ゴールドマン・サックスから発せられるソフトランディングへの疑問は何を意味するのか

米国経済の不確実性が増す中、それでもリセッションを回避し、ソフトランディングを実現してくれるであろうという期待はそう低くはないと思われます。しかし、実際どうなるのかは全くわかりません。そしてその楽観的な予測に対して反論を述べる人も少なからずいることも事実です。そして今日もそのような発言が発せられています。

ソフトランディングへの疑問

ゴールドマン・サックスのデービット・ソロモンCEOは市場が期待する米国経済のソフトランディングに対して疑問を呈しています。

米銀ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は、個人消費の軟化は米経済がリセッション(景気後退)を回避するとの予測に疑問を投げかけると述べた。

  ソロモン氏は27日、UBSグループ主催の会議で「世の中はソフトランディングに備えている」と指摘。「ソフトランディングの確率は極めて高いと、市場は確かにみている。それよりは若干不確かだというのが私の見解だ」と語った。

  物価が高止まりする中、「給料ギリギリ」の消費行動を引き締めるパターンが現れ始めたとの話を企業経営者から聞いているとも説明。

  その上で「われわれはかなりうまくやっていると思う。市場が織り込んでいるよりも不確実性が高いだけだ」と述べた。

  「投資家は景気減速の中でポジションを変え続けるだろう」とし、「投資家は今も大きくポジションを変えている。2分前は7回の利下げが予想されていたが、今は4回と見込まれている」と続けた。

引用:bloombergより

このようにソロモンCEOは述べ、今後米国経済がソフトランディングできない可能性についても否定できないという見解を述べています。実際、米国経済の先行きは非常に不透明感を増しています。今後の予想についても相次いで修正が相次いでおり、全く見通せていないのが現状です。そういう意味では今後、インフレの終息と経済成長の両立という非常に楽観的な予測というのは否定される可能性もあるということは事実でしょう。

予測は外れるもの

今回の話というのも、本筋ということはないような気はしますが、無視することはできないでしょう。むしろ市場がいつものごとく、楽観的なシナリオばかりを注目しすぎているという点については改めて意識しておくべきでしょう。先行きについては全くの不透明です。インフレについても鈍化予想はことごとく修正され、思った以上になんかしていないことは周知の事実です。そしてそのため金融政策も引き締めが継続されており、経済減速の懸念が出てきているさなかにあっても全く緩む気配がないのが現状です。このように予測というのは多かれ少なから修正されるのが普通であり、そういう意味では高まるソフトランディング期待というのも、大きく外れるということはないかもしれませんが、それなりに期待に答えられない可能性も十分にあるのでしょう。特に記事中にもあるように、今の強い経済というのは強い個人消費に支えられているところが非常に大きいです。しかし、その個人消費というのも借金を膨らましながら行われているという非常に危うい現状の上に成り立っているものであり、持続可能なものでは到底ありません。そういう意味ではこのソフトランディング可能という予測も思った以上に脆い土台の上に成り立っている理論である可能性も十分に考えておく必要があるでしょう。

まとめ

今日は米国経済のソフトランディングの可能性について考えてきました。実際、米国経済は当初考えられていたよりも悲観するようなことはないだろうとは思います。しかし、今市場が期待するようなリセッションを回避し、強い経済成長を実行できるかどうかはまだまだわからないというのが実態のような気はします。そういう意味ではあらゆる可能性を考えながら準備は怠らないようにしておきたいものです。