金融引き締めがイノベーションを妨げる可能性

厳しいインフレを抑制するためにFRBは利上げを行い続け、未だその制作を変更するには至っていません。インフレが与える影響を考えれば仕方のないことですが、当然ながらそれは多方へ影響を与えることとなります。その可能性というのは常に忘れてはいけないことでしょう。

金融引き締めが与える悪影響

先日行われたジャクソンホール会議ではパウエル議長が今後も厳しい金融政策を行う旨の発言がありましたが、そのことによるリスクについても発表があったようです。

中央銀行による利上げはイノベーションに著しい影響を及ぼすと、ジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)で25日発表された論文は指摘。ひいては経済の生産能力に影響を与える可能性があるとの見方を示した。

  金融引き締め政策は全般的な需要を減らすことで、企業の技術革新意欲を低下させるほか、最適な金融環境の弱まりとリスクテーク意欲の後退により、金融投資を抑制すると、エコノミストのユエラン・マ、キャスパー・ジマーマン両氏は研究で見いだした。マ氏が同論文をジャクソンホール会合で発表した。

  米シカゴ大学のマ氏と、ライプニッツ金融研究所(フランクフルト)のジマーマン氏は「金融政策は十分認識されている景気への短期的な影響に加え、経済の生産能力に持続的な影響を及ぼし得ることを今回の研究結果は示唆している」と記述。

  1ポイントの金利上昇は、その後1-3年間におけるR&D(研究開発)支出の1-3%減および、ベンチャーキャピタル(VC)投資の25%減につながると、両氏は説明した。

  その上で、助成金や補助金などのメカニズムを活用して、金融引き締め政策がイノベーションに及ぼす影響を打ち消す方法について模索するのは価値あることかもしれないと続けた。

引用:bloombergより

このように厳しい金融政策の継続というのはイノベーションにとっては非常に大きな逆風となってしまうようです。金利を引き上げればお金の流れは滞るようになるため、当然ながら研究開発などの分野にも大きな影響を与えるのは間違いないところでしょう。そういう意味では長期間に渡る金融引き締めというのはすでに米国のイノベーションに大きなダメージを与えているのかもしれません。

可能な限り早く金融正常化を実現させてほしい

この可能性についてはおそらくは多くの関係者がわかっていることでしょう。しかし、インフレによる悪影響のほうが無視できるものではないため、致し方なく引き締めを継続してきたということだとは思います。しかし、もう一年以上に渡り金利を引き上げ続け、今後もしばらくこの状態が続くというのであれば、米国でのイノベーションにも大きな影響を与えることは間違いないでしょう。もしかしたら今後社会に大きな影響を与えるような発表が数年程度後退してしまっている可能性も捨てきれません。そういう意味ではインフレの長期化というのは非常に罪深いものだという感じがします。

まとめ

今日はインフレによる副作用について考えてきました。仕方のないこととはいえ、長期に渡る引き締めというのはあらゆる分野への悪影響を与えています。そういう意味ではなんとか少しでも早く金融政策が正常化される未来が訪れることを期待したいところですが、それはまだしばらく先のような気がします。なので私達が享受するはずだった新しい可能性が少し先延ばしになったのだろうなと感じています。