電力の安定供給に向けて政府は全力で取り組む必要がある

電気代は日本でも徐々に上昇してきており、家計や企業活動を圧迫しています。大変厳しい状況ですが、それでも日本は比較的影響は軽微であり、欧米に比べると軽傷で済んでいるというのが実態です。そういう意味では日本はうまくこの事態をコントロールできているといっていいのかもしれませんが、賃金が上がらない中での価格上昇であり、生活に与える影響は小さくはないといっていいのではないかと思います。今後もこの傾向は続いていくとみられるため、早急に対策が必要です。そういうわけで今日は日本に電力事情についてみていきます。

日本は比較的電力価格の上昇は抑えられている

ウクライナ情勢や高いインフレによる商品価格の上昇は全く収まる気配がありません。当然ながらそれはエネルギー価格にも大きな影響を及ぼしており、多くのエネルギーを輸入に頼っている日本としては大変重要な問題であるといっていいと思います。諸外国もエネルギー価格の上昇には苦しめられていますが、その影響は日本よりも非常に大きくなっています。

政府は7日に2021年度のエネルギー白書を閣議決定し、世界で資源高が進むなかで日本のエネルギー価格の上昇率は欧米より抑えられたと指摘した。欧州連合(EU)の22年3月の電気代は19年1月比4割増えた一方、日本は1割増と伸び率が4分の1にとどまった。発電燃料になる液化天然ガス(LNG)などの輸入価格が欧州ほど上昇しなかったためだ。

引用:日本経済新聞社より

現在は環境規制の動きが大きくなってきた関係上、石炭や石油を使った発電というのは縮小していく傾向にあります。代わりに天然ガスによる発電が大きなウエイトを占めているのですが、その価格はウクライナ情勢により大きく上昇しました。そのため、多くの天然ガスをロシアに依存していた欧州では非常に大きな影響を受けたということです。日本もロシアから天然ガスをはじめ、多くの天然資源を輸入していますが、その割合は欧州各国ほど大きくはありません。そういうこともあり、諸外国よりはエネルギー価格を抑えることができたのだと思います。

補助金制度も一応役には立っている

また、政府による補助金の影響もあるでしょう。今年に入ってから日本では石油元売りに補助金を支給することによって価格を抑える政策を実施しています。その効果についてはいろいろ議論はあるところですが、少なくともこの政策によって多少の価格抑制効果があったことは間違いないのではないかと思います。

ガソリンは米国、英国、ドイツで180を超えたのに対し、日本は129だった。日本は石油元売りに補助金を配って店頭価格の上昇に歯止めをかける対策を22年1月から始めており、上昇を抑えられている。

引用:日本経済新聞社より

電力の安定供給には原発の再稼働が不可欠

そういう意味では日本は非常にこの状況をうまくやっているのだと思います。少なくともエネルギー価格をはじめ、価格上昇の影響は諸外国よりは非常に少ないダメージで済んでいます。日常生活も非常に苦しいことには変わりないですが、まだマシだといっていいでしょう。しかし、今後もこの状況が続くとは限りませんし、やれることはたくさんあると思います。特に電力については今後、現状のままでは足りなくなることがほぼ確実なようです。そういう意味では早急に対策が必要でしょう。簡単に確実にできる対策としてはやはり原発の再稼働だと思います。日本の原発は少しずつ稼働を始めてきてはいますが、まだまだ稼働できていない発電所が沢山あります。それらを一部でも稼働されれば電力事情は一気に改善されるでしょう。なので一刻も早く原発を再稼働させるべきです。原発の危険性については否定するつもりはありませんし、未来永劫使っていくべきとも思いません。しかし、近い将来にわたっての安定的なエネルギー供給を確実なものとするためにも原発の再稼働は必要不可欠だと思います。

このままでは製造業が立ち行かなくなる

電力の安定というのは日常生活にとっても重要ですが、企業活動にとっても何よりも重要なことでしょう。特に製造業の現場では安定的な電力が欠かせない業種というのもあります。そのようなところでしょっちゅう停電などが起こっていては仕事ができなくなってしまい、日本経済にも大きな影響を与えることになるでしょう。一般家庭であれば少々停電が起こってもたいした問題にならないかもしれませんが、精密機器を扱っている工場などでは非常に大きな問題になります。最悪命にかかわる事態を起こすことも考えられるため、電力の安定化というのは非常に重要なのです。

まとめ

今日は日本の電力事情についてみてきました。今のところは価格上昇も諸外国よりは抑えられていますし、うまくやっているのだろうとは思います。しかし、今後については非常に懸念されます。価格上昇もそうですが、停電のリスクについては非常に憂慮すべき事態です。電力供給の不安定化は製造業にとっては致命的です。これでは日本の製造業は全く立ち行かなくなってしまいますし、経済にとっても大ダメージを与えることとなるでしょう。そういう意味でも電力の安定供給に向けて全力で対処してほしいところです。