PPGインダストリーズが増配を発表。連続増配年数を50年とし、配当王となる。

PPGインダストリーズは10月21日、1株あたり59セントの定期的な四半期配当を発表しました。これにより、同社の連続増配年数は50年となります。これは非常に素晴らしい数字です。50年という数字はいわゆる配当王という分類になり、米国でもごく少数の企業のみが達成しているものです。そういう意味でも今回の増配は、とても記録的なものになりました。そういうわけで今日は、PPGインダストリーズについてみていきたいと思います。

事業内容

PPGインダストリーズ(PPG Industries Inc)は、多様なコーティングや特殊材料を製造・販売する。【事業内容】2つの事業セグメントで構成される。パフォーマンスコーティングセグメントには、補修、航空宇宙、保護及び海洋、建築事業が含まれる。工業用コーティングセグメントには、自動車の相手先ブランド供給(OEM)、工業用コーティング、パッケージングコーティング、コーティングサービス、特殊コーティング及び材料事業が含まれる。ブランドには、「PPG」、「GLIDDEN」、「COMEX」、「OLYMPIC」、「DULUX」、「SIKKENS」、「PPG PITTSBURGH PAINTS」、「MULCO」、「FLOOD」、「LIQUID NAILS」、「SICO」、「RENNER」、「TAUBMANS」、「WHITE KNIGHT」、「BRISTOL」、「HOMAX」、「DEKORAL」、「TRILAK」、「GORI」、「BOND」及びその他などがある。また、路面標示と交通安全ソリューションを、交通用塗料、熱可塑性プラスチック、熱可塑性プラスチック、隆起した舗装マーカー、高度道路交通システムなどの製品を提供する。また、産業用及び自動車用のコーティングも製造する。

引用:investing.comより

PPGインダストリーズは、世界最大の塗料およびコーティングを販売する特殊化学会社です。同社は1883年にピッツバーグでガラスメーカーをしてスタートしました。その後、1990年台に、塗料会社を買収します。それからはガラス事業を徐々に縮小し、特殊塗料事業を中心に成長をしてきました。そして、過去10年でガラス事業はすべて売却し、特殊塗料に集中するようになりました。

PPGインダストリーズの製品はいろんなシチュエーションで使用されています。自動車や飛行機、建築物のような大型の物から、缶詰や飲料用のBPAフリーコーティングなど身近な製品まで、同社の製品に触れたことがない人はいないでしょう。

また、PPGインダストリーズはM&Aに非常に積極的です。昨年だけでも5つの買収を発表しています。このような積極的な買収により、年間収益は16億ドル以上の増加を見込まれています。

通期業績推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

業績は若干下降気味です。PPGインダストリーズの利益の多くは自動車や航空産業、建築産業によるものです。よって景気の状態にかなり左右されます。特に昨年は新型コロナウィルスパンデミックの影響で、利益は大きく落ち込んでいるようです。しかし、去年の買収や、製品の値上げにより、今年の収益は40%以上回復すると見込まれています。インフレ懸念など心配なこともありますが、パンデミックの影響がひとまず落ち着けば、収益は改善されるでしょう。

株価の推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

株価は強くはないですが、緩やかに上昇してきている印象です。ここのところはやや下落していました。やはりパンデミックの影響もあり、業績がさえなかったことが反映されていたのだと思います。しかし、直近では持ち直してきた感じがします。収益改善期待が表れてのことでしょう。予想通りの決算が出れば、さらなる上昇も期待できるかもしれません。

セグメント構成

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

主にパフォーマンスコーティングと産業用コーティングによって成り立っています。先ほども述べましたが、現在は強みを生かすために、収益にならない事業は売却し、特殊コーティング事業に特化しています。

セグメント業績推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

どちらも最近は大きく落ち込んでいます。特に去年はパンデミックの影響が大きく出たことがよくわかります。景気に敏感な事業を行っているだけに、業績の上げ下げはどうしても出てしまうのでしょう。投資する際はその点も考慮しないといけないと思います。

年間配当履歴

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

配当は非常に順調に伸びています。さすが配当王といったところです。景気に敏感なのにもかかわらず、これだけ安定感を出せるというのは本当にすごいです。それだけしっかりした事業内容を持っているのでしょう。投資対象としてとても魅力的です。

配当利回り 配当性向

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

配当利回りは1.4%とあまり高くはありません。配当狙いの投資家としてはやや物足りない数字です。配当性向は37.1%と全く問題ありません。M&Aに積極的な企業ですから、フリーキャッシュフローは多く持っていたいのでしょう。そういう意味ではとても納得のいく数字です。

PER

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

PERは過去と比較してやや、落ち着いてきたかなという印象です。最近までは少し高めで推移していましたが、随分と下落してきました。やはり業績の影響でしょうか。しかし、今後の業績予想がとてもいいので、投資のチャンスかもしれません。景気状況には十分注意は必要ですが、投資のタイミングとしては悪くはないと思います。

貴族株指標

  • 増配年数 50年
  • 配当利回り 1.65%
  • 1年増配率 6.06%
  • 3年増配率 7.30%
  • 5年増配率 8.22%
  • 10年増配率 6.78%
  • 配当性向 36.99%
  • PER 22.42

参照:U.S.DividendChampions 2021/09/30より

連続増配年数50年はとても立派な数字です。今回の増配によって、めでたく配当王の仲間入りです。じつはU.S.DividendChampionsでは、今回の増配の前にすでに増配年数は50年となっていました。おそらく計算の仕方が若干異なるためだと思います。この辺の細かいことが気になる方は大変かもしれませんが、私は気にしません。増配年数が50年だろうと49年だろうと、どちらも同じようなものです。配当利回りは可もなく不可もなくという感じです。配当狙いというには少し物足りない感じがするので、安定的な株価上昇を狙っていきたいところです。増配率も非常に安定しています。昨年は若干低くなったような気もしますが、パンデミックの影響を考えれば致し方のないことだと思います。配当性向も全く問題なく、安全な領域です。しばらくは配当を削減される心配はないでしょう。PERも過去に比べればだいぶ落ち着いてきています。投資をするタイミングとしては十分だと思います。

まとめ

今日はPPGインダストリーズを見てきました。同社は非常に安定感のある、長期投資にふさわしい企業だと思います。配当利回りはそこまでではないので、長期的な株価上昇を狙っての投資に最適だと思います。以前、このブログでも、RPMインターナショナルという会社の紹介をしたことがあります。その企業も特殊塗料の会社だったのですが、同じように非常に安定した業績で、増配年数も長いものでした。そういう意味では特殊塗料業界というのは、業界として非常に安定した収益を上げやすい構造になっているのかもしれません。景気には左右されやすいので、一時的に下げるようなことはあるかもしれませんが、長期投資をするには非常に有望な業界です。

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