FOMCで75bpでの利上げが決定。今後もこの流れは続いていきそう。

米国のインフレはやはり深刻な状況に陥っているようです。14日から15日にかけて行われたFOMCでFF金利の誘導目標を75bp引き上げ、1.50-1.75%とすることを決定しました。先月までは50bpの利上げを想定する識者も多く、パウエル議長もそのように述べていましたが、先日の消費者物価の数値の影響により修正が必要になったようです。やはり米国経済は今後はかなり悲観的な予想をせざるを得ないような感じがします。そういうわけで今日は先日行われたFOMCについてみていきます。

FF金利は75bpでの利上げが決定

FRBは6月14日と15日に行われたFOMC、連邦公開市場委員会にてFF金利の誘導目標を75bp引き上げ、1.50-1.75%とすることを決定しました。

米連邦準備理事会(FRB)は14─15日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を75ベーシスポイント(bp)引き上げ、1.50─1.75%とした。インフレ高進に積極的に対応しながらも、今後は景気が減速し失業率が上昇すると予測した。今回の利上げは5月の50bpの利上げに続くもので、一度に75bpの大幅利上げを決定するのは1994年以来、27年ぶり。

引用:ロイターより

このように、75bpもの利上げというのは27年ぶりのことであり、いかに異常事態であるかということがよくわかります。今回の発表でFRBはインフレの抑制により積極的に対処していくという姿勢を見せており、失業率の上昇や景気後退などはある程度仕方ないという姿勢を明確に示しました。そのため、今後は多少の景気後退、株価下落が起こったとしても金融当局の後押しというのはまず期待できないと思った方がいいでしょう。

今後も75bpでの利上げがすでに市場に織り込まれた

オールスプリング・グローバル・インベストメンツのシニア投資ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「FRBは失業率上昇と景気後退(リセッション)を代償にしてでもインフレ率を引き下げようとしている」と指摘。金利先物市場では、次回7月FOMCで75bpの利上げが再度決定される確率が約85%であることが織り込まれている。

引用:ロイターより

今後についても市場は75bpでの利上げをすでに織り込んでいます。パウエル議長は75bpでの利上げが一般的になるということはないといってはいますが、柔軟に、そして積極的に対処するということは述べており、その可能性は十分にあると思われます。今のところは次回のFOMCでは50bpか75bpでの利上げを想定しているようです。確かに現在の状況を考えればそのような結果になることは十分に考えられるでしょう。しかし、一か月前には6月のFOMCで75bpの利上げが行われるという意見は少数でした。しかし、結果としては75bpでの利上げが行われたということもあり、来月もどのようになるのかはまだわかりません。もしかしたら本当に100bpの利上げなんていうことも起こるのかもしれません。

経済見通しも下方修正

今後についての予想も下方修正されました。

FRBは大幅利上げに踏み切りながらも、景気見通しを下方修正。今年の経済成長率はトレンドを下回る1.7%に減速するとしたほか、失業率は年末までに3.7%に上昇し、24年にかけて4.1%に上昇すると予想を示した。米経済が景気後退(リセッション)に陥ると予想した当局者はいなかったものの、23年の成長率予測レンジはゼロに近づいた。積極的な利上げにもかかわらず、個人消費支出(PCE)価格指数伸び見通し中央値は22年が5.2%。ただ、23年は2.6%、24年は2.2%に減速するとの見方が示された。

引用:ロイターより

このようにリセッションを予想する人はいなかったようですが、成長見通しは大幅に下方修正されました。最近は経済予想は下方修正されることが非常に多くなってきたように思います。正直今回の発表もかなり楽観的な予想をしているのではないかという印象もあります。今のところ米国経済は高いインフレにもかかわらず、消費が堅調であるため何とか持っていますが、これがいつまでもつか非常に疑問だといわざるを得ません。実際、米国民の実質賃金は確実に低下してきており、消費についても借金をしての消費が異常に伸びてきていることはデータによって証明されています。このような無理な消費というのはサブプライムローンの時のような状況と非常によく似ているなという印象はあります。悪いことをひた隠しにするために懸命になっている感じです。借金をしての消費などいつまでも続くわけがありません。そう遠くないうちにこのような消費は失速していくでしょう。おそらくはそれが今年の後半から来年にかけて起こると予想され、来年以降の成長率予想が低下しているのだろうと思います。

まとめ

今日は6月のFOMCについてみていきました。消費者物価の予想外の上昇を受けてある程度予想されてはいましたが、FRBはインフレ退治に本腰を入れるようであり、景気後退や失業率の上昇はもはや気にしないといった感じなのだろうと思います。そういうわけで今後は米国市場もしばらく軟調な展開が続くだろうと思いますし、それは年単位のものになるのではないかと思います。そういうわけでしばらくは苦しい展開が続くでしょう。しかし、そういう時こそ優良銘柄を安く買えるチャンスでもあります。本業を持っている個人投資家にとって短期的な下落ほど絶好の投資機会です。ぜひこのチャンスを逃さないようにしましょう。