予想を大きく上回る消費者物価の伸び。だがこれはチャンスになる可能性も。

米国のインフレはまだまだ終息する気配を見せません。先日発表された米国1月の消費者物価は市場予想を大きく上回る上昇となりました。ある程度予想されていたとはいえ、その事実を突きつけられるとさすがに市場は動揺し、大きく株価は下落することになりました。今後もしばらくはインフレが続いていくことが予想され、FRBの政策もよりタカ派となる可能性が高いでしょう。というわけで今日は、先日発表された消費者物価指数についてみていきたいと思います。

予想を大きく上回る消費者物価

先日、米労働省より発表された消費者物価指数CPIは市場予想を大きく上回るものとなりました。

  • 総合: 前年同月比7.5%上昇(市場予想7.3%)、前月比0.6%上昇(同0.4%)
  • コア: 前年同月比6.0%上昇(市場予想5.9%)、前月比0.6%上昇(同0.5%)

これは1982年以来の高い上昇であり、改めて米国のインフレが深刻なものであるということが裏付けられた形です。市場予想の中央値は7.3%だったために、大きなサプライズになったものと思われます。前月比で見ても市場予想よりも大きく上昇しており、インフレはかなり進んできているといっていいでしょう。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIも総合と同様に前年同月比で大きく上昇し、前月比で見ても上昇をしています。いずれも市場予想よりも大きいものです。これらを見てみると米国のインフレは全く衰えることなく、むしろ深刻になってきているといっていいと思います。

3月の利上げは0.5bpか?

この結果を受けて、市場ではより厳しい引き締めを行うべきという意見が多くなってきています。

「1月CPIの伸びが市場予想を上回ったことは、3月の会合で0.5ポイント利上げが決まるとの論拠を補強した。物価上昇は広範囲に及び、エネルギーや食品、家賃は高水準での上昇が続き、今回は医療サービスなどの分野でも大きな伸びが見られた。金融当局が注目する個人消費支出(PCE)デフレーターで、医療サービスはずっと大きなウエートを占めている」

引用:ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、アンドルー・ハスビー両氏

市場は3月の50 bp利上げを準備すべきだ。25 bpだけなら、5月にまたあるだろう。

引用:グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード氏

上記はタカ派発言のごく一部であり、このような発言が非常に多くなってきています。3月の利上げというのはほぼ確定的になっていましたが、今回の消費者物価を受けて上げ幅が0.5bpとなる可能性が高くなったと思われます。消費者物価の上昇や雇用統計が非常に好調だったことを考えると、FRBがより強いインフレ抑制政策に出たとしてもだれも驚かないでしょう。むしろ、ここで弱気に出る方がサプライズになるという状況になった気がします。

改めて米国の深刻な状況を突きつけられた

この発表を受けて株式市場は大きく下げることとなりました。つまり市場はこれだけインフレが進むということを予想していなかったということになります。専門家の中には厳しい意見を言う人も多くいたので改めてその正しさが認識されたということでしょう。これを受けて株式市場もしばらくは軟調な展開が予想されます。現在の7%を超えるインフレを1%にも満たない金利で抑えられるとは到底思えません。今後も金利は徐々に上昇していくと思いますが、今の消費者物価を抑えるほどの金利になるには相当の時間がかかると思われます。最悪、状況が変わるのに数年かかるという事態もあり得るでしょう。そのくらい今のインフレというのは非常に問題があると思います。

まとめ

今日は先日発表された消費者物価についてみてきました。ある程度予想はしていましたが、現実を突きつけられるとさすがに暗い気持ちになります。しばらくはインフレに一喜一憂する市場というのは続きそうです。少なくとも今年中にこの傾向が収まるということはないような気がします。そのくらい今の消費者物価の伸びは異常事態だということです。しかし、長期的に見れば株式市場が上昇することは変わりないと思いますし、実質的に購買力が下がるとしても名目上の株価や資産価格は上昇することはあり得ます。なので投資をやめるという選択肢はやめた方がいいと思います。特に米国の金利が上昇するのであれば円安に進む可能性もあります。そして米国株が名目上は上昇するのであれば、日本に住む我々にとっては絶好の米国株を買うチャンスだともいえます。そういう気持ちで今年はいくつもりです。