マーケットの楽観論と有識者の悲観論

最近は米国株式市場は軟調な展開が続いています。S&P500は10月16日から連日下落を続けており、投資家が非常に悲観的になっていることがわかります。このように現在は一時期の楽観論は嘘のように悲観的な空気が株式市場を覆っていると言っていいでしょう。

マイケル・ウィルソン氏のいつもの悲観論

著名な悲観論者であるモルガンスタンレーのマイケル・ウィルソン氏はその論調が加速し、米国市場の先行きについてさらなる悲観論を展開しています。

モルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は、米国株の年末ラリーの見込みは薄れつつあるとの見方を示した。企業利益への過度な楽観や米金融政策引き締め見通しなど複数のリスクに直面しているためだという。

  米株に弱気なことで知られるウィルソン氏は「10-12月(第4四半期)と2024年の業績見通しは高すぎる可能性が高く、また金融と財政の両面から政策引き締めの影響を受ける見通しだ」として、S&P500種株価指数がさらに下落しても「驚かない」と述べた。

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)がまとめたデータによると、ウォール街のアナリストは、S&P500種構成企業の利益は7-9月に1.1%減少した後、10-12月には5.2%増に回復すると予想。1年先の利益見通しも過去最高に近いところまで切り上がっている。

  S&P500種は米金利先高観などを受けて月間ベースでは3カ月連続の下落に向かっており、ウィルソン氏の悲観的な見方はある程度裏付けられている。S&P500種の20日終値は4224と、テクニカル上の重要な支持線とされる200日移動平均を3月以来初めて割り込んで引けた。

  業績、バリュエーション、政策の見通しを総合すると、S&P500種が4300-4400を超える水準に戻るのは「難しいだろう」とウィルソン氏は指摘。年末時点のターゲットについては現在の水準を8%近く下回る3900に設定している。

  地政学的リスクの再燃もあり、ウォール街のストラテジストの間では年末の株価低迷を予想する声が増えている。マクロ経済を巡る不確実性に加え、米10年債利回りの5%突破は7-9月期の決算シーズンに影を落としており、S&P500種構成銘柄の値動きがそろって一方向に傾く様相が強まっている。

引用:bloombergより

このようにウイルソン氏は述べ、今後の展開について悲観的な論評を展開しています。今後の展開については多くのアナリストが業績の回復を予想しているところですが、それは楽観的すぎると見ているようです。実際、このように悲観的に見る人は多く、最近ではビル・アックマン氏も今後の世界経済についての懸念を述べていました。そういう意味では株式市場の楽観論とは裏腹に、リスクを意識する参加者も多くなってきたのかなという感じがします。

リスク要因は非常に多く、悲観的になるのもわかるという感じ

相変わらずの悲観論という感じですが、最近の株式市場や世界経済を見ていればそうなるのも無理はないという感じがします。債券市場では長期金利が上昇し、マーケットが今後の金融政策を先取りする形で経済を苦しめるようなことをしています。また、中東情勢など世界経済を脅かす要因には事欠かない状態です。そういう意味では今後の経済があまり良くならないだろうと感じるのは至極まっとうなことのような気がします。実際、これまでもマーケットは常に楽観的な予想をもとに先走り、予想が外れると勝手に失望するという展開が多かったような気がします。そういう意味では今の企業業績の回復期待というのはやや楽観的すぎるという視点も納得がいくものでしょう。だとすると今後の米国株式はやや軟調な展開が続く可能性も十分ありえるのだろうと感じます。

まとめ

今日はいつものウィルソン氏の悲観論をもとに今後の展開を考えてきました。いつもの悲観論という感じですが、現状を考えればそう的はずれなことということもないでしょう。それだけリスク要因は多すぎますし、最近のマーケットは何故かいつも楽観的に動いています。そういう意味では先行きについてはやや警戒をしたほうがいいのかなという感じがします。