マーケットは利上げ終了を織り込んでいるが、FRBはまだ利上げの可能性を排除していない

市場ではすでに利上げは終了であり、い吊り下げが行われるかに関心が集まっているように思えます。しかし、実際にはまだまだ引き締めの可能性は十分にあり、そのような発言はFRB内部からも上がってきています。市場はいつものように楽観的なシナリオを描いてはいますが、そこまで単純な話ではないと思いますし、そのような心づもりをしておいたほうがいいでしょう。

今後の利上げの可能性は排除していない

FRBのボウマン理事はイベントにて今後の金融政策について以下のような発言をしています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は7日、インフレ抑制のためには利上げが必要になるだろうと今も考えているとしながらも、9月からの米国債利回り急上昇が金融環境を引き締めていると付け加えた。

  ボウマン理事はオハイオ州の銀行団体が主催したイベントで講演。「インフレ率を適切なタイミングでわれわれが目指す2%に低下させるには、さらなる利上げが必要になるとなおも予想する」と述べた。発言内容は事前原稿に基づく。

  ボウマン氏は先週の連邦公開市場委員会(FOMC)で据え置かれたフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標について、「景気に抑制的だと見受けられる。金融環境は9月から引き締まった」と述べた。その上で、引き締まりの一部は最近の長期債利回り急上昇を通じてもたらされたと説明。利回りは時間の経過とともに変動が激しくなり得ると指摘した。こうした引き締まりが経済とインフレに与える影響を政策当局者が把握するのは、時期尚早だとも述べた。

引用:bloombergより

このようにボウマン理事はインフレ抑制のためにさらなる金利の引き上げの可能性について言及しています。市場においてはすでに利上げは終了との空気は漂っていますが、FRB内部ではこのような慎重論も少なくありません。他にも以下のような発言も出てきています。

米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、金融政策当局はまだインフレとの闘いに勝利していないと述べ、必要となればさらなる引き締めを検討するだろうと話した。

  カシュカリ総裁は7日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「妥当な時間をかけてインフレ率を2%まで下げなければならない」と述べた。「そこに到達するためにどれくらいが必要なのかは、最終的に経済が教えてくれるだろう。私にはわからない」と語った。

引用:bloombergより

このように、利上げの可能性を排除していないのはボウマン理事だけではありません。カシュカリ総裁を始め、利上げを主張する関係者はそれなりに存在しているのです。そういう意味では少なくとも現状、利上げはすでに終了したとか、利下げはいつになるという話はやや早急なのかなという感じがします。

マーケットの楽観論は相変わらず

マーケットは相変わらずの楽観論が蔓延しています。これまでもその楽観論で大怪我をしてきたはずなのに全くこりていないという感じです。勝手に解釈し、勝手に失望するという展開がまた起きるような気がしてなりません。もちろんその可能性がないわけではありません。このまま景気が適度に冷やされ、インフレが落ち着いていくのであれば利上げは行われないでしょうし、それを否定する声も上がらないでしょう。しかし、現状それを確定できるような事実はないということです。それはしっかり覚えておいたほうがいいでしょう。市場の楽観論に流されてはいけません。

まとめ

今日は今後の金融政策についてのFRB内部の意見について見てきました。市場が思うほどにFRBは楽観的ではありません。それは事実ですし、そのことはしっかり頭に入れておいたほうがいいでしょう。おそらくは現在の市場の楽観論は近いうちに否定され、勝手な失望がまた起きるのだろうと個人的には思っています。