次期日銀総裁候補のサプライズ

昨日の日銀総裁人事の発表にはかなり驚いた人もいるのではないでしょうか。事実マーケットは発表後に大きく動いており、多くの人にとってサプライズだったことがうかがえます。私自身、聞いたときは全く予想外のところから出てきた名前であり、すぐにはだれかわからないという感じだったくらいです。本当に日経のリークは何だったんでしょうか。まあ、いずれにせよ来週株式市場は大きく動くことになるでしょう。

次期日銀総裁候補として植田和男氏が浮上

昨日、政府は退任する黒田日銀総裁の後任に元日銀審議委員の植田和男氏を起用することを決めたようです。

政府は日本銀行の黒田東彦総裁(78)の後任に経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏(71)を起用する方針を固めた。副総裁には内田真一理事、氷見野良三前金融庁長官を充てる。事情に詳しい複数の関係者が10日明らかにした。

     植田氏は同日夜、都内で記者団に対し、「現時点では何も申し上げられません」と述べるにとどめた。政府・日銀の共同声明を踏襲するのかとの質問に対しては、「まだ決まったわけではない」とし、「来週以降、話す機会があればそこでと思います」と語った。日銀の大規模な金融緩和については継続が必要との考えを示した。

  現在、共立女子大学教授の植田氏はマクロ経済や国際金融の専門家。日銀の独立性と透明性を高めた新日銀法が施行された1998年4月に、東京大学教授から審議委員に就任した。97年11月の山一証券や北海道拓殖銀行などの破綻による金融システム不安などを背景に日本経済が不況に陥る中、速水優総裁の下で実施されたゼロ金利政策や量的緩和政策を理論面で支えた。

  2000年8月の金融政策決定会合で決まったゼロ金利政策の解除には、反対票を投じた。同会合では政府による初の議決延期請求を否決したが、翌年に再び金融緩和に追い込まれ、拙速な判断だったとの評価も少なくない。

引用:bloombergより

このように岸田政権は黒田総裁の後任に植田和男氏を起用することを決めたようです。この人事についてはかなりのサプライズであり、発表時には大きな動揺がマーケットに広がりました。少し前に日経よりリークされた雨宮氏が有力とみられていたために、マーケットは緩和継続を予想していましたが、それを急激に修正せざるを得なくなった形です。その雨宮氏は当初は政府より何度も総裁就任を依頼されていたようですが、辞退したようです。その理由については推測するしかありませんが、岸田政権との金融政策に対するスタンスの違いから固辞したという意見もあります。いずれにせよ雨宮氏が辞退するということで、代わりに候補として植田氏が浮上してきたということでしょう。その結果として市場では全くの無警戒の人が総裁候補となったたために大きなサプライズと結果としてなった形です。

マーケットはタカ派と判断

今回の結果には本当にサプライズでした。これは私だけではなく、多くの人にとってそうだったのではないかと思います。その植田氏についてですが、少なくとも雨宮氏よりは緩和派ではないとみられています。少なくともマーケットはそう判断しています。そういう意味では今後は黒田路線の修正が起こる可能性はやや高くなったのかなという印象です。しかし、植田氏は過去に現在の緩和政策を修正すべきではないという発言をしていたり、そこまでタカ派ではなく、バランスの取れた人だという評価もあります。反対に状況によって意見が変わる新年のない人だという意見もあり何とも言えないところです。仮にそうだとすると岸田政権の思惑通りに政策を実行する可能性があり、経済にとってはあまりよい影響があるとは言えないところです。今ネットなどに出ている植田氏の評価も賛否両論あり、過去の実績と合わせてもまだ何とも言えないところだという印象です。とりあえず今言えるところは雨宮氏よりはタカ派とマーケットは見ているということ、そして強力なハト派でもタカ派でもないというところでしょうか。そういう意味では本当に何とも言えないですし、状況によってはころころと変わることもあるのかもしれません。

まとめ

今日は次期日銀人事についてみてきました。今回の人事は本当に予想外です。全くのサプライズでしたが、発表にあるように雨宮氏の事態によるものであるのならばまあ仕方がないのかなという印象です。いずれにせよマーケットはタカ派と判断しています。そういう意味ではやや株式市場にとっては厳しくなるかもしれません。しかし、現状は金融緩和をやめるべきではないといってはいますので、就任してすぐにどうこうということはないのかなという印象です。今のところはまだ候補であり決定ではありません。今後、国会へ招集され総裁候補としていろいろと質問攻めにあうことでしょう。そこでどのような発言をするのかということが注目されるところです。