現金はもうゴミではないようです

世界経済の不透明感が増す中、我々の常識というのも変わっていくのかもしれません。ブリッジウォーター・アソシエーツのレイ・ダリオ氏がツイッターで現在の金利水準などを考えると現金はごみではないという旨の発言をしました。ダリオ氏は常々現金はごみだとして現金保有には否定的な考えを持っていました。それがこの度変化していることが判明したのです。これまで右肩上がりで成長してきた経済が変わっていくということなのでしょうか。というわけで今日はレイ・ダリオ氏の発言についてみていきます。

現金はごみではない

世界有数のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエーツ創業者で資産家のレイ・ダリオ氏は、自身のツイッターにて現金についての見解を述べました。

ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者で資産家のレイ・ダリオ氏は、現金保有に関する見方を転換し「現金はゴミ」とは考えていないと述べた。短期金利は「現時点でほぼ妥当だ」との認識も明らかにした。  

  ダリオ氏はツイッターで、現在の金利水準や米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシート縮小を踏まえると現金は「現在、ほぼ中立的」で、「非常に良いわけでも悪いわけでもないディールだ」と述べた。

引用:Bloombergより

このようにダリオ氏は現金について以前のような否定的な立場から中立的な立場へと考え方を改めたようです。以前は現金については「ゴミ」と断言し、非常に否定的な見方をしていましたが、ここへ来て考えが変わったようです。これはやはり世界的なインフレと金融引き締めの影響が大きいのではないかと思います。これまでは金利は非常に低く設定されており、市場に資金があふれている状態でした。そこで経済も順調に伸びるなど株式にとっては非常に良好な環境が続いていたのです。そのためS&P500などに連動するETFは非常に良い成績を収めてきましたし、ナスダックなどの成長株はさらに好成績を収めるという状況が続きました。

ただ株式に投資していればいい時代は思ったのかもしれない

しかし、その状況も一変し、インフレが異常に高止まりする時代がやってきました。その中でFRBはインフレ抑制のための政策を実行しています。そのため金利は上昇し、市場から資金は徐々に引き上げられています。そのため経済成長にとっては大きな足かせとなり、株価は下落傾向となっています。こうなってくると今までのような成長株などで運用しているだけでは利益を出せないような状況になってきたということです。その中で今まで注目されなかった現金などのその他の商品に注目が集まってきているということでしょう。

いずれにせよ投資はやめない

ダリオ氏の発言が正しいのかということは私にはわかりません。しかし、確実にこれまでの世界経済の形が変化してくるのだろうということは何となく感じています。米国はこれからインフレ抑制のために今までのような高成長というのは期待できないでしょう。ヨーロッパに至ってはもっとひどい状況です。日本も低成長を抜け出せるとは思えません。では中国などの新興国に期待できるかというとなかなかそうもいかないでしょう。中国は行き過ぎたコロナ対策のために大きく経済は減速しています。また不動産問題など先行きは非常に不透明です。リーマンショックの時には欧米など先進国が失速したときに中国が大きく世界経済をけん引しましたが、今回はその役割を果たすことは難しいのではないかと思います。そしてウクライナ情勢によるいわゆる権威主義と民主主義陣営の分断が起ころうとしています。ウクライナ情勢がどのような形で終息するかわかりませんが、いずれは終わりが来るでしょう。しかし、終わったからといって今までのような世界が戻ってくるということはおそらくありません。ロシアは先進国側の経済からは締め出されるでしょうし、中国も米国との覇権争いの結果、ある程度の乖離は避けられないものと思われます。いずれにせよこれまでの世界というのはもう戻ってこないでしょう。また新たな世界構築を始めなければならないのです。そういう意味では現在の株価下落というのは大きな変化の序章にしかすぎず、今後大きな構造変化が起こってくるのだろうと思います。

まとめ

今日はレイ・ダリオ氏の発言についてみてきました。なんか随分大きなことを言ってしまったような気がします。しかし、大きな分岐点に現在差し掛かっているのかもしれないというのはいろいろな面で感じるところです。もしかしたら今起きていることは思っている以上に重大な局面の一部であり、今後数年単位で続いていくものなのかもしれません。ですが、私は何が起きようとも自由な民主主義、資本主義が続いていくと信じているので投資をあきらめるということはしません。自由な世界が続く限り、一時的に落ち込んだとしても必ず成長はしていくはずですし、そうなるよう自分も頑張っていくつもりです。これから大変な時代になるような気はしますが、あまり絶望せずに希望をもって進んでいきたいと思っています。