9月の生産者物価は予想以上に上昇

米国のインフレはまだまだ収まりそうもありません。9月の生産者物価は市場予想を大きく上回る結果となり、いまだインフレは米国に居座っていることが確認できる内容でした。その結果としてFRBにはさらなる強い姿勢でのインフレ抑制策が望まれることとなり、引き締めも継続されることになるでしょう。そういうわけで今日は9月の生産者物価についてみていきます。

9月の生産者物価は予想以上に上昇

先日発表された9月の生産者物価指数は市場予想を大きく上回る結果となり、改めてFRBに対する引き締め継続圧力となることとなりました。

9月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回る伸びを示した。インフレ圧力の緩和には時間がかかり、米金融当局が積極的な利上げ軌道を維持することが示唆された。

  サプライチェーンの問題はおおむね改善したが、エネルギーや食品、サービスのコストは上昇。PPIの伸びの3分の2にサービスが寄与した。旅行や宿泊、食品小売り、ポートフォリオ管理、入院治療の価格が伸びた。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「予想を上回る9月PPIの伸びは、一部の商品価格は下落し、サプライショックは緩和しているにもかかわらずインフレが一段と定着してきたとの懸念を強める。特にサービスの分野内で賃金価格のスパイラルが起こる可能性を背景に、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーらは大幅利上げ継続の必要性に関して今後も見解が一致するだろう」と分析した。

  財の価格は前月比0.4%上昇。エネルギーや食品のコスト上昇を反映した。家庭用天然ガスや暖房油、広範な食材といった生活必需品のコスト高が示唆された。

  食品価格は1.2%上昇。一方、食品とエネルギーを除いたベースの財コストを示す指数は前月比変わらずとなり、2020年5月に低下して以来の低調な結果となった。

  サービス価格も0.4%上昇で3カ月ぶりの高い伸びとなったが、一部の分野では物価圧力の緩和も示された。卸売業者・小売りのマージンは0.1%上昇と、4月以来の小幅な伸びにとどまった。輸送・倉庫のコストは3カ月連続で低下した。

  食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.4%上昇。5月以来の大幅な伸びとなり、市場予想も上回った。

引用:Bloombergより

このように、米国では相変わらずインフレ圧力が継続していることを確認する結果となりました。食品とエネルギーという変動の激しいものを除いたものでも前年同月比で7.2%の上昇を示しており、まだまだ米国の物価上昇は収まる気配を見せていません。

FRBは引き締めを継続するだろう

この結果を受けてFRBは引き締め政策を継続する意思をさらに強固なものとするでしょう。一部では景気の悪化を懸念して少し菱きめの手を緩めるのではないかという観測も出てきていましたが、それは日がたつにつれて小さくなってきているような気がします。ここまで物価上昇が定着しているのに引き締めの手を緩めるということはほぼないといっていいと思います。しかも現状労働市場は非常に堅調に推移しています。物価の上昇などネガティブな要因は多くなっても雇用が安定しているというのはFRBにとって強気の政策を実行するための根拠として十分といっていいでしょう。そういう意味でも次回のFOMCでも引き続き強力な引き締め政策を継続していくことが確認されることでしょう。

消費者物価の値に注目

そしてこの後は消費者物価の数値が発表になります。今回の生産者物価の数値と合わせて非常に注目されることとなると思います。生産者物価の結果を見る限り、消費者物価についてもそれほど落ち着いてきているという期待ははっきり言って持つことができません。おそらくはかなりの高いものとなるでしょう。市場予想も今回の結果を受け上方修正されると思われるため、事前予想を上回るかどうかはわかりませんが、それほど楽観できるものとはならないと思われます。いずれにせよ株式市場にとって朗報となる可能性は低いと思っておいた方がよさそうです。

まとめ

今日は9月の生産者物価についてみてきました。相変わらず米国のインフレは深刻です。全く落ち着く気配がありません。本当にどこまで行くのだろうというくらい異常な状況が続いています。そして年末にはおそらくFF金利は4%を超えてくるでしょう。一年でここまで金利が上昇するというのもすごい話です。もう何がどうなっているのか理解できないといった感じです。個人的にはこの状況がなんの対価も支払わずに収束するとは思えないのでいずれ大きな代償を差し出すことになるのではないかと危惧しています。FRBはそうならないように最大限の努力はしていると思いますが、なかなか難しいといわざるを得ないといった感じです。何度も言いますが過度な楽観論はやめておいた方がいいでしょう。