9月の雇用統計も依然として堅調

米国の労働市場は相変わらず堅調のようです。7日に発表された9月の雇用統計ではインフレによる金融引き締めにもかかわらず労働市場は十分に機能していることが確認されました。このため、FRBはインフレ抑制の手を緩めずに行く可能性が高くなったといえるでしょう。そういうわけで今日は9月の雇用統計についてみていきます。

9月の雇用統計も引き続き堅調

7日に発表された米国の9月の雇用統計は市場予想を上回る結果となり、以前として雇用環境は堅調に推移していることが確認されました。

米国の雇用者数は9月に、引き続き堅調なペースで増加。失業率は予想外に低下した。労働市場は底堅く、インフレ抑制を重視する米金融当局が再度の大幅利上げを実施する可能性が示唆された。

  雇用は娯楽・ホスピタリティーやヘルスケアの分野を中心に比較的広範なベースで伸びた。一方、運輸・倉庫や金融では減少した。

  今回の数字は米雇用市場の強さが持続していることをあらためて示すものだ。8月の米求人件数の減少や一部セクターでのレイオフ増加など、労働需要の鈍化は幾らか示唆されているが、雇用主の多くはまだ人材不足に見舞われており、堅調なペースで採用を続けている。こうした強さは個人消費を支えているだけでなく、賃金上昇にもつながっている。

  平均時給は前月比0.3%増加。前年同月比では5%増と、前月からはやや伸びが鈍化したが、依然として高い伸びを示した。

  今回の統計はまた、米金融当局者が次回11月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合を前に入手する最後の雇用統計となった。当局者らは4会合連続での0.75ポイント利上げを検討する見通し。

  LHマイヤーのエコノミスト、デレク・タン氏は「インフレがなお高い伸びを示し、労働市場の鈍化がまだ不確実な中、米金融当局はまだ姿勢を弱めるどころではない」と指摘。「この日のデータは11月に関して目立った変化をもたらすものではない。75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)は確実だとみている」と述べた。

  労働参加率は62.3%に小幅低下。25-54歳の同参加率も下げた。

  政府関連を除く民間雇用者数は前月比28万8000人増と、前月から伸びがやや加速。9月は州や自治体の教育関連の雇用が減少し、全体の雇用者数の伸びを抑えた面もある。

引用:Bloombergより

このようにいまだ米国の労働市場は健在です。長期間にわたるインフレやFRBの引き締め政策にもかかわらず、まだまだ衰える兆しは見せていません。

引き締め政策は継続されるだろう

今回の発表を受けて、FRBは引き続き引き締めの手を緩めることなくインフレ抑制のために政策を実行していくことでしょう。景気の先行きは依然不透明であることは間違いありませんが、これだけ労働市場が堅調であるならば引き締めを続けることに躊躇はないはずです。そのため次回のFOMCでも75bpでの利上げの可能性はかなり高くなったのではないかと思います。これだけ連続して75bpもの利上げをするというのも異常なことだとは思いますが、それをできるだけの力が米国経済にはあるということと、インフレがいまだに健在だということです。なので株式市場にとっては雇用が堅調であるということはいいニュースではありますが、FRBのタカ派な政策が続くという意味ではマイナスの影響の方が多いのかもしれません。そういう意味ではやはり安易な楽観論には飛びつかない方がいいと思います。

まとめ

今日は9月の雇用統計についてみてきました。米国は本当に強い国だなということを改めて感じました。これだけインフレが進行し、金利も急激に上昇しているにもかかわらず、雇用がこれだけ堅調に推移しているというのは本当にすごいと思います。もちろんこれが永遠に続くということはないでしょうが、改めて米国のすごさを見せつけられたような気がしました。今後はやはり引き締め政策は継続してくことになるでしょう。そういう意味では株式市場にとっては厳しい状況に変化はないといったところです。今後の展開次第だとは思いますが、あまり楽観的な思い込みというのは避けておいた方がいいでしょう。