基本中の基本、投資信託のコストについて確認する

投信積立は個人投資家に非常に人気の投資手法で、NISAやiDecoなど税制優遇も受けられるため、多くの人が行っていると思われます。最近は非常に低コストで投資できる投資信託が沢山販売されており、投資家にとっては非常に良い投資環境となってきています。「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は2019年9月26日に設定された商品で、低コストで米国S&P500インデックスに投資できる商品として非常に人気があります。その「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」が11月19日に運用報告書を発行しました。その結果、総経費率が0.10%と非常に低いコストでの運用を行っていることが分かりました。投資家としては非常に喜ばしいニュースです。投資信託の低コスト化への競争は日々激しくなってきています。それだけコストというのが非常に重要ということです。というわけで今日は基本中の基本、投資信託にかかるコストについて確認していきたいと思います。

投資信託とは

「投資信託(ファンド)」とは、一言でいえば「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」です。

引用:一般社団法人 投資信託協会ホームページより

投資信託は投資家から広くお金を集め、そのお金でいろいろな商品に投資する金融商品です。株や債券など世の中にはいろいろな投資商品がありますが、それらを一つ一つ調べ上げ、投資していくというのは個人投資家にとってはとても大変な作業です。ほとんどの人にはそんな時間もないだろうし、興味を持てなければ非常に苦痛を伴う作業となってしまいます。このように投資はしたいんだけど専門知識もないし時間もない。そんな人たちからお金を集め、専門家が代わりに運用をしてくれるというのが投資信託です。投資家はただお金を預けるだけで、あとは専門家が自動で運用をしてくれます。なので投資に時間や労力を割く必要がなく、自分の好きな仕事や趣味をしながら資産を運用できるという非常に有用な商品です。その代わりいくらかの手数料を払うことになりますが、投資にかかる時間や労力を大幅に削減できることを考えれば十分払う価値はありますし、近年は非常に低コストになってきています。そいうこともあり、個人投資家に非常に人気の商品となっています。

コストは非常に大事

1%のコストと聞いてどのように感じるでしょうか。すごく小さいからどうでもいいと思うかもしれませんが、投資においてどんな小さなコストであっても無視することはできません。特に長期投資においてはとても大きな差となって20年後、30年後に現れてきます。

引用:松井証券 ホームページより

このグラフは500万円を10年間、3%の利回りで運用したものの比較です。0.5%刻みでの比較となっていますが御覧の通り、10年で大きな運用益の差が出てきています。2.0%と0.5%の運用益の差はなんと90万円にもなるのです。このようにコストというのはいかに小さくても結果に大きな影響を与えます。なので可能な限り低く抑える必要があるのです。

かかるコスト

購入時手数料

その名の通り、投資信託を購入する時に払う手数料です。投資信託を購入する際にかかり、保有しているときにはかかりません。なので積み立て投資など購入頻度が多くなる投資方法のときは、購入のたびに手数料を支払う必要が出てきますので非常に注意が必要となります。最近ではいわゆる「ノーロード」と呼ばれる手数料無料の商品も多く出てきています。ノーロードであれば余計なコストを支払う必要もなく、購入頻度が多くなる場合もコストを気にせず安心して取引できます。よほど有利な商品でもなければ購入手数料は払わない方がいいですし、ネット証券などでは多くの有用な投資信託はノーロードで購入できます。

信託報酬

運用管理費用とも呼ばれ、投資信託を保有しているだけでかかってくる費用です。保有額に応じて毎日徴収されるので、長期間に渡る保有では少しの手数料の違いでも大きなコストの差となってきます。なので長期投資をする場合は特に注意が必要です。そのため投資家が最も注目する手数料でもあり、最近は信託報酬の値下げ競争が起こっています。以下は今、最も人気のある投資信託である「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の信託報酬の比較です。

引用:Morningstar ホームページより

信託報酬はどちらも0.064%と0.098%で非常に低コストであることがわかります。これだけ見ると「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」のほうが低コストのように見えますが、近年はいわゆる「隠れコスト」と呼ばれるものも注目されるようになってきました。これは信託報酬外でかかってくるコストで、投資信託購入時には提示されないものです。この表では信託報酬から下のものとなります。以前は信託報酬が非常に高額だったため、あまり注目されてこなかった手数料ですが、近年の信託報酬の値下げ競争によりこのような小さなコストにまで注目されるようになってきたのです。投資家としては非常に良いことですが、このコストは信託報酬には含まれないので、自分できちんと確認することが必要になります。そして、隠れコストを含めた総経費率は「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」が0.10%、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が0.12%となり、信託報酬だけで比べるよりもほとんど差はなくなってきています。どちらも非常に低コストで投資信託を保有することができるので、人気の商品というのもうなずけます。

信託財産保留額

これは投資信託を売却するときにかかる手数料です。なので購入時手数料と同じように、売却回数が多ければ多いほど無視できなくなるものです。個人的には長期投資家はあまり気にする必要はないと思っています。理由は単純で、購入した投資信託はすぐに売却することはないからです。積立投資など長期投資の場合、長期間積み立てていった後、ある程度まとまった資産ができてから売却ということになるはずです。であれば購入頻度に比べて売却回数はかなり少なくなるはずです。なので売却時のコストというのはそこまで気にする必要はないでしょう。もちろんコストは低いに越したことはないですが、信託報酬や運用利回りなど他のファクターを優先して考えたほうがいいと思います。

まとめ

今日は投資信託に価格コストについて見ていきました。コストは購入時にかかる購入時手数料、保有しているときにかかる信託報酬、売却するときにかかる信託財産留保額ということになります。今日お話したことは非常に基本的なことなので、もう知っているという人は多いのではないかと思います。しかし、非常に重要なことですから確認をする意味でも記事にしてみました。それと、隠れコストについては意外と知らない人もいるようなので、しっかりと確認してみてください。信託報酬が低かったけど、隠れコストが高く、意外と高コストだったという話は結構聞く話です。何度も言いますが、長期投資においてコストは非常に重要な問題です。可能な限り低く抑えるようにしていきましょう。