パウエル議長の議会証言が行われる

昨日は市場が注目するパウエル議長の議会証言が行われました。内容としてはこれまでの発言を踏襲するものであり、新しいものはなかったように思いますが、改めてインフレ抑制に対して慎重に挑む姿勢を明確にしたように思います。そういう意味でも利下げが行われるのはそこまで早くはないのかなという印象です。

パウエル議長の議会証言

FRBのパウエル議長は6日に下院にて議会証言を行い、以下のような発言をしています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、金融当局としてインフレとの闘いで勝利したとの確信を得るまでは性急に利下げに動く考えはないと改めて表明した。

  6日に下院金融委員会で半期に一度の議会証言に臨んだ議長は、「年内いずれかの時点で」利下げを開始するのが適切になる可能性が高いとしつつ、当局としてまだその用意はないことを明確にした。

  ここ数週間、ほぼ全ての金融当局者からパウエル議長と同様の発言が一貫して聞かれている。経済と労働市場は強く、政策当局としては利下げをする前にインフレが目標に戻っていることを示す証拠が増えるのを待つ時間があるという認識だ。

  パウエル議長は、「連邦公開市場委員会(FOMC)は、インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信が深まるまでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを引き下げるのは適切ではないと考えている」と発言。証言後の質疑応答で、「慎重に、かつ熟慮して」利下げの判断に臨むと述べた。

  FOMCは現在、利下げの開始時期と幅について難しい判断を迫られている。時期尚早に利下げすれば、経済活動の加速をあおり2%超のインフレ率が続く恐れがあると当局者らは懸念。一方、高水準の政策金利をあまりに長く続ければ、経済がリセッション(景気後退)に陥るリスクが生じる。

  パウエル議長は「政策金利は今回の引き締めサイクルにおけるピークにある可能性が高いと、われわれは考えている」とし、1月のFOMC会合後の記者会見での発言を繰り返した。

  また、「経済が想定通り幅広く進展すれば、年内いずれかの時点で景気抑制的な政策を緩和し始めるのが適切になる可能性が高くなろう。だが景気の先行きは不透明であり、2%のインフレ目標に向けた進展の継続は保証されてはいない」と語った。

  FOMCはいつ利下げの準備ができるかとの質問に対しては「経済と労働市場の強さ、そしてこれまで成し遂げてきた進展により、われわれは慎重に、かつ熟慮の上でそのステップに臨むことが可能だ」と答えた。

  パウエル議長は公聴会でこのほか、大手銀行を対象とした資本要件引き上げ案が大幅に変更される可能性が高いことを明らかにした。

  議長は「資本要件強化案には広範かつ実質的な変更が行われるとみている」と発言。何も決定はされていないとしつつ、規制当局が昨年7月に提示した案を撤回し、新しい提案を行う可能性はあると説明。「それは非常にあり得る選択肢だ」と述べた。

  議員らはパウエル議長に対し、商業用不動産のリスクについても繰り返し質問。パウエル氏は商業用不動産の保有割合が高い銀行を注視しており、そうした資産に損失が生じる可能性に備えて評価替えを行う計画があるかどうかを尋ねていると説明。潜在的損失を吸収するための「計画と資本、流動性を備えている必要がある」と述べた。

引用:bloombergより

このようにパウエル議長は改めてインフレ抑制に全力を注ぐ事を明確にし、その判断は慎重に行う旨の発言をしました。最近はパウエル議長以外の各委員からも同じように慎重な発言が相次いでいます。そういう意味では今回のパウエル議長の発言内容というのは内部で統一されているのでしょう。そういう意味では慎重に政策を進めるということに対して迷いはないのかなという感じです。急いで利下げを行うべきとか、さらなる引き上げが必要というような政策変更の可能性はあまり高くないのかなという感じです。そういう意味では特別新しいことはありませんが、これまで感じていたことを改めて認識させられるものだっと様に思います。

これまでの姿勢の再確認

今回の発言というのは先程も言いましたがそこまで新しいものはなかったように思います。これまでの姿勢を改めて明確にし、慎重に事を進めるということを表明したというところでしょう。FRBとしてはインフレの再加速ということは絶対に避けたいところでしょうし、それを意識しすぎて景気を腰折れされてはいけないという危機感もあってと、非常に難しい判断を迫られているとは思います。そういう意味ではこのような発言になるのは当然なのかなという感じがします。今後は市場は利下げの期待を引き続きするとは思いますが、それが本当に市場の思惑通りになるかはわかりません。個人的にはやや後ろにずれる可能性はあるのかなという感じはしていますが、未来のことは誰にもわからないということを認識しておきましょう。

まとめ

今日はパウエル議長の議会証言について見てきました。内容としてはそこまで新しいものはありましたが、改めてこれまでの姿勢を明確にし、今後もその姿勢を辛いていくことを確認できたかなという感じです。そういう意味では市場の期待するような利下げ期待というのは再び裏切られるかもしれません。6月まではまだ時間がありますし、どうなるかは全く予想も付きませんが、どうなっても良いように準備をしておいたほうがいいでしょう。