投資家が頭に入れておくべきリスク

投資をするうえでリスクはつきものです。確実に利益を上げるものというのは存在せず、必ずいくらかの損失は覚悟して投資をします。投資家であればみなわかっているはずのことですが、意外とその概念はあいまいになりがちです。リスクとはどのようなものか。また、我々投資家はどのようにリスクと付き合っていかなければならないのかを知るのは重要なことです。その答えをニューヨーク大学のアスワス・ダモダラン教授が述べていました。そういうわけで今日は投資家が認識しておくべきリスクについて考えてみます。

5つのリスク

ダモダラン教授は自身のサイトでリスクについて述べていました。そこには5つの考えておかなければならないリスクを提示しています。

「危険のない機会は幻影だ」

投資家というのはとにかく高いリターンを求めます。少しでも多くの収益を上げられる商品や投資方法などを求めて、日々奔走している人がたくさんいます。そして巷には非常に高い投資リターンをうたった投資商品や投資方法というのはよく目にするところです。怪しげな情報商材から一般的な投資商品を用いたものまでさまざま存在します。しかし、当然ながら高いリターンを可能とするものというのは非常に大きな危険が潜んでいることが多いです。危険がないのにもかかわらずリターンが高いということはまずありえません。投資を始めるときに真っ先に勉強する事実なので、ほぼすべての投資家が認識していることだとは思います。しかし、意外と忘れられていることが多いような気がします。特に世間的にブームになっている投資商品や投資方法などは、冷静になって考えてみれば明らかに危険性が高いとわかるはずなのに、なぜかそれに手を出す人というのは多くいるのです。そしてそのようなことは今も昔も変わりません。おそらくはこれからも続いていくのでしょう。何度も言いますが、高リターンであるということは危険性が高いということをしっかりと認識しておく必要があるのです。

「機会のない危険は無鉄砲」

これは上記の物よりもさらに悪いものです。そもそもリターンがないというのであれば投資する意味がありません。資産を減らす可能性しかないというのですから当然といえば当然です。昔から悪徳商法のようなものは存在していますが、今はネットなどを使ったものが多く存在しています。当然ながらそのようなものには手を出すべきではありません。

「リスクを構成するのは結果の不確実性であり、期待される結果ではない」

リスクというのは結果がどうかということではなく、将来がどうなるかわからないということです。リスクが高いということはそれだけ将来上下に振れる幅が大きいということであり、どんなに優良企業であっても投資する際には注意が必要となります。逆に明らかに収益が伸びないだろうと思えたとしても、その業績自体が安定しているのであればリスクは少ないといえます。要はリスクが高いかどうかということはその企業が優秀であるかとか収益性が高いかということだけでは判断できないのです。たとえあまり業績がよくないとしても、その悪い業績というのが確実に見通せるのであればリスクは低いといえるのです。

「リスクは過去でなく将来にある」

先ほども言ったようにリスクとは将来の不確実性について述べるものです。なので確定した過去についてはリスクはありません。しかし、将来を予測する際にどうしても過去の経験をもとに判断してしまうことが多くあります。これはある程度しょうがないことだとは思いますが、どんなに過去を検証したとしても将来その通りになる保証というのは当然ですがありません。そのことはきちんと頭に入れたうえで過去を検証する必要があるのです。

「アップサイド対ダウンサイド」

リスクというのは上方へはもちろん、下方へのリスクも存在するということであり、特に下方へのリスクを注視しなければならないということです。先ほども述べましたが、リスクが存在するということは将来の不確実性を表すことであり、それは上方だけではなく下方へのリスクも考えなければならないのです。

わかってはいるが対処は難しい

リスクについて正しい認識を持つということは、投資をするうえで非常に重要なことです。ほとんどの人がそんなことはわかっていると思っていると思いますが、意外と忘れていたり、軽視していたりするものです。何の根拠もないのに周りが買っているから買うとか、これだけ下がったのだから儲かってもいいだろうとか、おそらくは一度は経験したことがあるのではないかと思います。しかし、そのようなことをしていては資産を守ることはできません。きちんとリスク管理を徹底し、安全で安定した資産運用をしていくことが重要なのです。

まとめ

今日はダモダラン教授のリスクについての話をもとに、投資家にとってのリスクについて考えてみました。投資を始めるときに真っ先に勉強することであり、常に考えていることではありますが、実際投資をするときにはどうしても軽視してしまうこともあります。特に株価が上昇しているときなどは下落リスクを軽視し、高値で買ってしまったなんてことはよくある話です。そのようなことは投資の世界ではいくらでも聞かれることでしょう。そういうリスクをいかにコントロールするかということも重要なことです。それにはやはりインデックスに対する積み立て投資が一番楽で確実でしょう。余計な主観を入れる余地がないのですから当然といえば当然です。リスクをコントロールする方法はたくさんありますし、やり方は人それぞれです。自分なりの方法できちんとリスクをコントロールできるようにしましょう。