7月の求人が悪化。労働市場は軟化してきているのか

米国の労働市場は徐々に軟化してきているようです。7月の求人件数は非常に低水準なものとなり、米国の労働市場が鈍化してきていることを示すものでした。労働市場の堅調さというのは米国経済を支える重要なものだっただけに、今後に対して不安の残る形となっています。

求人が低調

昨日発表された7月の求人件数は非常に低水準なものとなったようです。

7月の米求人件数は減少し、この2年余りで最も低い水準。市場予想も大きく下回った。労働需要が鈍化しつつあることを示唆する新たな材料となった。

  求人件数はこれで過去7カ月で6回目の減少となった。

  自発的離職者の割合である離職率は2.3%に低下し、2021年1月以来の低水準となった。現在の労働市場で別の仕事を探すのをためらう人が増えていることを示唆する。

  7月はプロフェッショナル・ビジネスサービスや医療、政府部門での減少が特に目立った。

  求人件数の減少に加え、労働参加率が上昇傾向にあることで、労働市場の均衡は改善してきており、賃金の伸びも緩やかになっている。労働者への需要は鈍化しているにもかかわらず、失業率は依然として過去最低水準付近にある。

  コメリカ・バンクのチーフ・エコノミスト、ビル・アダムズ氏は「米金融当局は急速な賃金上昇が2024年にインフレ圧力をあおる可能性を懸念している。しかし、転職による報酬増加の機会が少なくなっていることを働き手が認識しているため、賃金の伸びは向こう数カ月で減速する公算が大きい」とリポートで指摘した。

  失業者1人に対する求人件数は1.5件に減少し、21年9月以来の低水準。

  採用は21年1月以来の低水準に落ち込んだ。直近2カ月間では合わせて45万8000件減少と、20年末以来の大きな減少幅となった。

  レイオフはほぼ変わらず。労働者不足への懸念がくすぶり、米消費が堅調であることを踏まえると、企業は従業員の解雇に依然消極的だ。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場において、求人の減少が顕著となってきています。求人が減少しているということは労働者にとっては非常に厳しい状況になってきていると言っていいでしょう。これまではインフレや景気動向など何が起きても労働市場が安定しているということが米国経済を支える大きな役割を果たしてきたと思います。それが揺らぐ可能性があるのであれば先行きにも不安が出てくるのかもしれません。

この程度であれば問題はないのだろうと思う

今回のことがどれだけ大きな問題となるかはわかりません。インフレ抑制のためには必要なプロセスの可能性も十分にありえるでしょう。労働市場の過熱感というのがインフレを加速させることは事実ですし、それを抑えるためにもある程度の労働市場の落ち着きというのはFRBも望むところだと思います。問題はこの状態がFRBの望んでいたものなのかどうかということと、経済を失速させるようなきっかけになってしまうのかということです。個人的にはこの程度であれば問題ないとは思いますが、この状態が長引いたり、加速度をつけて悪化するようであれば大問題となる可能性もあるでしょう。そのときは金融政策にも大きな影響を与えるだろうと思います。

まとめ

今日は求人件数が低調になったというニュースについて見てきました。この程度であればさほど大きな問題にはならないのかなという感じがします。インフレ抑制にもなるでしょうし、労働市場の落ち着きというのはFRBに厳しい金融政策を思いとどまらせる効果も期待できるでしょう。それも全て今後の経済指標次第であることは言うまでもありません。そういう意味では今度発表される雇用統計の結果というのには非常に注目が集まるのかなと感じています。