インフレ下において投資対象となる企業とは

日本でもついに商品価格の上昇が多くのところで見られるようになりました。しかし、消費者にとってはもちろん、企業にとっても非常に厳しいこととなっているようです。相次ぐ値上げが発表されていますが、それが業績に良い影響を与えるところもあれば、逆に悪影響を出しているところもあるようです。そういう意味では今回のインフレによって優良企業とそうでない企業の選別というのが起きているといっていいのかもしれません。なので投資家としてはきちんとそれを判別できる目を養いたいところです。

安易な価格転嫁は自らの首を絞める

最近の物価上昇によって、日本の企業もそのコスト増を消費者に転嫁する動きというのが多く出てきました。すでに10%を超える企業間物価はとても吸収できるものではなく、多少なりとも消費者に転嫁しなくてはやっていけないということでしょう。しかし、安易な価格上昇は企業にとって逆風になることもあるようです。

食用油大手J―オイルミルズ社長の佐藤達也は苦しい表情だった。5月20日、都内で開いた決算説明会でのことだ。昨年から食用油価格を5回上げたものの、「想定以上の原材料高を吸収しきれなかった」。同社は2004年の会社発足以来初の営業赤字に転落した。一方で国内首位の日清オイリオグループが5月11日に発表した前期決算は、5%の営業減益に踏みとどまった。日清オイリオ社長の久野貴久は「営業現場が短期間で説明を尽くして値上げを進めた」と手応えを語る。

引用:日本経済新聞社より

このように価格転嫁がうまくいった企業もあれば、うまくいかなかった企業も出てきているのです。同じ商品を扱っているのにもかかわらず、一つは赤字に転落し、もう一つはきちんと利益を確保できたというのです。

ブランド力の違い

この違いはやはりブランド力ということでしょう。食品のように生活必需品というのはどんなに価格が高くなろうとも買わないという選択肢をとることはできません。なので必ず何らかの形で消費はされますが、何も企業の言うがままに消費者が行動してくれるとは限らないのです。上記の通り、ブランド力がない企業の商品というのは価格転嫁を消費者が受け入れず、すぐに消費者が離れていってしまうのです。その結果思ったような利益が出ずに、厳しい経営状態に陥ります。そして最悪倒産なんて展開も十分にあり得るのです。

トップ企業でも安心していられない

それはトップ企業だからといって安泰というわけではありません。きちんと消費者に選んでもらえるブランドを育成してこなければたちまち転落してしまうということは起こりえます。

「失敗だった」。製パン最大手の山崎製パン社長、飯島延浩は昨年10月の和洋菓子値上げを振り返る。洋菓子の出荷価格を平均7.4%引き上げたが、消費者にそっぽを向かれて「販売の勢いを失ってしまった」。

引用:日本経済新聞社より

山崎製パンといえばだれもが知るパンメーカーです。その商品を見たことないという人はまずいないのではないでしょうか。その山崎製パンでさえも戦略を見誤れば消費者からそっぽ背かれ、業績を落としてしまうのです。

強力なブランドを持っていれば選んでもらえる

2月にハム・ソーセージの価格を改定したプリマハム社長の千葉尚登は、「ブランド力があれば値上げ交渉しやすい」と価格転嫁に自信を見せる。同社のソーセージ「香薫(こうくん)」はスパイスの香りにこだわることで競合製品との違いを打ち出し、売り上げを毎年2桁伸ばしてきた。4月の店頭平均価格は前年同月と比べて4.5%上昇している。値上げ前の1月に想定していた5%に迫る水準だ。

引用:日本経済新聞社より

このように高いブランド力を持っているところはこのような物価上昇局面においてもきちんと価格転嫁ができ、利益を出すことができています。きちんとしたブランド力を持っている企業こそがこのようなインフレ下において生き残っていける企業なのでしょう。

まとめ

今日は今起きている消費者への価格転嫁の動きについてみていきました。企業にとっては商品価格の上昇を消費者に転嫁できないというのは自らの首を絞めることになります。なので何とか価格転嫁をしようとしますが、消費者だって苦しいのは一緒です。なのできちんと消費者に選んでもらえるような商品を提供できる企業でないとこれからは生き残っていくのは厳しいでしょう。そういう意味でも投資をするのであれば強いブランドを持った企業にするべきです。