新規失業保険申請件数も低水準。以前労働市場はタイト。

米国の労働市場は依然堅調なようです。先日発表された新規失業保険申請件数は市場予想よりも低いものでした。これは米国経済の力強さを表しているといってもいいですが、インフレ抑制という観点から見ると、やはりまだまだ先が長そうだという印象も与えます。そういうわけで今日は先日発表された新規失業保険申請件数についてみていきます。

パウエル議長インフレ抑制にコミット

FRBのパウエル議長は23日に米下院にて証言をし、インフレ抑制には強い姿勢で臨むということを改めて示しました。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日、下院金融サービス委員会の公聴会で証言し、約40年ぶりの高水準に達しているインフレを抑制するFRBのコミットメントは「無条件」と表明した。同時に、積極的な金融引き締めが失業率の上昇を招くリスクが存在するという認識を示した。

引用:ロイターより

合わせて金融引き締めが労働市場に与える影響についても懸念していることが示され、失業率の上昇を招くリスクがあることを認めました。しかし、今のところは大きな景気後退に陥ることは想定しておらず、今年後半にはまた成長を続けるとの見通しを示しました。

新規失業保険申請件数は予想よりも低い

このようにFRBが強い姿勢でインフレ抑制に臨む姿勢を見せていますが、労働市場は依然タイトであるといっていいと思います。

米労働省が23日発表した6月18日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比2000件減少し、22万9000件となった。市場予想は22万7000件だった。4月末時点の求人件数は1140万件で、失業者1人に対し2件近くの求人がある計算だ。エコノミストらによると、賃金上昇を抑制する方向で労働需給の均衡を回復させるためには失業保険申請件数が25万件を超える必要がある。

引用:ロイターより

上記の通り、先日先日発表された新規失業保険申請件数について、市場予想よりも低い結果となりました。これはいまだ米国の労働市場は堅調であるといっていいのだろうと思います。ところどころ減速の兆候も見られているため、金融政策の一層の引き締めの効果も出てくることから今後についてはどうなるのかはわかりません。しかし、現状インフレ抑制という観点から見ればまだまだ厳しい状況であるといえます。記事にもある通り、労働需給の均衡を回復するためには失業保険申請件数が25万件ほどになる必要があるそうです。であればまだまだ労働市場は強いといって問題ないのだと思います。

いまだ熱は冷めず

今回の発表により米国経済はFRBの厳しい姿勢を受けてなお、力強さを残しています。しかし、当然ながらいつまでもこの状況が続くことはないでしょう。FRBもインフレが高止まりするのであればより引き締めを強化してくるでしょうし、いずれ沈静化してくると思われます。問題はそれがソフトランディングになるのかハードランディングになるのかということです。多くの識者が述べている通り、ソフトランディングの可能性というのは日に日に低くなってきているように思えます。これだけ大幅な利上げを続けているにもかかわらず、労働市場がタイトなままだとより引き締めを強力に行う可能性が出てくるでしょう。そうなれば経済を急激に冷やすことになり、景気を必要以上に冷やす可能性も十分にあるのです。FRB自身もその可能性を認めており、難しいことだといっています。そういう意味でも今後の経済状況は急激な変化が起こる可能性があると思います。

まとめ

今日は先日発表された新規失業保険申請件数について見てきました。米国経済は度重なる引き締めにもかかわらず強さを見せており、今回の発表もそれを裏付けるものでした。ただ、裏を返せば厚くなった熱を冷ますことができておらず、依然インフレ抑制に至っていないということでもあります。そういう意味でも今回の発表というのは今後もFRBに強い金融政策をさせるのに十分な内容となるかもしれません。そういう意味でもやはり米国経済の今後は厳しいものとなるような気がします。