日銀の金融緩和政策は今後も継続していく。

28日、市場関係者が注目していた日銀金融政策決定会合が行われ、現在の金融緩和政策を継続することが確認されました。最近の物価高の影響もあり、日銀の金融政策にも変化が出てくるのではないかという憶測も出てきていましたが、そのようなことはなさそうです。そのため株式市場は比較的強い動きを示し、海外市場が大きく下げる中にあっても比較的堅調に推移しています。今のところ日本株にとってはプラスとなっているようですが、為替相場は1ドル130円を突破したこともあり、注意が必要であることには変わりないでしょう。そういうわけで今日は先日行われた金融政策決定会合についてみていきたいと思います。

金融緩和は今後も続く

28日に行われた日銀の金融政策決定会合後の会見で、黒田日銀総裁は今後も引き続き現在の金融緩和政策を続けていくことを述べています。

[東京 28日 ロイター] – 日銀の黒田東彦総裁は28日、金融政策決定会合後の会見で、企業収益や賃金が増加する好循環の中で2%の物価安定目標を実現するには「なお時間を要する」とし、現行の強力な金融緩和政策を粘り強く続けることが適当との考えを示した。原油価格や物価が高騰する中で景気の下支えが必要ということについて政府と日銀に認識の違いはないとも述べた。

引用:ロイターより

黒田総裁はこのように述べ、2%の物価安定目標を実現するために粘り強く金融政策を行っていくとの発言をしました。最近の物価上昇もあり、日銀の金融緩和の姿勢に変化が出てくるのではないかという意見も多くありましたが、結局そのようなことはなく、現在の金融緩和政策は維持されるということになったようです。

コアCPI、コアコアCPIも上昇は一時的

生鮮食品やエネルギーなどの価格が上昇してきていますが、その展望についても以下のように述べています。

日銀が同日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比は、2022年度にいったん2%に近づくものの、その後は1%強までプラス幅を縮小すると予想している。

展望リポートでは生鮮食品とエネルギー価格を除くベースの消費者物価指数(コアコアCPI)の見通しも示された。24年度にかけて緩やかに上昇する見通しが示されたが、黒田総裁は24年度でも前年度比プラス1.5%と「2%には届いていない」と指摘。24年度のコアCPIの見通しはプラス1.1%で「この見通しの通りなら、金融緩和の出口を早急に探ることにはなっていない」とし、粘り強く金融緩和を進めていく必要があると繰り返した。

引用:ロイターより

このように物価については上昇はするものの、今後もこの傾向が続くとは見ておらず、2%の安定的な物価上昇には程遠いと日銀は考えているようです。そのため今後も現在の金融緩和政策の変更はなく、辛抱強く緩和を続けるというのです。

今後の展開については正直何とも言えない

今後の物価についてどのようになるのかというのは正直わからないですが、今のところは日銀は現在の物価上昇は長くは続かないとみていることは確かです。であればこのままで問題ないように思いますが、実際はどうでしょうか。米国は現在インフレがとんでもないことになっていますが、当初はFRBもインフレは一時的だという認識のもと、金融緩和政策を続けたために現在の状況を作ってしまったという側面もあるでしょう。であれば日銀の認識ももしかしたら間違っているのかもしれません。物価上昇が一時的ではなく、ようやく日本も物価が継続的に上昇する国に戻った可能性も出てくるのではないでしょうか。そうなったときはさすがに日銀の政策も変更されるでしょうし、その時は30年ぶりに金融政策が引き締め方向に向かっていくかもしれません。そうなったときは日本の経済にとって大きな転換点となることは間違いありません。

まとめ

今日は先日の日銀の金融政策決定会合についてみてきました。少なくとも現状の金融政策を変更するということはよほどのことがない限りないという印象を与えたような気がします。為替についてもそこまで気にしているような感じはないので円安もさらに進むのではないかという気がしています。物価については今後どうなるのかということは正直何とも言えないところです。日本は諸外国とは違い、GDPギャップが非常に大きいため、消費者物価が上昇しづらい環境にあることは確かです。そのため日銀の考えている通り、このまま物価が上昇するとはいかない可能性も十分にあり得るでしょう。しかし、企業間物価は上昇していますし、特に輸入品は円安の効果もあり上昇が引き続きおこると思われます。そしてFRBの金融政策の件もあり、日銀の考えるようにはいかない可能性も考えられるのです。その点についてはきちんと頭に入れておく必要があるのだと思います。