ロシアに対する経済制裁を完全に実施するのはなかなか難しい

ロシアに対する経済制裁は日に日に増してきています。撤退したキーウでの民間人に対する虐殺などが判明してからはその動きが加速してきています。しかし、ロシアを経済的に締め付けるのは容易ではなく、どれほどの効果が期待できるのかよくわかりません。実際、ロシアは制裁逃れの手段を徐々に獲得しているようです。もちろん西側も無策というわけではなく、対抗処置は講じているのでしょうが理想的な結果となるかは不透明です。そういうわけで今日はロシアに対する経済制裁の効果について考えてみます。

ロシアに対する経済制裁は日に日に増している

ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、欧米をはじめとした世界各国はロシアに対して経済制裁を科すようになりました。当初は多くのエネルギーをロシアに依存している欧州をはじめ、そこまで強力な制裁ではなかったように思いますが、SWIFTからの排除を決定したり、民間人虐殺のニュースが出てからはより厳しい制裁を科すようになってきました。その結果ルーブルは暴落し、ロシアは経済的には非常に苦境に立たされることになったのです。実際の戦闘でもウクライナ軍の予想外の猛攻もあり、ロシアにとっては理想的な展開とはなっていません。そういう意味でもかなり苦しい立場になってきていくことは間違いないでしょう。

経済制裁も完ぺきではない

しかし、ロシアに対する制裁は世界が一丸となって行われているわけではありません。西側各国でも若干の温度差がありますし、ロシアとつながりの深い国々ではなかなか強力な制裁に参加できない事情もあります。中でも中国の存在は非常に大きいものであると思います。ロシアに課された制裁分をすべて中国が受け入れるということは無理でしょうが、それでも中国がある程度受け入れるようになれば、ロシアに対する制裁の効果は弱くなるのは確実です。実際、ロシア極東産の原油は中国に多く売却しているようです。しかもその際の決済は人民元で行われているようで、いずれもが制裁の対象となっていません。このようにロシアへの制裁はどの程度聞いてくるのかというのはまだまだ分からないというのが現状でしょう。

経済制裁は自国にも帰ってくる

今回のロシアによるウクライナ侵攻によってロシアもそうですが、日本もはじめとした自由主義国側もかなりのダメージを覚悟しなくてはならないようです。ロシアはいくら制裁逃れをしたとしても相当のダメージがあることは間違いありません。そして自由主義側各国もロシアから天然資源や食料を輸入できなくなるということは、結構ダメージが大きくなると思われます。特につながりの大きい欧州ではかなりの経済的損失が起こるでしょう。しかし、キーウでの民間人虐殺を受けて、ロシアへの制裁の動きはどんどん強くなってきています。そういう意味でも欧州各国はある程度のダメージはもう覚悟しているように思います。

日本も他人事ではない

当然日本も他人事ではなく、世界の流れを受けてロシアに対する制裁を徐々に強めています。外交官の国外追放や、石炭の輸入停止など日本の経済に対するダメージが懸念されるようなこともせざるを得ない状況です。この流れはもはや止まることはなく、今後も強くなるでしょう。そうなるとサハリン2をはじめ、日本が権益を持っているエネルギー関連のプロジェクトも撤退せざるを得ない状況になる確率はかなり高くなったのではないかと思います。そういう意味でもエネルギー政策の見直しは早急に行うべきです。そうでなければ日本経済にとってもそうですし、国民生活にも直接的な影響が出てきてしまうでしょう。

まとめ

今日はロシアに対する経済制裁について考えてきました。ロシアへの制裁は日に日に強くなってきており、このことがロシアをより厳しい状況にしていることは間違いないでしょう。ですが、ロシアもただ黙っているわけではなく、あらゆる手段を用いて制裁を逃れながら、自国経済を保つようにしていくでしょう。そういう意味では今後もロシアと自由主義国側の我慢比べのような状態は継続していくものと思われます。そのような状況ではやはり経済にとって良い影響というのは考えづらいです。特にインフレが加速する中、さらにその勢いをつけるようなこととなるため、非常に厳しい事態となるでしょう。そういう意味では株価も上値が追いづらい展開は続いていくのでしょう。