バークシャーハサウェイ社がTSMC株を大量売却し話題となる

ウォーレン・バフェット氏といえば投資家なら誰もが知っている名前でしょう。90歳を過ぎてなお投資家として精力的に活動している人です。その投資行動には常に大きな注目が集まり、投資家たちの話題となります。そして先日もバフェット氏の行動が大きなニュースとなっていました。

バークシャーハサウェイ社がTSMC株を大量に売却

先日、バフェット氏が率いるバークシャーハサウェイ社の報告書により台湾の半導体企業、TSMCの保有を大幅に減少させていたことが判明しました。

資産家ウォーレン・バフェット氏の投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは、台湾積体電路製造(TSMC)の米国預託証券(ADR)の取得を開示した数カ月後に保有を縮小した。伝説的なストックピッカーによる短期間での姿勢転換は、TSMCに対する投資家のセンチメントを冷え込ませている。

  最新の届け出によると、バークシャーは2022年10-12月(第4四半期)にTSMCのADR保有を86%縮小した。同社が同四半期の平均価格で売ったと仮定すると、持ち分売却で37億ドル(約4930億円)を得た計算になる。

今回のニュースを受け、TSMC株は台北市場で一時4%安。昨年11月にはバフェット氏が約50億ドル相当のTSMCのADRを取得したとのニュースを受けて上昇していた。現在も昨年10月の安値を依然40%上回る水準にある。

  台新証券投資顧問の黄文清副社長は「バークシャーがたった1四半期でこれほど保有を縮小するとは驚きだ。これは長期投資や継続的な株式買い増しという同社のこれまでのやり方から外れている」と指摘した。

  昨年の遅い時期はバリュー投資家としてTSMC株を購入する好機だった様子だ。同社株の予想株価収益率(PER)は昨年10月に10.3倍と、15年以来の低水準を付けた後、11月に14倍近くに戻った。TSMC株は世界の半導体銘柄上昇の中で値上がりしており、先月には設備投資について前年実績を下回る計画を発表し、1-3月(第1四半期)に4年ぶりの減収になる可能性を示唆した後も、株価は引き続き上昇していた。

  今回のニュースを受けてTSMC株は短期的に打撃を受ける公算が大きいが、同社の長期的見通しは依然としてポジティブだと、台新証券投資顧問の黄氏は指摘。「設備稼働率の向上や先端技術における主導的役割など、同社のファンダメンタルズが改善する中で、多くのグローバル投資家は同社株を買い増し続けている」と述べた。

引用:bloombergより

このようにバークシャーはTSMCの多くを売却したようです。バークシャーがTSMCに投資をしたのはつい最近であり、このような短期間でこれほどの縮小をするというのは意外なような気はします。しかし、バフェット氏は長期投資家はありますが、意外と短期間で株を売却するということは珍しくありません。買ったと思ったらすぐに売るということ自体はこれまでも散見されていたので珍しいことということはないような気はします。そうはいっても半導体の重要性が増す中、TSMCという企業の存在感は日に日に高まっており、その企業の株を大量に売るということのインパクトは小さくはないのだ党と思います。

短期間で株を売却すること自体は珍しいことではない

今回のニュースについては驚かれた方も多くいたとは思いますが、先ほども述べたようにバフェット氏が短期間で株を手放すということ自体はあまり珍しいということでもありません。長期間観察していれば結構な頻度で見ることができることであり、それ自体はあまり問題ということもないのかなと思います。それよりもなぜこのタイミングで売ったのかということは気にはなるところです。しかも、TSMCを売ったのはバークシャーだけではなく、多くの機関投資家もTSMCの株を手放しているようです。

 ロイターの2月16日の記事「TSMC株、バークシャー以外の投資会社も大量に手放す」によると、投資会社のタイガー・グローバル・マネジメントやGQGパートナーズ、キャピタル・グループのほか、米資産運用大手ブラックロック、米金融大手JPモルガン&チェースなどが昨年第4四半期にTSMCの株式を大量に手放していたということだ。

引用:トウシルより

このようにTSMCは今マーケット関係者からは少し距離を取られているような気がします。TSMC自体の業績は非常に好調であり、それほど懸念することはないような気はします。しかし、今年は減収予測があったり、地政学的なリスクのど真ん中にいる企業であることなどなかなか投資しづらい環境であるということも確かでしょう。そういう意味ではあまり深入りはしない方がいいと判断したのかもしれません。

まとめ

今日はバークシャーハサウェイがTSMCの株を大量に手放したニュースについてみてきました。バフェット氏は元々半導体のような株には手を出さなかったように思いますし、そういう意味では株を売ったこと自体は当然なのかなと思えます。しかし、その理由については推測するしかなく、あまり深く考える意味はないのかなという印象です。TSMC自体は非常に優良企業ですし、半導体の重要性は今後ますます大きくなるでしょうから投資先としては非常に魅力的ではあります。しかし、その重要性がゆえに政治的なリスクを大きく抱えており、なかなか難しい側面があることも事実でしょう。そういう意味では安定感を求める投資家にとってはなかなか投資しづらいのかなと思います。