでは『コミットメントを示したいなら、思い切って100にしようじゃないか』という話し合いになるかもしれない」と述べた。

  イングランダー氏はさらに、FOMCが「ボルカー・モーメント」を見せざるを得ないなら、もっと劇的な利上げを追求することはあり得ると指摘した。ボルカー元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は1979年からの歴史的な一連の利上げで、インフレ封じ込めに成功している。イングランダー氏は15日の会合で100ベーシスポイントの利上げが決定する確率は10%だとみている。同氏の基本予想は依然、50ベーシスの利上げだという。

  スワップ市場は次の3回のFOMC会合で75bpの利上げが一度ある可能性を織り込んでいる。10日のCPI発表前は、50bpの利上げが3回未満とみられていた。15日に決定される利上げとして織り込まれているのは約57bp。75bp利上げの確率は28%となっている。利上げの終着点は現在、4%をわずかに下回る水準とみられており、来年半ばまでに到達すると想定されている。CPI発表前は3.35%とみられていた。

引用:Bloombergより

このように市場では利上げの予想を上方修正する動きが多くみられるようになっています。その中でもわずかですが100bpもの利上げの可能性を指摘する声も出てくるようになりました。さすがにこの意見が大勢を占めるということはありませんが、こういう意見を言っても通るような空気になってきたことは確かでしょう。さすがに今月のFOMCで100bpの利上げというのは考えづらいのかなとは思いますが、物価の動向によってはより厳しい姿勢で臨むということはすでにパウエル議長も述べていることです。なので予想外に厳しい対応をとってくる可能性も十分に考慮しておくべきでしょう。

まとめ

今日は今後の金融政策について考えました。さすがに100bpの利上げはないような気はします。やはり確率的には50bpの利上げが一番高いでしょう。しかし、今後も厳しいインフレが続くようであれば75bpや100bpの利上げが行われてもおかしくはないと思われます。その時株式市場は大きく混乱するでしょう。我々個人投資家としてはたとえそうなったとしてもあわてる必要はありません。一時的に混乱したとしても必ずいつかは収束し、株価は上昇を始めるでしょう。その時をゆっくり止まっていればいいのです。