新規失業保険申請件数はやや増加も依然として低水準

米国経済の先行きが不透明感を増す中、労働市場だけは相変わらず堅調です。先週の新規失業保険申請件数は依然として低水準であり、まだまだ米国の雇用はタイトであることがわかりました。今後も厳しい金融政策が継続されることは明らかであり、このままこの堅調な労働市場が維持できるのかということはわかりません。しかし、これまでの厳しいインフレと金融政策にもかかわらず、これだけの雇用を維持できたということは事実であり、すごいことだと思います。

新規失業保険申請件数はやや増加も依然低水準

先週申請された新規失業保険申請件数はやや増加したものの、依然として歴史的に見て低水準であり、労働市場が今なお堅調であることが確認できました。

先週の米新規失業保険申請件数は6週間ぶりに増加した。ただ、なお歴史的な低水準近辺にとどまっており、景気不透明感が強まっている中でも雇用市場が堅調であることが示された。

  米国ではテクノロジー業界のほか、さまざまな業種にレイオフの動きが広がっているが、多くの企業、特に中小企業は依然として人員採用が困難なほか、従業員を自社にとどめようと懸命になっている。

  より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は18万9250件に減少し、昨年4月下旬以来の低水準。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「人員削減を発表した業界は限られ、短期的にはレイオフの増加ペースは緩やかだと予想している。申請件数は4週連続で20万件を下回っており、労働市場がタイトであることを示す。こうした状況は、物価上昇圧力を抑え込むのにしばらく時間がかかることも示唆している」と指摘した。

  季節調整前の失業保険申請件数は23万4654件に増加。特にカリフォルニア州やオハイオ州での増加が目立った。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場は相変わらず堅調です。最近は大手IT企業を中心に人員整理のニュースが相次いでいますが、それでも雇用の悪化という最悪の事態にはなっていないようです。これがどのような理由で成し遂げられているのかということはよくわかりません。失業してもすぐに職を見つけることができているのか、もしくは資産にある程度余裕があるので失業保険を申請するほどの状況でもないということで申請を見送っているのか。細かいところはわかりませんが、少なくとも労働市場が混乱状態に陥っているということにはなっていないことは確かです。そういう状況においてはやはりインフレはすぐに落ち着くということはないでしょう。そしてそれを抑制するためにFRBは厳しい政策を実行してくるはずです。そういう意味ではやはり株式市場にとっては厳しい状況は継続するとみておいた方がいいでしょう。

株式市場はやはり軟調になりそう

相変わらずの労働市場の堅調さというのはすごいなという一言です。ただ、依然として低水準とは言えやや増加傾向にあるということは気になるところではあります。もしかしたらここを底にして今後は増加傾向になるかもしれませんし、そうならないかもしれません。やや心配しすぎな気もしますが警戒しておいて損はないでしょう。そういう意味では今後の雇用関係の指標には注目すべきです。いずれにせよ米国の労働市場は非常に堅調であることは変わりなく、そのためインフレもしばらく継続することになるでしょう。そのためFRBの金融政策も厳しいものとなり、株価もあまり芳しくない動きを続けるような気がします。

まとめ

今日は先週の新規失業保険申請件数についてみてきました。相変わらず米国の雇用は堅調です。正直これがいつまで続くのか気になるところですが、さすがにそろそろ悪化するのではないかとは思います。しかし、そう思いながらここまで来てしまったのでそんなに悪くはならないのかなとも思います。ただ、そうなるとインフレが長期停滞する可能性が高くなるのでそれはそれで困ったことだなとは思います。そういう意味ではどう転んでも厳しい状況になる可能性が高く、FRBが目指すソフトランディングの可能性というのはやはり高くはないのだろうという印象です。