5月の日本の消費者物価は前月と同様。やはりまだ日本はインフレとは呼べない。

24日に注目されていた日本の消費者物価が発表されました。結果としては今月も先月と同様の数字で、改めて物価が上昇傾向にあることが確認されました。ただ、やはりエネルギーと食品の変動の激しいものを除いた指数でみると、いまだに1%にも満たないものであり、日本の物価はまだインフレとは言えない状況です。そういうわけで今日は先日発表された日本の消費者物価についてみていきます。

5月の消費者物価は前月と同様

24日に発表された全国の消費者物価の値は以下の通りとなります。

総務省が24日に発表した5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は101.6と、前年同月比2.1%上昇した。伸び率は7年ぶりの大きさとなった前月と同じで、日銀が目指してきた2%を2カ月連続で上回った。ルームエアコンなど家庭用耐久財や生鮮食品を除く食料が指数を押し上げる一方、政府の補助金などでエネルギー価格の伸びは鈍化した。

引用:ロイターより

このように今月も先月と全く同じという結果となりました。全体の物価は2.5%の上昇となり、物価の上昇が始まったように見えますが、変動の激しいエネルギーと食品を除いたコアコアでは0.8%といまだに1%にも満たない状況は変わりません。つまり日本はいまだにインフレにはなっていないということです。食品とエネルギーという非常に生活に密着したものの価格が高騰しているため、厳しさを実感しているとは思いますが、全体的にはまだ日本の物価は諸外国のような状況には陥っていません。

金融緩和をやめるべきではない

そのため、一部では金融緩和をやめるべきだという話もありますが、その必要はないのではないかと思います。この数字を見てもわかるように、日本はインフレとは言えない状況です。部分的に価格が上昇しているだけであり、全体の物価を調整するような金融政策でのアプローチは必要ないでしょう。つまり、食品とエネルギーをターゲットとした政策を実施するべきです。今は補助金などを支給していますが、短期的にはいいとは思います。しかし、長期的にはそれでは問題解決にはなりません。食料自給率の向上や、資源調達の多角化や、エネルギーミックスを行う。また、より省エネを推進することにより消費量を減らすなどいろいろやるべき政策はあると思います。今日本に必要なものは金融緩和の縮小ではなく、食料・エネルギー政策の見直しです。

GDPギャップが20兆円もある

金融緩和の必要性は物価が伸びていないことだけではありません。先日内閣府から発表された資料によると、日本はGDPギャップが約20兆円ほどあることが分かりました。

内閣府は24日、2022年1─3月期国内総生産(GDP)の2次速報値を基に推計したGDPギャップがマイナス3.6%だったと発表した。約20兆円程度の需要不足となった。2021年10-12月期のマイナス3.4%から悪化し、10四半期連続のマイナス。

引用:ロイターより

GDPギャップが20兆円ということは、簡単に言うとそれだけ需要が足りていないということです。20兆円もの額の余計なものが供給されているということです。物の価格というのは需給で決定されますから、供給がそれだけ大きいということは当然価格は下落します。つまりGDPギャップが20兆円もあるような状況ではとてもインフレにはならないということです。そういう意味でも金融緩和はやめるべきではありませんし、政府ももっと財政を出すべきです。このGDPギャップが20兆円もあるようではとても物価は上昇していかないでしょう。

まとめ

今日は先日発表された消費者物価についてみてきました。物価上昇は先月と同様であるということで、高止まりはしていますが、大きく上昇しているというわけではなさそうです。しかも、コアコアで見れば依然1%未満であり、とてもインフレとは言えない状況です。しかもGDPギャップが20兆円もあるということで、とても金融緩和を縮小するという状況ではないでしょう。むしろもっと財政を出して需要を喚起すべきだと思います。もちろんそれだけではだめであり、きちんと成長できるような規制改革を行い、減税等の消費喚起策を打つことも必要です。