株式市場が望むような金融政策の変更はない

ここのところFRBの金融政策の変更があるのではないかという観測が出てきています。景気の先行きについての不透明感から引き締めの手を緩めるのではないかということです。私はその可能性は低いのではないかとブログでも述べてきましたが、FRB関係者からもそのような発言が相次いでます。やはり、希望的観測で判断するのは危険なような気がします。そういうわけで今日は今後の金融政策について考えていきます。

相次ぐ楽観論の否定

今後の金融政策について米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は6日、イベントで発言をし、現在の利上げのサイクルを変更するのはまだまだ先だという発言をしました。

米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は6日、米金融当局はインフレ鈍化の任務を終了しておらず、利上げサイクルを休止するのは「かなり遠い先」になるとの考えを示した。

  カシュカリ氏はブレマー・ファイナンシャルが主催したイベントで、「まだやるべき仕事がある」と発言。「基調的なインフレがしっかりとピークを付け、できれば再び下向きになる幾らかの兆候が見られるまで、私には休止を宣言する用意はない。休止はかなり遠い先になると考える」と述べた。

  「金利上昇の環境に移行するのに伴い、世界経済を巡ってある程度の喪失や不具合が生じるのは十分想定している。それは資本主義の本質だ」と同氏は言明。「米経済を全体として不安定化させ得るリスクには留意し続ける必要がある。しかし、政策スタンスを実際に変更するハードルは非常に高い」と話した。

  さらに、「コモディティー価格は上下するが、賃金やサービスといった基調的なインフレは比較的定着する傾向がある」とし、「これらが正しい方向に動いていると示唆する証左はまだ見られない」と続けた。

引用:Bloombergより

さらに米アトランタ地区連銀のボスティック総裁も5日、講演でインフレとの戦いはまだ終わりのは程遠いとの発言をしています。

米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は5日、連邦準備理事会(FRB)のインフレとの戦いは「まだ序盤」である可能性が高いと述べた。

ノースウェスタン大学の政策研究所での講演で、最近の経済指標には「希望の光」が見えるものの「われわれはまだ明らかにインフレの森の中にいて、そこから抜け出していない」と指摘。FRBは政策金利を年内に約4.5%まで引き上げる必要があるとした。

また「経済活動が減速しインフレ率が低下し始めれば、FRBは2023年に利下げを開始する可能性があるとの憶測がすでにかなりあるが、そんなに早くないと言いたい」と言及。「(経済的な)弱さの出現でインフレ低下に向けたわれわれの動きが抑止されるべきではない」とし、「インフレとの戦いはまだ序盤である可能性が高いため、警戒を怠らないようにする必要がある」とした。

引用:ロイターより

このようにFRB要人から相次いで金融政策の変更はないとの発言が飛び出してきました。これは最近の市場に漂っている楽観論をけん制する意味もあるのではないかと思います。最近は景気の先行きを懸念して連日株価が下落するという展開が続いていました。そのうえで経済指標もあまりよいものはなく、景気減速がかなり現実味を帯びてきている感じです。そうなれば当然ながら金融政策での景気の後押しを期待したいところなので、気持ちはわかるところです。しかしながらFRBからその可能性について完全に否定された形になります。

政策変更はよほどのことがない限り行われないと思う

個人的にはまあそうだろうという感じです。以前にも述べましたが、最近の株式市場はやや楽観的すぎる感じがします。パウエル議長をはじめ、多くのFRB関係者から景気の後退があったとしてもインフレ抑制のための政策を行うとの発言は何回も出ています。特にパウエル議長がジャクソンホール会議であれだけはっきりと述べたのです。そう簡単にその政策の変更が起こるとは思えません。絶対にないとは言いませんがよほど大きな大暴落が起こらない限り政策の変更はないのではないかと思います。

まとめ

今日は最近の株式市場の楽観論とFRB関係者の発言から今後の金融政策についてみてきました。普通に考えれば金融政策の変更はないでしょう。さすがに今の楽観論はそう遠くないうちに消えてなくなると思います。そういう意味ではまだ株式市場の上昇というのは先になるということです。あまり過度な期待はせずに気長に待つのがいいのかなという感じです。