今後の利上げは確定しているわけではないが・・・

米国をはじめ、世界は金融緩和縮小の動きを加速させています。米国ではすでに3月の利上げがほぼ確定的となっています。また欧州でも先週、年内の利上げについて否定せず、その可能性を示唆するような発言がありました。イギリスも予想通りの利上げを行い、世界的な利上げの動きが加速しています。現状のインフレ率を考えれば当然のような感じもしますし、そういう論調が市場では支配的であるような気はします。しかし、それを否定するような論もないわけではなく、正確な判断をするうえで無視できないものだと思います。そういうわけで今日は利上げに対する行き過ぎを指摘する意見について紹介していきたいと思います。

供給側の問題を金利上昇で対応するのは効率が悪い

ブラックロックはアメリカ合衆国のニューヨーク州ニューヨーク市に本社を置く世界最大級の資産運用会社です。ブラックロックといえば、iシェアーズを代表とするETFが日本の個人投資家にとって非常になじみのある商品だと思います。そのブラックロックが最近の利上げに対する前のめりな姿勢について警告を発しています。

市場は将来の利上げ予想をさらに高めている。市場予想はさらに上昇するかもしれないが、私たちはすでに市場予想が行き過ぎていると考えている。利上げ回数は実際には少なく終わるだろう。

引用:The Financial Pointer 利上げ予想は行き過ぎ。長期投資家にはチャンス:ブラックロック より

ブラックロックはこのようなレポートを発表し、投資家に対して注意を促しています。なぜこのようなことを考えているのかというと、ブラックロックは今回のインフレの原因について主に供給側の問題にあると考えているためだということです。対して金融緩和というのは需要側にアプローチするための政策です。なので供給側の問題に対応するために需要側の政策で対応するというのは非常に効率が悪いということです。金融引き締めというのは経済にとってはマイナスであることは確実です。なのでその代償に見合うだけの効果は得られないだろうというのでしょう。

中央銀行はインフレを許容するのか

そのためブラックロックは現在の各国中央銀行のタカ派の姿勢はあくまでパフォーマンスでしかなく、ある程度インフレを容認していくとみているようです。そして以下のようなスタンスでいるといっています。

私たちは、国債保有のリスクに対して投資家がますます高いリターンを要求するようになると見て、先進国の国債をアンダーウェイトしている。政策金利の引上げ予想幅がまだ小さいことから株式をオーバーウェイトし、その(利上げの)間のボラティリティ上昇に備えている。この状況が、今年のリスク資産の厳しいスタートの後に、長期投資家にチャンスを与えるだろう。

引用:The Financial Pointer 利上げ予想は行き過ぎ。長期投資家にはチャンス:ブラックロック より

インフレが継続するのであれば株式をはじめとする実物資産が有利というのは理解できるところです。なので株式に投資するというブラックロックの姿勢とも矛盾しません。今回のインフレが本当に供給側の問題であり、利上げも予想ほどされないのであればこの戦略は功を奏することになるでしょう。どうなるのかは終わってみないとわかりませんが。

先のことはわからない

今回の話を聞いて、個人的にはそう大きな矛盾があるとは思いませんでした。なのでその可能性も十分にあるということでしょう。いずれにせよ、専門家という人たちの言っている意見がこうも違っていると、本当にどうしたらいいのかわからなくなります。ブラックロックのように利上げはあまり行われないとか必要ないという人もいるし、もっとするべきだという人もいます。現在の流れとしては後者の方が優勢な気がしますが、結果がどうなるのかは誰にもわかりません。そういう意味ではあまり一方の意見をうのみにせず、余裕をもって投資していくしかないのでしょう。少なくとも今までのような右肩上がりの株価にはならないと思います。

まとめ

今回は現在の利上げに対する姿勢について考えてみました。個人的には利上げは予想よりは強いペースで行われるのではないかと思っています。インフレ率が7%を超える現状を見れば利上げをしないというのはなかなか考えられませんし、雇用環境も良好であることは雇用統計から確認されましたので、FRBも強気に出てくると思われます。ただ、今後もその流れは続く保証はなく、雇用状況が悪化したり、また国際政治の舞台での問題が起これば金融政策にも影響は出てくるでしょう。そういう意味でも今年は本当にボラリティの高い年になるような気がします。なので短期的な株価の動きに惑わされず、原則にのっとり着実に投資をしていくつもりです。