FRBの緊急利上げはあり得るのか

株式市場はインフレに伴う利上げ観測やロシアによるウクライナ侵攻などによって大きく動いています。特に最近は悲観的なニュースが多く、投資家の心理をさらに悪くしていると思われます。FRBの利上げの情報は非常に投資家からも関心が高く、連日大きな話題となっています。そのなかでFRBがFOMCを待たずに緊急的に利上げを行うのではないかというものがあります。通常であれば定期的に行われるFOMCで利上げを発表するのですが、それを待たずにいきなり利上げを行うというものです。それだけFRBが危機感を持っているということだと思いますが、さすがにそれはどうなのでしょうか。そう思っている人はやはりいるようで、緊急利上げはリスクが大きすぎるという意見も多くあります。そういうわけで今日はFRBの緊急利上げについて考えてみたいと思います。

消費者物価の伸びは非常に大きい

先日発表された消費者物価指数CPIが予想よりも強い上昇であったことは周知の事実です。そのためにFRBが今後さらにタカ派となることを心配する声が多く上がっています。通常であればFOMCにて発表されることが多い利上げですが、必ずしもそうしなければいけないということではないようです。しかし、異例な状態での利上げは市場に対して過度なメッセージを発することとなり、予想外な結果を起こしてしまう可能性がかなりあると思われます。

緊急利上げを行うのは大きなリスクを伴う

アリアンツ経済顧問モハメド・エラリアン氏もそのように感じているようで、FRBの緊急利上げについては以下のように発言し、けん制しています。

FOMC間での利上げはすべきでない。私ならFOMC間(での利上げ)はやらないし、バランスシート(縮小)を公表しないし、突然QEを止めることもしない。

The Financial Pointer 緊急利上げには血の匂いがたちこめる:モハメド・エラリアン より

エラリアン氏はこのように述べ、緊急利上げについて行うべきでないという意見を述べています。緊急利上げを行えば市場は間違いなくパニックを起こし、FRBの姿勢についてさらに疑問符をつけるだろうということです。インフレを一過性だと言い続け、後手後手に回っているFRBに対してはかなり市場の信頼感は低下しています。その中でこのようなことをすればさらに信頼は低下し、市場は混乱をきたすというのです。なので緊急利上げは必要ないし、やるべきではないといっています。

急激な利上げは国民や企業にとって大きな打撃となる

そのため、エラリアン氏はFRBが急激な利上げを行うことを心配しています。

今言えるのは、FRBが今年7度の利上げをし初回が50 bp利上げだった場合、インフレは低下するが、莫大なコストが暮らし、経済ほかに課されるということ。

The Financial Pointer 緊急利上げには血の匂いがたちこめる:モハメド・エラリアン より

市場は早期の利上げをすでに織り込んでおり、今はどの程度の規模をどのくらいのスピードで行うのかということに注目が集まっています。先日発表された消費者物価指数などからFRBは早期の大幅な利上げを行うとの声も多くあり、それに答えるようにFRBが利上げを急ぐことを危惧しているようです。そうすればインフレは収まるだろうが、その代償を多くの国民や企業が払うこととなるだろうというわけです。

さすがに緊急利上げはないと思う

FRBの緊急利上げについては正直どうなるかはわかりません。最近の消費者物価の伸びやFRBの姿勢を見ているとありえないということはないでしょう。しかし、あまりにも急激な変化というのは実体経済に与える影響も大きく、そこまではやらないのではないかという思いは個人的にしています。実際ここまでインフレが進めば雇用環境や企業収益も落ち込んでいく可能性もあるでしょうし、ウクライナ情勢など国際情勢も非常に不安定です。現状米国経済はまだ強さを残しているとはいえ、先行きが見通せない状態と判断すれば、そこまで急いで利上げをすることはないと思います。実際、景気後退の兆候が見られれば、FRBのタカ派の姿勢も変わってくるだろうという意見もあります。そういう意味では緊急利上げを行うほどではないような気がします。

まとめ

今日はFRBの緊急利上げの可能性について考えてみました。個人的にはそこまでする必要はないと思うし、できないのではないかと思います。インフレ下においても強い米国経済も、いつまでこの状況が続くのかはわかりません。ウクライナ情勢などもどうなるかわからない状況です。実際ロシアのウクライナ侵攻のニュースが流れると、上昇していた金利や米ドルが落ち着くという奇妙な現象すら起きる状態です。そのくらい非常に不透明な状況が多い中で緊急利上げをやるという選択肢は非常にリスクがあると思います。通常のペースでの利上げを行うのが限界でしょう。そういう意味でもしばらくは高インフレの状況が続きそうです。インフレが続く限り、米国株は売る必要はないと思います。実質的にはマイナスであったとしても、名目上は上昇をする可能性は大きく、相対的に米国株はマシな投資先として価値は残ると思います。