2月のPMIは予想外に良いものだったが安心はできない

インフレの収束もいまだ見通せない中、米国経済の見通しは非常に不安定感を増してきています。金利の先行きも想定以上に高くなる可能性が出てきたことにより、あらゆる経済活動に影響を与えるかもしれません。しかしながら、今のところはまだそこまで実際の景況感は悪くはないのかもしれません。

2月のPMIは予想外に強いものとなった

昨日発表された2月のPMIは前月より上昇をし、8ヶ月ぶりの高水準となりました。

米国の企業活動は2月に安定化した。サービス部門が持ち直した。景気は底堅く、一部の価格設定力が維持されていることが示唆された。

  S&Pグローバルが発表した米国の製造業・サービス業合わせた2月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は、前月から3.4ポイント上昇して50.2。活動の拡大と縮小の境目である50をわずかに上回り、8カ月ぶりの高水準となった。

  総合指数の雇用サブ指数は5カ月ぶりの水準に上昇し、堅調な労働需要が続いていることを示唆した。投入コストの伸びは鈍化したが、販売価格の指数は4カ月ぶりの高水準となった。

  将来の生産に関する指数は昨年5月以来の水準に上昇し、需要に関する楽観が強まっていることが示唆された。

  S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「金利上昇や生活費高騰の向かい風にもかかわらず、インフレがピークに達し、リセッション(景気後退)リスクが後退した兆しを背景に、企業のムードは明るくなった」と発表文で説明。一方で、「労働市場の逼迫(ひっぱく)を背景に、インフレ押し上げの要因が賃金にシフトしたことを今回の調査データは浮き彫りにしている」と記した。

  2月のサービス業PMIは昨年6月以来の活動拡大を示した。異例な暖冬が一部影響した可能性が高い。製造業PMIは前月より小幅な縮小にとどまった。

引用:bloombergより

このように、景気の先行きが不透明の中でも、現状の景況感はそこまで悪くはないようです。しかし、一時的にインフレマインドが後退していましたが、今はまた復活の兆しを見せており、この指標の結果よりも悪くなっている可能性は十分に考えられるでしょう。また、物価の上昇と金利の上昇により、家計の逼迫度は日に日に増しています。そういう意味では今後もこの状況が続く可能性というのは非常に未知数ではないかと思われます。

この結果を持って安心はできない

今回の結果についてはやや以外という印象があります。それはやはり最近の経済指標によってインフレがあまり抑制されていないという印象を持っているからなのかなと思います。おそらくこの調査の段階ではインフレが落ち着きを見せており、その影響もあったのだろうという印象です。少し前ではマーケットもインフレ鈍化をかなり織り込んでおり、楽観的な空気が市場を席巻していました。今はそれはかなり交代しているのでおそらくは同じようにPMIも今後は減少していくのだろうと思います。そういう意味ではあまり楽観はできないでしょう。実際企業業績はあまり良くありません。昨日もホームデポが通期予想を下方修正したことにより大きく株価を下げていました。このように経済状況は全く改善する気配を見せません。そういう意味では今回の指標を持ってなにか良い兆しということは厳しいのかなという感じがします。

まとめ

今日は2月のPMIについて見てきました。予想外に良い結果になったなという印象ですが、それは少し前に漂っていたインフレ収束見通しによる楽観論が大きく影響しているのでしょう。それが大きく交代した今、あまりこの結果を真に受けないほうがいいような気がします。米国経済は依然として深刻です。まだまだインフレ収束と経済回復は先になりそうな気がしています。