米国経済の軟化を示す兆候が多くみられるようになってきましたが、まだまだ米国経済は力強さも残しているようです。5月の耐久財受注や中古住宅販売は予想以上に強い数字であり、依然として米国経済が堅調であることを示しました。株式市場にとっては朗報といえるかもしれませんが、インフレ抑制を考えるFRBにとっては頭の痛い問題かもしれません。というわけで今日は先日発表された耐久財受注と中古住宅販売についてみていきたいと思います。
5月の耐久財受注は予想外に良い
5月の米国耐久財受注は市場予想を大きく上回る結果となりました。
耐久財受注は前月比0.7%増
- ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値は0.1%増
- 前月は0.4%増に下方修正
- 設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注は前月比0.5%増
- 市場予想の中央値は0.2%増
- 前月は0.3%増
引用:Bloombergより
最近は製造業関連データでの軟調な兆しが多くみられていましたが、今回の発表では予想外の良い数字となりました。コロナ後の経済活動再開の影響がまだまだ続いているのではないかと思われます。今後の動向については注意が必要ですが、株式市場にとってはいいニュースといえるでしょう。
5月の中古住宅販売もよい結果
中古住宅販売についても市場予想を上回る結果となりました。
- 米中古住宅販売成約指数(季節調整済み)は前月比0.7%上昇の99.9
- ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値は4%低下
- 前年同月比(季節調整前)では12%低下
引用:Bloombergより
利上げの影響により、住宅ローン金利も上昇しています。なので不動産市場についても厳しい環境というのは変わりませんが、今のところはまだ力強さを残しているようです。しかし、金利もそうですが、住宅価格自体も急激に上昇しており、今後もこの状況が続くとはとても思えません。おそらくは近い将来には軟調な展開となっていくでしょう。
しかし楽観的になるには早い
今回の発表はいずれも予想外に強い内容ということで驚いた関係者も多かったのだろうと思います。米国経済の堅調さを示すものとして好感されそうな気もしますが、長い目で見ればやはり景気減速懸念は依然として強く、厳しい先行きであることは変わりないと思います。FRBの金融政策についてもこのような強い指標が続けばさらなる引き締めを行うことはほぼ確実であり、短期的には株式市場は好感するかもしれませんが、長期的に見れば株価は下がっていくのであろうと思います。
まとめ
今日は先日発表された経済指標についてみてきました。予想外に強い内容であり、少々驚いたといったところです。しかし、今後のことを考えればあまり楽観的に離れませんし、最悪FRBの金融政策がより厳しくなる可能性を考えれば、良かったのかどうかは何とも言えないといったところです。いずれにせよ今後は高確率で景気は後退していくものと思われます。そのことはきちんと頭に入れておき、過度な楽観論は排除しておくべきです。