日本は人口政策を真剣に考えなければいけない

日本の総人口が減少を始めてから随分と時間がたっています。相変わらずその傾向は続いており、人口減少の勢いはむしろ加速しているように思えます。現在の日本には様々な問題が存在しますが、そのもっとも重要なものの一つに人口問題があるでしょう。人口政策は経済だけでなく、国家そのものの重要な基盤の一つです。ここを間違えるとあらゆる面において支障をきたすようになり、日本という国家を維持することも困難になるでしょう。しかし、現在の日本にはその危機感があまりになさすぎるように思えます。かねてからそのように感じていましたが、先日、マネックス証券の松本大氏が私と同じ危機感を感じているということを記事に書いていました。非常に共感できるものであり、大切なことです。そういうわけで今日は日本の人口について考えてみます。

人口政策 | 松本大のつぶやき | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

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日本の人口

日本の人口は2021年8月時点で以下のようになります。

  • <総人口> 1億2563万3千人
  • ・15歳未満人口は 1482万9千人で,総人口に占める割合は             11.8%
  • ・15~64歳人口は   7461万5千人で,総人口に占める割合は            59.4%
  • ・65歳以上人口は 3618万9千人で,総人口に占める割合は             28.8%
  • <日本人人口> 1億2289万8千人

引用:総務省統計局より

日本列島のような小さな島国に1億2千万人もいるのだからとても多いと思うかもしれませんが、消してそのようなことはありません。すでに日本の人口は減少を始めており、2060年には総人口が9000万人を割り込み、高齢化率も40%を超えるようになるといわれています。このように何もしないでいると日本は確実に人口が減少し、衰えていくことが確実なのです。

人口問題は株価にとっても大問題

人口の減少はただ人が少なくなるから、混雑しなくてよいとかいう問題ではありません。国力を大きく損なうこととなる非常に重要な問題です。人口が減れば単純にそこで消費される金額が減ることになります。人間一人が使うお金というのはそう大きく変動するものではありませんから、単純に人数に比例していくものです。なので人口減少は確実にGDPを押し下げます。消費量が減るということは需要が減るということですから当然価格は下落します。これは相当なデフレ圧力となって経済にダメージを与えることとなるでしょう。そうなると国内で活動している企業の収益もあまり伸びることもなく、株価も下落傾向になるはずです。海外での展開を進めていれば多少は違うかもしれませんが、日本の企業である以上はダメージは避けられないと思います。そうであれば日本企業の中には将来、海外に拠点を移し、外国企業として生き残る道を探るところも出てくるかもしれません。実際海外移転とまではいかなくとも、上場市場を東京ではなく米国やシンガポールなど海外を選ぶ企業も多くなっています。そうなるとますます日本の経済力が低下することとなり、国力も減少していくことでしょう。人口減少の影響はもちろん経済だけではなく、外交・安全保障や様々な分野で影響を及ぼしてきます。そういう意味で人口減少というのは真っ先に国として対応していかなければいけない問題なのです。

日本の人口対策はまだまだ不十分

しかし、現在の日本政府には本気で対応しようという気があまり見られないように思えます。岸田政権で子供庁の創設など遅ればせながら少子化対策を始めようという動きは出てきていると思います。しかし、根本的な問題解決には至らないでしょう。そもそも子供庁は今いる子供の育成や教育をしっかりしていこうというものです。人口を増やそうというものではありません。子供の育成環境が整えば当然子供の数も増えていくでしょうが、あくまで間接的な効果であり、直接的な人口政策とは言えないと思います。そういう意味で、岸田政権も全く関心がないということではないと思いますが、まだまだ人口対策が十分だとは思えません。

日本人の出生率を上げるのはなかなか大変

人口を増やすには産む子供の数を増やすというものもありますが、外から人を入れるという政策もあります。いわゆる移民政策というものです。この政策が人口問題解決に非常に効果があることは事実であると思います。実際、積極的な移民政策をしている米国は、世界第一位の経済大国であり、先進国の中でも数少ない人口増加が継続すると見込まれている国です。そういう意味では日本も移民についてもしっかりと議論をするべきだとは思いますが、なかなかうまくいっていないのが現状でしょう。特に保守的な人からは抵抗が多くあるため、日本ではなかなか実現しそうにない感じがします。個人的には今後の日本を考えていくと移民の受け入れというのは避けて通れないような気がします。出産に対する多額の祝い金や、手厚い子供政策を実行すればある程度日本人の出生率も増加するでしょう。しかし、現在のように男女平等で、かつ個人の自由が尊重されるような社会では子供はなかなか増えないのではないかと思います。実際日本や欧州などの先進国や経済成長をした国では出生率は減少していくところが多いです。そういう意味で、人間は経済的に満たされたうえで自由を与えられると、子供や家族といったものを求めないようにできているのかもしれません。もちろん経済成長と出生率が絶対に相反する関係にあるとは言いません。経済成長をしていても出生率が高い国もありますし、やりようはいくらでもあるでしょう。問題はそれが日本という国、そして日本人に実行できるのかという問題です。個人的には日本人の気質を考えるとこれから日本人の出生率を上げるのは相当難しいのではないかと感じているのです。

まとめ

今日は日本の人口問題について考えてきました。日本の人口問題を解決するには子供を産みやすくする環境づくりとともに、移民についても考えていく必要があると個人的には思います。外国人であっても日本の歴史や文化を理解し、ともに歩んでいこうという人は積極的に受け入れても問題ないと思います。逆に日本人であってもこの人とは一緒に生きて行くのは困るなという人もたくさんいます。そういう意味では日本人であろうが外国人であろうが、日本という国に愛着を持ち、国家のため国民のために頑張ろうと思える人が多くなればいいのかなと思います。そうなれば国力も自然と成長していき、経済力も高まっていくでしょう。