昨年12月の消費者物価は鈍化した。インフレは確実に落ち着いてきている。

市場が注目していた昨年12月の消費者物価の数値が発表されました。結果としては市場予想通りの結果となり、物価上昇のペースが確実に鈍化してきていることを確認することとなりました。この結果により、FRBはより柔軟に金融政策を実行する余地を得ることになりそうです。

12月の消費者物価は市場予想通りの鈍化を示した

12日に発表された昨年12月の消費者物価の数値は市場予想通りに減速したものであり、インフレが確実に抑制されてきていることが確認できました。

昨年12月の米消費者物価指数(CPI)統計では、インフレの鈍化が続いていることが示された。物価上昇圧力がピークに達した兆候が増え、米金融当局としては次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げペースをさらに落とす余地が生まれた格好だ。

  今回のCPIに加え、過去数カ月でデータは市場予想を下回っており、そうした状況はインフレ鈍化のより一貫した兆候を示している。FOMCとしては、1月31-2月1日に開催する次回会合で利上げ幅を0.25ポイントに縮小する道が開ける可能性がある。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏は「12月のCPIがおおむね良好な内容だったことから、金融当局としては1月31-2月1日のFOMC会合で利上げ幅を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)へとさらに縮小する余地が生まれる。われわれはフェデラルファンド(FF)金利が3月に5%でピークに達し、年内は同水準で据え置かれると予想している」と記した。

  サービス分野を中心に消費者の需要は根強く、タイトな労働市場環境も相まって物価上昇圧力が続く恐れもある。

  サービス分野の最大項目で総合CPIの約3分の1を占める住居費は、前月比0.8%上昇と、11月から伸びが加速。家賃と帰属家賃は共に同じ上昇率。またホテル宿泊費は1.5%上昇。前月は低下していた。

  同項目は算出方法の関係から、リアルタイムのデータに遅行する。通常生じる時間差を伴わずに米住宅賃貸市場の変化を捉えることを目指す新たな指数によると、家賃は低下し始めている。

  ブルームバーグの算出によればエネルギーと家賃、帰属家賃を除いたベースでは、サービスの価格は前月比0.3%上昇。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする金融当局者らは、インフレの軌道を精査する上でこのベースでの価格動向に注目する重要性を強調している。

  労働市場での需給不均衡は根強く続いており、賃金の伸びと消費を下支えする格好となっている。CPIと別に発表された統計によれば、インフレ調整後の実質平均時給は12月に前月比0.4%増加と、過去5カ月で最大の伸び。前年同月比では1.7%減少した。

  食品とエネルギーを除いたベースでは、財の価格は前月比0.3%低下。中古車の値下がりが目立った。ガソリンは9.4%低下し、労働省は総合CPI低下に特に大きく寄与したと説明した。

引用:Bloombergより

このように物価は確実に落ち着きを取り戻してきています。このため今後の利上げのペースというのは予想よりも小幅なものとなるかもしれません。まだFOMCまでの時間はありますし、決定的なことは言えませんが、消費者物価の値がこれだけ落ち着いてきたということは金融政策にも大きな影響を与えることは間違いないところだと思います。

まだまだ楽観的に離れない

インフレが確実に抑制されてきているということは非常に良いことでしょう。少なくとも今後は思っているほどは利上げなど引き締めを強める必要はないかもしれません。株価もそれを好感して上昇しました。そういう意味では大変うれしい結果だといっていいでしょう。ただ、このまま単純にインフレが鈍化していき、経済が回復するかといえばそう単純な話ではないと思われます。鈍化してきたとはいえ依然としてインフレは高い水準であることは確かです。今後も順調に目標とする2%へ向かって進んでくれる保証はどこにもありません。経済も企業業績の悪化が深刻ですし、従業員の解雇も非常に多くなってきています。そういう意味ではまだまだ安心はできないと思った方がいいでしょう。

まとめ

今日は昨年12月の消費者物価についてみてきました。インフレは確実に落ち着きを見せてきています。それは事実ですが、何も問題がすべて解決したわけではありません。依然として物価は高いままですし、経済も非常に悪化しています。そういう意味でも今回の結果を受けてあまり楽観的にはならない方がいいでしょう。リスクをとってでもそれにかけたいというのであれば留はしませんが、さすがにそれはあまりよい賭けとは思えません。