資産所得倍増はこれで本当に可能なんでしょうかね?

岸田政権が掲げる新しい資本主義というのが一体何なのかという話は以前から出ていましたが、その全体像についてようやく出てきたようです。そしてその中に以前にも発表されていた資産所得倍増プランも盛り込まれるようです。いよいよ政府としての成長戦略が出てくるのでしょうか。とりあえず今日はその内容についてみていきたいと思います。

新しい資本主義とはなんなのか

29日のニュースに政府が新しい資本主義の原案についての記事がありました。

政府がまとめる「新しい資本主義のグランドデザイン(全体構想)および実行計画」の原案が分かった。「人への投資」を重視し、非正規雇用を含む約100万人を対象に能力開発や再就職支援を行うとしている。貯蓄に偏る個人金融資産を投資に振り向けるため、早ければ年末までに「資産所得倍増プラン」を策定する方針も盛り込んだ。

引用:読売新聞オンラインより

このようにかねてから岸田首相が発言していた新しい資本主義というものがどのようなものなのか、ようやく発表されるようです。そして今のところ分かっているものは以下の通りになります。

  • 原案は、人への投資、科学技術、スタートアップ、脱炭素・デジタル化の4分野に重点投資する方針を明記
  • 賃上げで家計所得を増やすほか、個人の金融資産を貯蓄から投資に転換させることを強調-NISAの改革進める
  • 非正規雇用を含む約100万人を対象に、能力開発や再就職支援を行う
  • 3年間で4000億円規模の施策パッケージに基づき実施へ
  • 在学中は授業料を徴収せず、卒業後の所得に応じて返還・納付できる「出世払い型奨学金」を本格導入
  • 基金などを活用し、政府予算の単年度主義を打破
  • 31日の新しい資本主義実現会議に提示し、与党との調整を経て6月上旬に閣議決定へ

引用:Bloombergより

人への投資、科学技術、スタートアップ、脱炭素・デジタル化の4分野に重点投資するというのはまあ悪くはないのでしょう。特にデジタルや脱炭素というのは賛否はあるにせよ世界的に大きく動き出している分野です。その波に乗り遅れるというのはやはりまずいでしょうからきちんと取り組みますということだと思います。ただ、具体的にどのようなことをするのかがよくわからないのでそのあたりが問題となるでしょう。その他のことについても大きな方向性としてはまあ問題はないのではないでしょうか。こちらも中身が問題となるとは思いますが。

投資家としてはNISAが拡充されれば大歓迎

個人投資家としてはやはりNISAについては気になります。今回はNISAをどのようにするのかは書いてはいませんが、おそらくは期間の延長や投資額の増額等が行われるのだろうとは思います。そうだとすればそれは大変良いことだと思います。現在のNISAでは物足りないと思っている人も多いでしょうから、それが拡充されるのであれば投資家としては大賛成です。

金融所得課税についてどうなるのか

このように貯蓄から投資への流れを後押しする政策をしようとしているのには大変好感が持てます。しかし心配になるのはやはり金融所得課税についての議論でしょう。先日も松野官房長官がそれをまだ検討しているというような発言をしていました。おそらくは参議院選挙後に何か動こうとしているのでしょうが、そのようなことはぜひともやめていただきたいと思います。せっかく投資を促進させようとしているのにもかかわらず一方ではブレーキをかけるようなことをするのでは何をやっているのかわかりません。そういう意味ではいい流れが来ているのかなとは思う反面、心配事も絶えないなという感じです。

まとめ

今日は新しい資本主義の内容についてみてきました。個人的にはその中身についての詳しいことはわかりません。専門家の型に言わせれば突っ込みどころ満載なのだろうとは思います。しかし、個人的には方向性自体は間違ってはいないだろうし、特にNISAについては大賛成です。そういう意味ではしっかりとやってもらいたいというところです。問題としてはやはりまだ細かい点がよくわからないので、きちんとした成長戦略をとることができるのかということと、やはり規制改革はしないのだなというところです。まあこれは自民党ではもう駄目でしょう。残念ながら。それと何よりも金融所得課税については本当に再考してほしいものです。でなければ明らかに株式市場にとってマイナスです。それだけは声を大にして言いたいです。というよりも、本当にこれだけで資産所得が倍増されるのでしょうかね?とてもそうは思えないんですが。