労働市場は引き続き安定感を見せる

米国の労働市場は引き続き堅調なようです。昨日発表されたADPによる雇用状況は引き続き強さを見せており、米国経済を下支えしていることが確認されました。インフレが収まる気配を見せ始め、やや楽観的になってきたところですが、経済状況は非常に不透明なままです。その中にあっても雇用が引き続き安定しているということは何よりも心強いニュースであると言っていいでしょう。

民間雇用者数は市場予想を上回る

昨日発表されたADPによる民間雇用者数は市場予想を上回る結果となっており、引き続き米国の労働市場は強さを維持していることが確認されました。

米国の民間企業は7月に予想されていた以上の人員を雇用した。労働市場の強さが続いていることが浮き彫りになった。

  ADPリサーチ・インスティテュートがスタンフォード・デジタル・エコノミー・ラボとの協力でまとめた統計で2日、明らかになった。

  雇用の増加は比較的広範囲に及んだが、特に娯楽・ホスピタリティーで20万1000人増えた。地域別では南部を除いた全地域で増加。従業員250人未満の企業に集中した。

  従業員500人以上の企業では3カ月連続で人員が減少した。累計での人員減少は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)直後の急減から回復軌道に乗って以来の最大となった。

  賃金の伸びは7月も減速した。同じ職にとどまった労働者の7月賃金は、前年同月比で6.2%増加。2021年11月以来の低い伸びだった。転職した労働者の場合、年間報酬の増加率は中央値で10.2%。2年ぶりの鈍いペースだった。

  ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は発表文で「経済は予想以上に順調で、健全な労働市場が引き続き家計を支えている」と指摘。「雇用の喪失が広がらずに賃金の伸びが鈍化する状況は続いている」と述べた。

  求人件数はこの1年で徐々に減少してきたが、サービスセクターを中心に、多くの企業は引き続き積極的に人員を雇うことで消費者の需要に対応しようとしている。金利上昇と支出パターンの変化に直面する中で、企業は依然人員を減らすことに消極的だ。

  4日は7月の雇用統計が発表される。この統計には政府雇用者も含まれ、労働市場の先行きについてより深い洞察を得ることができる。非農業部門雇用者数は20万人増が予想されている。賃金の伸びはいくらか鈍化したとみられている。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場は依然として堅調です。最近はやや弱い経済指標の発表があったために労働市場の動向にも注目が集まるところでしたが、その懸念というのはそこまで気にする必要はなかったのかもしれません。米国の企業は引き続き労働者の採用に積極的であり、労働者も仕事を奪われる心配は少ない状態だと言っていいでしょう。そういう意味では経済状態が悪化することがあったとしてもそこまで大きな景気後退ということにはならないのかなという感じがします。雇用が安定しているのであれば消費が大きく減少することもないでしょうし、そうなれば経済もそこそこ保つことは可能だと思われます。

労働市場の安定は非常に心強い

最近はやや弱い経済指標が相次いだために雇用状況がどうなっているかということは非常に気になるところでした。しかし、実際にはそこまで懸念する必要はなかったようです。米国の企業は人員をそこまで削減する気はないようです。むしろ旺盛な消費者の消費に対応するべく労働者の確保に積極的な側面も見えるような気がします。そういう意味では非常に良い傾向であると言っていいでしょう。そういう意味では今週末に発表される雇用統計の結果にも十分期待が持てるというところです。雇用統計とADPのデータでは若干のズレが生じることもあるのでまだなんとも言えませんが、このまま行けば労働市場は比較的安定していると言っていいのだろうと思います。

まとめ

今日はADPによる民間雇用者数について見てきました。引き続き米国の労働市場は堅調であると言っていいでしょう。雇用が守られているということで少々の悪材料でもそこまで懸念する必要はないのかなという感じはします。インフレが落ち着きを見せ始め、雇用も安定感を維持しています。あとは企業活動がより活発になり、業績が改善してくればまた強い成長軌道に乗ることも十分に考えられるでしょう。