パンデミック下でも個人金融資産は増加しているが・・・

去年から続いている新型コロナウィルスの影響により、経済は停滞した状態が続いています。ワクチン接種も進み、ようやく経済活動正常化に向けた動きが出てきました。新たな変異種の出現やインフレなど今後も不透明な状況は続きそうですが、世界が確実に動き始めることは間違いないでしょう。我々投資家もきちんと現実を見つめ、未来に向けて行動しなければなりません。今年の第二四半期に野村資本市場研究所より個人の金融資産動向に関するレポートが出されました。これによると個人の資産運用に対する意欲は新型コロナウィルスパンデミックの状況下においても相変わらずのようです。しかし、個人的には非常に気になったことがありました。なので今回はこのレポートについてみていきたいと思います。

金融資産は着実に増加している

2021年9月17日に公表された日本銀行「資産循環統計(速報)(2021年第2四半期)」によると、2021年6月末の個人金融資産残高は1,991兆6,191億円(前期比1.2%増、前年比6.3%増)となり、過去最高を更新しています。

出典:FPジャーナル11月号 より

内訳は現金・預金が1,056兆円と最も多く、個人金融資産の54%を占めます。次いで保険・年金・定型保証で533兆円で、個人金融資産の27%を占めます。株式等は195兆円、投資信託は84兆円、債権証券は26兆円、対外証券投資は22兆円であり、これらを合計した有価証券が個人資産に占める割合は17%となっています。

特徴としては現金・預金、株式、投資信託への資金流入が増加していることです。新型コロナウィルスパンデミックの影響により、個人消費が大きく抑制されました。そのせいで個人資金があまり使われることなく、貯蓄に回っているようです。また、株式、投資信託への資金流入も増加傾向が続いています。10万円の定額給付や消費抑制により資金に余裕が生まれたこと、また時間にも余裕ができた人が多くいたこと、そして未来に対する不安がパンデミックにより身近に感じることとなり、投資を勉強する人が増えたことも一つの要因のようです。さらに新型コロナウィルスパンデミックの影響によって株価が大きく下落したことも、いい投資のチャンスととらえる人も多くいました。このように様々な要因が重なり、投資をする人が増え、資金流入も続いているものとみられます。

対外証券投資は減少している

意外なのは外貨預金や対外証券投資は減少していることです。2016年からの統計によれば対外資産はほぼ横ばいの状態が続いています。最近の話題の中には米国株投資が注目されているというのも多くみられます。なので、対外証券投資も増加しているものと思っていましたが違っていたようです。円安が進行したことも大きな要因のようですが、まだまだ米国株投資はマイナー投資方法のようです。

出典:野村資本市場研究所 より

個人的にはまだまだ成長の余地がある米国は非常に有望な投資先に見えますが、一般の個人投資家にはそうではないようです。もしかしたらリスクが高いなど興味があるけどまだやってないという人も多いのでしょうか。だとしたらぜひ検討してもらいたいものです。確かに外国株は日本株よりもリスクは高いものは多いと思います。特に新興国についてはチャンスも多いですが、大きく損をするリスクも考えておかなければなりません。しかし米国はご存じの通り、世界第一位の経済大国です。証券市場の魅力は日本よりもはるかに大きいです。そして投資家保護などの法律の整備も十分行き届いています。なので外国株だからリスクが高いということはないと思います。あるとしたら為替ぐらいかなと思いますが、為替は長いスパンで見れば上昇もすれば下落もします。そこまで気にする必要もないでしょう。しかも、今後のことを考えれば円よりもドルの方が強くなる確率は高いと思っています。そうであればドルで投資をすることは為替差益も見込めるので、非常に有望な投資となるでしょう。日本は長期にわたる停滞をしていて、そこから抜け出せる気が正直しません。もちろんそんなことを望んでいるわけではありませんし、成長をしてほしいと思っていますが、アメリカよりも成長できるかといわれるとかなり厳しいのではないかと思います。そうであれば単純に考えると為替は円の方が安くなるはずですから、今のうちからドルで投資をするというのは為替差益も見込める素晴らしい投資手法となります。しかもその投資先が世界第一位の経済大国ですから、これはもう投資しない手はないはずです。

まとめ

今日は個人金融資産の現状についてみてきました。金融資産は順調に増加しています。これを見ると日本人は実は非常に裕福になっていると見ることもできるのかもしれません。世界はインフレで苦しんでおり、資産が増える以上に物価が上昇しています。しかし、日本は個人資産は増えても物価は上昇しません。非常に珍しい状況ですが、少なくとも日本全体で見れば、個人は購買力は十分維持できているということが言えるのでしょう。しかし、それはあくまで全体を見ればそうだというだけで、一人一人を見ていけば非常に苦しい状況におかれている人もたくさんいます。特に今の若い人は収入も低く、税金や保険料などをたくさん取られますからとても苦しいのではないかと思います。そういう状況を抜け出すためにも投資は必要不可欠であり、それをするかしないかで10年後、20年後の人生を大きく左右することになるでしょう。政治や社会情勢に文句を言いたい気持ちもわかりますが、自分にできることをきちんとやっていけば搾取される側ではなく、自分の意志で生きていけるだけの資産を築くことは可能だと思います。そのためには投資が必要であり、米国株投資は最も優れた方法の一つだと思っています。しかし、現状はまだまだそのような認識はされていないようです。個人的にはもっと米国株投資は浸透しているものと思っていましたが、非常に残念な結果です。私は米国株投資こそが個人が資産を築くための最も有効な手段だと思ってます。なのでこれからも少しでも多くの人が米国株投資の魅力を知ってもらえるように努力していきたいと思います。